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2020年07月03日14:13

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物語作り

 将棋界の藤井聡太7段が、史上最年少でタイトルを獲得するかが注目され、連日のニュースで取り上げられています。

 私は将棋は子供の頃少し遊んだ程度で詳しくは分かりませんが、高校3年生でもある藤井7段が年長の棋士を打ち負かすというのはやはり圧巻で、天才中の天才なのだと素直に感心しています。

 一方、こちらは最近はあまりニュースになりませんが、既に将棋というゲームでは、人間よりもAIの方が強くなっており、瞬時に何千手も先を読み、相手のあらゆる手筋を最速でインプットして、最も有効な一手を繰り出すAIに、藤井さん級の超一流棋士でも敵わなくなっているのです。

 近年は、AIのソフト同士で対局をさせ、どのソフトが一番優れているのかを競うことが頻繁に行われているそうです。

 もし、将棋が技術だけの世界であり、上手さや勝ち負けだけが見られるのであれば、こちらのAIソフトの方も、もっと話題に上がって良いはずですが、ニュースで取り上げられるのは、藤井聡太さんのタイトル戦の方が圧倒的です。

 これは一体なぜなのでしょう。

 私は、それは、人間というものが、物語に魅きつけられ、物語を好む動物であるからではないかと考えています。

 人々は、高校3年生が自分の父のような人と大きな報酬と名誉を賭けて将棋を指し、打ち負かしていくというストーリーに惹きつけられているわけで、実際将棋の技術のことなどほとんど関心がないというのが一般的なはずです。

 話は少々変わりますが、先日のこと、3月で卒業した生徒から丁寧なLINEをもらい、そこには「全然できなかったところから長い間面倒を見てもらって…」に始まる少々大げさとも言える感謝が、「もっと早く送ろうと思っていたけどコロナで遅れてしまって」という言葉とともにありました。

 こういう"お便り”はよくもらいますが、この子はなかなか手がかかる子で、難しい場面も沢山あったこともあり、正直グッと来てしまったのでした。

 私が思うのは、例えばオンライン授業の先生に対しても、この生徒が同じようなLINEを送るようなことは、まずないのではないかということです。

 間違ってもらいたくないのは、私自身授業のオンライン化は、あらゆる難しい場面に対応するためにも、それはそれで進めなければならないとは思っていますし、丁寧にやれば一定の効果はあげられると考えています(塾としても、今後例えば受験シーズン前に緊急事態宣言が出されるなどを想定して、リモートで補講をするようなことを検討中す)。 

 しかし、そういうこととは別に、その子が感謝のLINEを送ろうとする気持ちを醸成ていけるような仕組みを考えていくことは、実はても大切なことであるはずです。

 その子が、LINEを送ってくれることも、私がそのLINEに心を打たれることも、ある意味での物語だと思います。

 要するに、人間がAIソフトの将棋の技術よりも、藤井聡太さんのタイトル挑戦のような物語性のあるニュースに魅かれるのは、人間それぞれの人生がそれぞれの物語作りだからではないでしょうか。

 やはり、後々にって語れるような出会い、気持ちが通じる瞬間は、人生における小さな物語あり、そういうことを積み重ねる機会はいつの時代でも大切だということです。

 何でも効率的に日々のタスクをこなすだけでは、良い物語は作れません。
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