最近なろう系(異世界作品)という作品群のことを、前に少し話しましたが、これらの作品群における主人公は、例外もありますが、おおよそにおいては、
・転生前の主人公は、何の能力も持たない
・転生後は、何も努力をしていないのに、無敵の力を与えられる
・当然作中では、最初から最強の存在なので、戦いでも、苦戦をしない
・事件が起きても、あっという間に解決
・主人公には、同等の力を持つライバルが存在しない
・主人公には、持ち上げる人間はいても、対等の友人がいない
・巨大な力を持ったことに対する恐怖や、他人を殺めたことに対する葛藤を持たない
・何の目的もなく、何の信念も持たず、転生後の世界をなんとなく生きている
という傾向があると思います。
正直なところ、何の苦労もしない。弱点もない。何の目的もない。苦戦もしない。巨大な力に対する恐怖や葛藤もない。
ぼくはこういう主人公を見ると、一種の戦闘機械、あるいはサイコパスにしか見えないのです。
最初から最強の存在の主人公自体は、冴羽 獠 ケンシロウ ゴルゴ13など、昔から多数います。
でもかれ等は、時には窮地に陥ることもあること、獠は二枚目と三枚目とのギャップや、過去にゲリラにいたこと、ケンシロウは、ライバルが存在すること、ゴルゴは仕事を遂行するための準備が描かれていることも少なくないというように、人間的魅力やライバルの存在、成功するための準備などが描かれているので、不快にならないことが多いと思うのです。
でも、この手の作品の主人公には、それがない。
「主人公が最強であれば、それでいいんだ。何も苦労しないで最強の存在になって、何が悪い」
「主人公以外は無能で何が悪い」
という意見もあることは知っていますし、主人公が最強であるが故に、ある種の爽快感が得ることができることも、承知しています。
でもぼくとしては、やはりこの手の作品というのは、主人公に魅力がなく、少し距離を置きたいという気分です。
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