皆が外に出たいわけではない。

メディアでは、外に出掛けたい人、元の世の中に戻ってほしいという人ばかりが報道される。

それは、外でばかり取材をしているからだよ。家の中にいたくて家にいる人は、外にいないから取材されていないだけで実際はいるはずだよ。どうしてそういう人のことはあまり話題に出ないのだろうとずっと思っている。

自分は、もちろんコロナウイルスは収まってほしいし、普通に気兼ねなく人に会えるようになったらとても嬉しいと思う。でも、基本的にはずっと一人でいる生活が自分にとっては生きやすいから、必要がない限りずっと一人で部屋の中にいられるほうがいい。仕事は断然テレワークが良い。

自由に出掛けられるようになるのは良いけれど、元の状態に戻って、毎日、家の中でもできる仕事を、すごく混んでいる電車に乗って遠くまで行ってやって終わったらまた時間をかけて電車に乗って帰るというのはとても辛いし無駄な時間とエネルギーの消費になる。そんなのはとても馬鹿馬鹿しいし、健康に悪い。脳の無駄遣いになる。その場に行かないとできない仕事ならば行くのは分かるけれど、そうでないのなら自分は家でやったほうがずっと良い。家のほうが室内の温度や身の回りのものや服装など、いちばん自分のやり易いように快適な状態にできるから効率も良い。

元に戻って、その場に行かなくてもできることをするために混んでいる場所を通って精神的なストレスや肉体的疲労を与えられることは辛い。

仕事のことだけでなくても自分はそんなに頻繁に人が大勢集まる場所に行きたいという希望もないので、家にいるほうがいい。人がいる場に行くのは何かの目的があってどうしても行きたいときだけでいい。

だから、ずーっと家にいる生活というのもとても良いものだ。特に去年は、家の中にいられたことで、とても生き返った。それは自粛ではなくて、蘇生だった。
ずっと人が集まる場に毎日行かなくてはならないという日々のなかで、しかも道中とても混んでいるところを経由しなくてはならないというなかで、それが世の中の当たり前だとしても自分の心身にとってはかなりの負担がかかっていたところ、家に一人でいられる時間を与えられたことは本当に大きな幸運だった。それがなかったら自分はどうなっていたか分からないと思う。

そういう人も世の中にけっこういると思う。なんか、皆が皆、外に出たくて、皆が人と集まりたいと思っていて、家にいるのをストレスに感じているかのような報道をしないでほしいと思う。だって、もしそういう人ばかりだったとしたら、学校が始まったときに学生の自殺者が3倍に増えたりしないでしょ？ニュースで、今年の小中学生の自殺者が増えている件についてやっているけれど、学校が休みの期間は減って始まったときが増えているんだよ。皆が皆、元の生活に戻って人とたくさん会いたいと思っているのではないよ。