大手進学塾が、休校期間中の穴埋めのため、土曜も日曜も授業をして、平日も時間を延ばし、さらには短い夏休み中も朝から晩までぶっ通しで夏期講習をやる予定にしているなど、例年通りの授業数を詰め込むのに必死になっているようです。
確かに中学受験も高校受験も大学受験も、最上位クラスやそれに準じるクラスの学校は、例年通りのレベルが求められるはずですので、実力的にもそのクラスを志望し、モチベーションも十分な受験生であれば、そういう感じにやってみても良いと思います。
しかし繰り返し述べているように、そのようなスタイルでの勉強が効果があるのは全体の1割以下(もっと少ないかも)で、ほとんどの子は、そんなことをやらせても全く意味のない時間になるというよりも、かえって無駄でマイナスになる可能性が極めて高いです。
5月までの休校中、学校によっては大量の宿題を出され、それをやるだけで精一杯だったというところも中にはあるようです。
こういうものは学校の校長先生のお考えに反映される部分も大きいのですが、同時に親御さんから沢山宿題を出して欲しいというリクエストがあることも多いそうで、家でゲームをしたりスマホをいじっているなら宿題でもやっていてくれた方が良いというお気持ちになるのも、分からないではありません。
ただ大量に宿題を出されると、それを何とかこなすことに労力が割かれ、例えば解答を丸写しするとか、友達にLINEで写真を送ってもらって真似するだけとか、心ここにあらずの状態で気持ちが全く入らない単なる苦痛な時間に終わることが圧倒的です。
あまり知られていませんが、ヨーロッパを中心に、条例などで宿題の量を制限したり、宿題そのものをなしにしている地域もあるくらいで、世界の子供の学力調査で常にトップクラスを維持しているフィンランドもその一国です。
何でも外国が良いわけではありませんが、こういう規制はそれなりの学術研究によるエビデンスを下になされているのは当然で、国民性の違いということではないのです。
学業は何でもそうですが、自ら進んでやることが最大の効果があり、実際にはなかなかそうもいかない子が大半ですが、少なくとも嫌々な気持ちが大きくなれば大きくなるほど、効果はなくなります。
宿題にしても、気分良くやれる量というものを考えなければなりませんし、塾の夏期講習にしてもそれは同じことです。
お子さんに対して適切な負荷がどの程度であるか、すなわち「頑張ればできそうなところ」はしっかり意識する必要がありますし、やみくもに時間をかければ良いというのは大抵は間違いになります。
しかしながら、親と言うのは自分の子供ならこのくらいはできるのではないかということに対して、ほとんど過剰に考えてしまいがちですし、私も2人の子供の親ですのでそのお気持ちはよく分かります。
そんな時はこのように考えてみて下さい。
例えば、3軒のお家分の家事を任され、朝から晩まで炊事洗濯掃除をやらされるとします。1軒目は普通にできたとしても、2軒目はだいぶ雑な感じになり、3軒目に至っては手が付けられなくなったりはしないでしょうか。
仮に1日目はできても、2日目、3日目になるにしたがってどんどん疎かになり、1週間などとても続けられないと思います。
塾によっては「勉強を楽しもう!」のようなキャッチフレーズを作ったりもしていますが、子供にとって勉強は嫌なことであるのが当たり前で、勉強を楽しめる子は100人に1人以下でしょう。
多くの大手進学塾は、上場企業ですので、前年の売り上げを維持するために、休業期間の穴埋めをするべく、夏期講習のコマ数を詰め込んでいるということはないでしょうか。
今回の新型コロナウィルスの問題では、子供の立場がしばしば大人の都合でぞんざいに扱われて来ました。
そういう流れに翻弄されることのないよう、お子さんをどうすれば最も良く伸ばしていけるか、よくよく考えて頂けるようにお願い致します。
ログインしてコメントを確認・投稿する