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2020年12月27日09:12

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36人の正義の人

36人の正義の人:映画「戦火の奇跡」ユダヤを救った男より

久しぶりに骨太の映画を観た。戦前、ナチに占領されたハンガリーに、たまたま牛の買付けにきたイタリアの会社員が、暴行されて連行されるユダヤの人々を見過ごすことが出来ず、ふと思い出したのが、スペイン内乱に弾圧側のイタリア軍の一員として参加、その後、歴史に悪名を残すフランコ将軍のサインの入った感謝状のこと。そこにはいついかなる時でもスペイン政府はあなたを助けるという一文が入っていた。そこで彼はドイツの友邦であるスペインの大使館に行き、たまたま出会ったユダヤの親子の保護を求める。当初は渋っていた大使館員達だったが、反対を押し切って会った大使に感謝状を見せると、快く援助を約束してくれる。実はスペイン大使館でもブタベスト市内の持ち家に多数のユダヤ人達を匿(かくま)っていたのだ。市内の他の国の大使館も同様の人道的行為を行っていると聞く。ようやく安堵する主人公と保護された親子だったが、これから本当の苦難の道が始まるのだった。

実はすでにナチは衰退の時期に入っており、ブタベスト郊外までソビエト軍が迫ってきており、市街戦の危機が迫っていた。その状況下、他の国々同様、スペイン大使もスイスに避難して、大使館を閉めると決定。「それでは彼等ユダヤ人はどうなるのだ?」と憤慨した会社員。しかし一外国人の身では何もすることは出来なかった。大使が去ると、待ち構えていたドイツ軍が館内に侵入、ユダヤ人達を強制連行しようとする。しかし、その時、不思議なことが起こる。まるで神が下りてきたように、会社員が口を開き、「私はスペイン領事だ。ユダヤ人であろうと、スペイン国籍の者を連行することは許されない!」と宣言するのだった。そばの大使館員もユダヤ人達も瞬間ぽかんと口を開けたが、同時に彼の機転に対応して、彼を領事として扱うのだった。このインチキ領事が大活躍をする。さすが敏腕会社員、ナチの司令官の所まで赴き、脅しと金で「スペイン国籍のユダヤ人には手を出さない」との保証を得る。ようやく避難所にも平和がやってきて、元の先生達が子供に音楽や勉強を教える風景も生まれ、恋人達は愛を語り、親子は団欒を楽しむようになる。

しかし、平和は長続きしなかった。戦況の悪化で撤退を迫られたドイツ軍は、市内のユダヤ人を殲滅しようと悪意をむき出して、避難所のユダヤ人達を、偽領事の不在の時、河べりに連れ出し、二人一組で手をしばり、一人を射殺して、もう一人を溺死させるという残忍な殺し方でほとんどの人達が殺された。嘆き悲しむ会社員。しかし嘆いている暇はなかった。9万人が残っている市内のユダヤ・ゲットーの正面に機関銃を据え付け、建物を放火して、逃げ出すユダヤ人達を皆殺しにする計画の実行が明日だったのだ。司令官に直談判に行った偽領事。「戦後必ずあなたはユダヤ人殺害で絞首刑になるだろう。しかし、もし今、明日の虐殺を踏みとどまれば、あなたは賞賛されるに違いない」と、切々とナチ司令官の道徳と理性に訴えて、ユダヤ人虐殺を思いとどまるよう説得するのだった。

彼の説得は成功する。ゲットーのユダヤ人達は、彼の全身全霊の戦いによって、命を救われたのだった。そして彼はその偉業を誇ることもなく故郷に帰って行く。ほんの僅か生き残った古い知人のユダヤ人達に見送られて。その時、ナレーションが流れる。「この世には36人の正義の人がいる。彼等のお陰で神様は世界を滅ぼさない。彼はその36人の一人なのだ」と・・・。彼は故郷パドバでひっそりと暮らし。誰も彼の偉業を知らなかった。ただ1990年代の終わりに彼に救われたユダヤの女性達が彼を探し出し、世に知られるようになった。彼は「正義の人」としてイスラエルで記念樹をされている。そう、これは実話なのです。本当に「戦火の奇跡」ユダヤを救った男、なのです。これほど感動したのは久しぶりでした。機会があれば是非観てください。イタリア映画です。 ヒロ

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