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2021年05月26日11:54

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ワクチンを正しく理解している人の判断

■アストラ製を途上国提供=ワクチン不足支援―政府検討
(時事通信社 - 05月24日 17:01)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=6529212

コメント欄にはワクチンのことが分かっていない人のトンチンカンな戯言で溢れている。

大丈夫か?この人達。

この判断は一見、とんでもないかのように見えるが、実は深い検討と疫学的な理由が背景にある。

アストラゼネカ製ワクチンのメリット、デメリットについて整理しておこう。

・メリット
供給体制のアドバンテージがとても大きい。
ファイザーは接種直前までディープフリーザーによる流通が必要だが、アストラゼネカはその必要がない。つまり既存の流通ルートでOKなので、新たな供給体制をゼロから整備する必要がない。ワクチンの安定供給体制作りに関しては、特に途上国では、圧倒的にアドバンテージが大きい。

・デメリット
有効率について、ファイザー、モデルナは90%、アストラゼネカは70%。これを理由に「アストラゼネカは効かない」と吹聴する人がいるが、これはかなりの勘違い。実用的には十分な効果があると判断される。国単位で集団免疫を考えた場合、今の流行株なら国民の70%以上が免疫を持っていることが望ましい。アストラゼネカのワクチンは途上国の管理体制でも安定供給できるので、一気に打てる。また、途上国は感染率が高いので、既に一定割合の国民が、流行株の感染・回復による抗体を持っている。それと合わせれば、「流行阻止ライン」の億体保有率を一気にクリアできる。

私の予想では、日本のように、「ワクチン有害論」を妄信している人が多く、接種体制作りに手間取っている国のほうが、集団免疫の達成には時間がかかるのではないかと思う。

血栓が起こる例があることは、承認段階で認められている。そのリスクは0.0004%と報告されている。これは「免疫付与率70%」と言うベネフィットに対し、十分に小さい値と言える。万が一、血栓の症状が出たときにすぐに診断・治療できる体制を整えておけば、そのリスクもカバーできる。これを「危険だ」と判断するのは、何が何でもゼロリスクでないと気が済まない人たちの悪い癖だ。僅かなリスクを客観的に数値評価できなかった結果、それより遥かに大きなベネフィットを失うことになる。


・もうひとつ、重要なこと
「なぜ日本でもワクチン接種が進んでいないのに途上国にワクチンを回すのか?」と言う疑問も多い。
ある社会集団内であれば、インフラ維持のために必要度の高い人にワクチンを優先させることはあるが、パンデミックの起こっている現在、ある国だけにワクチンを集中させず、世界同時進行でワクチン接種を進めることには、大きな意味を持つ。
もし、どこかの国でワクチン接種が先行して完了したとしても、グローバルな経済活動を復興させることはできない。流行国では、ウイルスの変異する機会が多いので、そこから新たな変異株が生まれ、モノによっては、既にワクチン接種の完了した国の「免疫の壁」を破る、新たな変異株になっている可能性もあり、そのような変異株が新たなパンデミックを生むことも、十分に起こりうることだ。実際、それに近いのが、今、インドから拡大中の変異株だ。
つまり、ワクチン接種は、世界同時進行でないと、効果が落ちるのである。途上国へのワクチン供給は、自国を守り、世界を守るのが目的だ。


結論

アストラゼネカのワクチンは、供給面や期待される効果において、感染率の高い途上国にフィットしている。
ファイザーやモデルナのワクチンは、感染率が低く、ワクチンをちゃんと管理のできる国に向いている。
うまく使い分けて、世界的な感染防御を進めることが望ましい。

その上で、注意喚起したいのが、こうしたことを正しく理解せずにヘイトを唱えたり、「ワクチン有害論」などに囚われたりして、集団免疫の足を引っ張れば、今のような状況が延々と続いてしまう可能性もある。
「自分だけは」「自国だけは」などと言っている状況ではない。
早く新型コロナから開放されたいのなら、コロナ対策への正しい理解と社会への協力が欠かせないのだ。

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