NHKが日曜日から力入れてやってる首都圏直下型地震ドラマ、体感 首都直下地震。
もし今、首都圏を大地震が襲ったら?というシミュレーションドラマという触れ込みで、日曜日に予告編、月曜日から本編開始。
といいつつ、ドラマはほぼ舞台となる架空のテレビ局の中だけ、被災映像の特撮や火災旋風、群衆雪崩などの現象の紹介は興味深いが、ドラマ部分のぬるさはなんだこれは?
怒鳴れば熱演だと思ってた九〇年代ごろの映画素人が監督だの出演だのしてた頃の日本映画、大ッ嫌いなのよねえ。このドラマも、なにかってえと出演者が力の限り怒鳴り合って、見苦しいこと夥しい。
ドラマ三夜目となる水曜日分まで見て、やっと違和感の正体が見えはじめてきた。
怪獣ものを撮ったことがない監督が怪獣ものを撮る。時代劇を撮ったことがないスタッフが時代劇を撮る。
監督、スタッフがなにを撮るか解っていて、その文法を理解していればいい。ただ、基本となる文法も理解しないまま他ジャンル挑戦となると、悲惨な結果をもたらすことが多い。
例えば、江角マキコ主演のショムニ。あれは、会社コメディを戦隊ものの文法で作っていた。コスプレ幽霊 紅蓮女は、タイトルの通り主演女優はメイクにコスプレして活躍するんだが、変身ヒロインの文法で作られていたんで特撮的快作となった。
体感 首都直下地震の場合、どーも話に入り込めない。舞台がテレビ局それも報道局に限定されているからか、すべての事象が台詞で説明されるからか、どーも他人事めいて空々しい。
そういう企画をやるって日曜日にNHKスペシャルで紹介されたときは、てっきりシンゴジラ見たNHKが、うちでもそういうのやりたいと思って出来そうな企画考えて、首都直下型地震シミュレーションを思い付いたのかなーとか考えてた。今でも、企画の転がり出しはそんなものなんじゃないかなーと思う。
ところが、出来上ったドラマ部分の他人事感、そらぞらしさはいったいなんなんだ?
首都圏のキー局を直下型地震が襲ったことは今までにない。でも、つい最近だって東北大震災や、もうそろそろ25年になるけど神戸地震があったろ?NHKの支局そこにあるだろ?現地で東北震災直撃喰らったスタッフなら今でもぞろぞろいるだろ?話聞きにいってないの?何が起きてどう対応したか、取材してないの?
そして、視聴者たる我々は日本沈没もシンゴジラも見ている。のみならず、関西なら神戸地震生き残りも、東北なら大震災経験者も、北海道だって去年の胆振地震でブラックアウト喰らった道民がいる。
停電ってだけなら、先日の台風で長時間停電で不便な思いをした千葉県民だっている。
なのに、その辺りの局の外の状況をまるっきり取材せず見もせず無視したまんま、想定される災害のセンセーショナルな部分のみ引っ張り出して、あとはてきとーにドラマチックなシチュエーションを大声で喚かせて問題作作った気になってるように見えるんだよなー、これ。たぶん、スタッフ、身近にいくらでもいる経験者に話を聞くどころか怪獣映画やパニック映画を参考にすることもしなかったんじゃないのか?
主役のスポーツ専門(だっけ?)のキャスターが、地震発生当時担当がスタジオにいなかったってんでなしくずしに担当アナウンサーになりましたが、三日目、地震発生後五〇時間以上過ぎても担当アナウンサーのまんま。スタッフもいっさい交代なしに同じ顔が代わり映えせずに報道局で怒鳴り合ってるだけで、代わりのスタッフと交代する様子も休憩する様子もなにより疲労してる様子もない。
「おれたちは、誰もこうなったときのことを本気で考えていなかった」
番組作る段になっても考えてなかったんじゃない?今も考えてないんじゃない?
こういう話で必要なのはドラマじゃなくてリアリティだと思うんだがなあ。怪獣も出ない、パニックものでもない普通の現代ドラマばっかり作ってたスタッフが新境地を開拓しようとしたら、とっくに先人がいて広大な沃野が拡がってるのに入り口でごっこ遊びしてるだけに見えるんだよなー。
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