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2020年02月02日12:13

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【アニメ】ダグラム《四》

クリンを捕らえれば父親から多額の謝礼金をふんだくれると考えたガルシアは、ハックルに操縦させたダグラムと共にクリンが投降すれば、仲間の命は助けてやると迫る。デロイア7の面々は既に水や食料が尽きて打つ手が無くなり、クリンは仕方なくその提案に従う。
この回は『やり返す』がキーになっている。
ガルシア隊の副官であるオッペ(ガルシアが彼を呼ぶ声は『オッピ』にしか聞こえないが、クレジットでは『オッペ』)は、捕虜だったハックルに『デロイア7(クリン)への恨みを晴らせ』と焚き付けるが、彼にクリンを殴る事はできない。
しかし散々彼等に煮え湯を呑まされたオッペはこっ酷くクリンを殴る。
その後、爆弾が仕掛けられてると一芝居打ってダグラムの奪還に成功。クリンとハックルは皆と合流する。
それまでは捕虜として無理矢理手伝わされていた(と言う見方もできた)ハックルだが、ガルシア隊(政府軍側)のあまりの横暴さに辟易し、ゲリラ側に身を投じる決意を固めた。
改めて仲間として迎い入れてもらったハックルに対し、彼を乱暴に扱ったフェスタは『俺に仕返ししろ。じゃないと俺の気が収まらない』と提案。拳銃を抜いたハックルの行動に一堂驚くが、その弾はフェスタの背後にいたオッペを撃ち抜いた。
腰を抜かしたフェスタの様を見て一言
『これで貴方へのお返しも済みました』
ここはシビれるやり取りだ。
ただこの時、撃たれたオッペは手にしていた手榴弾をサイドカーの中に落とす。車体の中に転がる手榴弾が改めてアップで映り、何らかの伏線であることを物語る。

壊滅したガルシア隊の救援にやって来たMマサキ大尉と通信兵のやり取りがまた渋い。
『まだフォン・シュタイン大佐には繋がらんのか?』
『中継基地が呼び出し中です』
『軍司令部ではないぞ。大佐殿は議事堂内執務室におられるんだぞ』
『はっ、解っております』
普通『応答ありません』で済ませるところだが、『中継基地が呼び出し中』ってのが芸が細かい。更に、大佐は既に軍属よりも政治家の方に軸足を移してる事を補足する言葉。
壊滅したガルシア隊の残骸が散らばる外を見回しながら
『ゲリラごときに派手にやられたもんだ』
と独り言。ここで通信が繋がる。実に淀みなく、それでいて必要な情報はしっかりと含まれた台詞回しだ。しかしこの後がイマイチ。
『フォン大佐でありますか?救援隊のMマサキ大尉であります』
多分これは間違い。『フォン』はドイツ語で貴族を表す単語。英語の『サー誰々』とか日本語の『誰々公』みたいなものだろうか。だからこの場合『シュタイン大佐でありますか?』になると思う。しかしこの後登場する誰もが『フォン大佐』と呼ぶので、脚本の段階でそう決まってた様だ。このブログでも、以降はその呼び名に従う事とする。

撤退時『このままでは武人としての誇りが…』と喰いさがるガルシアに、
『金次第で右にも左にもつく。プロフェッショナルを自認するお人の言葉とは思えませんな』とマサキ大尉はバッサリ。
デザート・ガンナーがあればダグラムを倒せると、尚もしつこいガルシアに対し、
『乗るんですか乗らんのですか?私は貴方をどうしてもお連れしろとの命令は受けておらんのです。残るならご勝手に』とピシャリ。
下卑たガルシアへの嫌悪感が滲むが、同時に『傭兵なのになぜ?』との疑問も浮かぶ。傭兵は金になる戦いしかしないものだからだ。それに対してガルシアは『傭兵だからこそ、ヘタを打つと評判が落ちて仕事が無くなる』と反論。成る程なと納得。

デロイア7の前に再び現れたガルシアだが、ヘリをジャックして強引に単機でやって来る。それを見たデロイア7は
『1機ってのが解せないな』と不審がる。
確かにその通りだ。俺もボーッと見てたので気付かなかった。重量物であるCBアーマーをぶら下げてヨタヨタ飛ぶヘリ1機での作戦行動など普通は有り得ない。こういう一言が作品のリアリティを補強している。
砂漠での運動性能を活かしたデザート・ガンナーによりダグラムは窮地に陥る。しかしフェスタが運転するバイクで腹の下に飛び込み、チコのビッグEガンの一撃がきっかけとなり撃破。
因みにその時のダグラムの決めポーズ
フォト

カッコ悪過ぎる…トホホ

そして今回フェスタが死んでしまう。これは衝撃的だった。勝って浮かれてバイクをカッ飛ばしていたら、オッペの置き土産である手榴弾が暴発したのだ。
ボナール・グランプリを一番楽しみにしていたフェスタが、ボナールを直前に、である。普通は重要キャラが死ぬ時は、仲間の為に我が身を犠牲にするとか、強い敵を倒す為に捨て身で突っ込んだりするのが定番だが、ただの事故死ってのは斬新だ。しかも戦いに勝って余韻に浸ってる時というタイミングも意表を突く。ダグラム、やはり侮れない。

デロイア州の新しい自治法が決まる。
裏で全てを仕切る大ボスがドナン・カシム。
その手先としてペン先の様に動くラコック。
『代表』なる表の顔はフォン・シュタイン大佐。
デロイアの全てを、この3人が仕切り始めていた。ここに、将来のデロイア軍トップの座を確約されたレーク・ボイド大尉が加わり会議が行われた。今回の自治法はフォン大佐に権力が集中し過ぎとレークが指摘するが、民度が低いうちは中央集権の強力な政府が国民を導く方が上手く行く。とのドナンの言葉に跳ね返される。実は現代の我々の世界でも、発展途上国においては独裁国家は結構多い。
因みに政治的スタンスは、4人共微妙に異なっており、この作品の作りの細かさを改めて感じる。
ドナンは最も大局的な視点を持っており、デロイアの事も心から考えている。ただ『政治とは多数の為に少数を犠牲にするのはやむを得ない』を信条としている為、一見しただけでは『傲慢な地球による搾取の象徴』として見られるのは仕方がない。
フォン大佐はデロイア生まれながら地球育ちであり、トップのイスに座ってしまったばかりに野心が頭をもたげた感じ。
ラコックはのし上がる事しか頭になく、その為には何でも利用する狡猾な男。今はドナンやフォン大佐の下でコマネズミの様に働いてるが、いつか出し抜いてやろうと機を伺っている。
レークは生粋の軍人であり、軍才と人徳を兼ね備えるものの、政治的な駆け引きは苦手。
ここでおもしろいのはフォン大佐とラコックだ。ドナンという大ボスの下、No2の座を掛けて水面下で火花を散らす。
この時の会議中、ラコックはグランフェルドからの電話を受け取る。そのやり取りから、彼が裏で、自分達も知らない様々な画策を行なっているであろう事を察知したフォン大佐。
『口が悪いのはお互い様』とチクリ。更に
『君は補佐官よりもドラマの演出家の方が向いている』と、ある意味で痛烈な皮肉をぶつける。しかしラコックにはカエルのツラに小便。
『ドラマの中で架空の人物を動かすより、実際の歴史を動かす方が魅力的』と平然と返す。まるで、『そんな子供騙しなど興味無い』とでも言わんばかり。
この後、ボナール・グランプリで祝辞を述べるフォン大佐は観衆から大ブーイングを浴びてしまう。ここでもラコックは瞬時に状況判断し、生中継を中断して過去のレース映像を流す様に指示するなど敏腕ぶりを発揮。テキパキと場を回す自分に酔ったのか、『大佐、落ち着いて下さい』と思わず上から目線のセリフ。
『そんな事まで君の指示は受けん』と遂にキレるフォン大佐。しかしダグラムが現れて暴れ出すや会場は大騒ぎとなり、そこで再びラコックが
『大丈夫です。あの坊っちゃん(クリン)は命までは獲りませんよ』と重ねたものだから
『うるさいぞ君は。口が過ぎるぞ』とフォン大佐の怒りが爆発。ひと段落した後に
『(なぜこの様な不祥事となったのか?それは)台本を書き損なった者がいるからだ』と痛烈な皮肉を投げ掛ける。真っ向から睨み返すラコック。両者の間に亀裂が走る。
たまにこういう人いるよね。頭が良過ぎるって言うのか、回転が早過ぎて、人の一歩先を行っちゃう人。普通に先回りしてるだけならまだしも、それを得意げに自慢したり、自分に追い付けない周囲を見下す様な態度だと煙たがれる。
しかしまぁ、フォン大佐が怒るのは無理もない。『大佐』と言えば軍の中でもかなり上の階級だし、現在は押しも押されぬデロイア代表。年も50歳くらいだろう。地球育ちとは言え一応デロイア人でもある。対するラコックは、キレ者ではあるが年齢は僅か25歳。大佐から見れば青二才である。それにアレコレ仕切られてはおもしろいはずがない。今後この2人の絡みがどうなるか楽しみだ。

デロイア自治法を楯にボナールのディスモント市長を辞任に追い込む。それを突き付けられて驚く市長が退席すると、入れ替わりに入って来たラコックが一言
『過去の人間にはなりたくないものですな』
空港に到着したフォン大佐を出迎えた時に自分がクビになったと知って愕然と来る市長に
『ボナールGPが無ければ、貴方の辞任のニュースがトップを飾ったでしょう』と辛辣な言葉でダメ押し。

そう言えば、この辺りからラコックがデイジーにちょっかいを出し始める。なるほど、そっちの線からも来るか。雲をつかむ様な子供みたいなクリンを追い続けて疲れるよりも、成功と豊かさを与えてくれる大人のラコックに身を任せた方が幸せなのだろうか。乙女心は揺れ始める。
いやぁ〜ますますおもしろくなって来たゾ。
これでまだ全体の1/5ってんだから、お楽しみはまだまだこれからだ。
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