『はるヲうるひと』 2021年55作目 ☆☆☆★ ユナイテッドシネマ大河原
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佐藤二朗さんの原作・脚本・監督・出演作。
元々は佐藤二朗さんが主宰する劇団の舞台演目で、自身での渾身の映画化。
凄まじかった…「凄まじい」としか云えない。
舞台は都市伝説にもある「売春島」の置屋(売春婦の居る売春宿)。
ただ、都市伝説でよくある、「○○島は売春宿が沢山ある売春の島」とか云う軟な話ではない。
置屋の元締めの狂気と、元締めにいびられる腹違いの弟と妹と売春婦達の話。
この話で明るくなる筈が無い。
ただ、佐藤二朗さんが出てるからボケてくれるかな?
と思ったら大間違い。
ボケも小ネタもボヤキも無し。
ただひたすらに母親の違う弟と女達に暴力を振るうだけ。
妹には一見優しく振舞うも、言葉遣いは決して優しくなく、何より目が冷たい。
娘にだけは優しく接するも、よくよく聞くと心の奥底の怖さが滲み出てる。
佐藤二朗さんの狂気があまりにも飛び抜けてるんだけど、異母弟役の山田孝之さんの「頭の悪さと純真さ」も体当たりの演技で負けてなかった。
異母妹役の仲里依紗さんも、見た目が地味で病弱な役を儚さが十分に伝わってきた。
売春婦役にと常連客に至っては、汚さが滲み出てた。
「売春」を描いているんだから床のシーンが何度か出てくるんだけど、これが汚い。
こんなに汚い床シーンは観た事が無い。
欲まみれ。
人間の狂暴さと欲にまみれた「汚い」作品なんだけど、見応えがありました。
人が人を支配する狂気。
支配される側の弱さと葛藤。
欲まみれの性交。
汚さだけで、綺麗事が一つもないのが「世の中奇麗事だけじゃないんだよ」と語っているようでした。
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