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2020年04月27日23:52

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【天文】超新星発見？！

★そういうわけで、先週撮ったもう一つの銀河と、それに関する「事件」の日記であります。

★

撮ったのはおとめ座の銀河、NGC4567(上)と4568(下)。ご覧のように二つの銀河が衝突しかかっているところで、これもマニアの間では人気の被写体です。そしてこれも以前撮ったものの撮り直し。前よりはだいぶ良くなりました。

★…しかし。画像処理をしながら「ん？」と気になったのが…

…この小さな光点。

★太陽より大きな星がその寿命の最期に爆発する「超新星爆発」。この爆発が起こると、その星は元の明るさの数千億倍で輝きます。遠くの銀河で超新星爆発が起こると、このように銀河の中に突然星が現れたように見えるのであります。もっとも、銀河の前にたまたま近くの星が重なっているとこう見えますし、それは珍しいことではありません。私も過去何度も「ん？」と思って、過去画像や文献、他の天文台が撮った同じ銀河の画像を調べ、同じ星を見つけて「ああ、やっぱりなあ。俺なんかが超新星を発見するなんて、そんなウマい話はないよ…」と苦笑いしながら納得することが何度もありました。超新星は研究上極めて重要なので、もし発見したらけっこうな大事です。そういう場合はすぐにしかるべきところに報告し、数時間のうちに世界中の研究施設にアナウンスされることになっています。まあ世界中の様々な天文機関が毎晩血眼になって探しているので、私のような天文界の末端が新しく現れた超新星を世界に先んじて発見するなんてことはまずないんですが、それでもこの広い宇宙、いつ何が起こるかは誰にも分からないので、万が一の場合に備えて、銀河の写真を撮ったときにはいつも念のため調べることにはしています。

★画像処理をしながら、これもそういう「なんちゃって超新星」の一つだろうな…と思いつつも、「ちょっとアヤシイぞ」とは思っていました。どこがアヤシイかというと、一つはその明るさです。先ほど言った理屈からいくと、遠くの銀河に出る超新星は、おおよそその銀河の中心核と同じくらいの明るさになります。この光点はまさにそのくらいの明るさに写っていて、「要チェック」でした。

★そんなわけでしたから、モノクロの画像を仕上げたところで、カラー化の処理の前にチェックを開始。過去画像には…写っていません。ん、これはひょっとして…？　ネットを開いてこの銀河の画像を検索。どの写真にもこの光点は写っていません。んんんん？これはひょっとして！。

★最初のチェックはクリアしましたが、まだ慌てる時ではありません。「なんちゃって超新星」が変光星で、今日は明るく見えているだけかもしれませんし、たまたま今夜、既知の小惑星が銀河の前を横切っているのかもしれません。しかし、ネットの大天文台やハッブル宇宙望遠鏡の写真でもこの位置に星はなく、それから小惑星だったらあるはずの僅かな移動…これは自分の画像の各コマを比較すればすぐに検出できます…もなし。うーん、これは超新星でほぼ間違いなさそうです。この辺から、マジでドキドキしてきました。

★超新星であることはほぼ間違いないとして、最後にもう一つのチェックがあります。それは私が「最初の発見」なのかどうか。さらにネットで「NGC4568 supernova」
とググってみると…。

★はい、ありました～！(笑)。3月31日にアメリカの捜索グループが発見した「SN2020fqv」であることが判明。位置もぴったりここです。はっはっは。まあそうだよねえ。もうすでに各地の観測所でデータが撮られており、「Ⅰb型」というタイプであることも確定しているようでした。

★まあそういうわけで、「新発見」とはなりませんでしたが、残念というより、むしろちょっと嬉しいです。知らないで見つけた以上、自分史的には「発見」ですし、これが20世紀前半までなら立派な「独立発見」が認められるくらいのタイムラグです。ウチの機材と撮影システムでも十分発見できる水準にあることが分かりましたし、私自身の「嗅覚」も適正だったことも分かりました。これはこれで、一つの収穫です。やっぱりこれからも、ちゃんとチェックしようっと。

★そして何より、遠くの宇宙の大事件を、偶然「目撃」できた、というのが、何よりよかったです。こういうことが俺にも起こるから、天文はやめられない(笑)。

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