真理の玉手箱、「モルモン書」
2017年1月11日 ·
2018.07.25.推敲再編
2019.01.14.
モルモン書 ニーファイ第一書 第十九章（私訳）
1. さて、主は私に、民の記録を刻めるように粗金(鉱石)【を精錬して】版を造るよう命じられた。そして、その版に父の記録と荒野での旅のこと、父の預言、また私自身による多くの預言を刻んだ。
2. 私がその版を造った時には、後に主から【別個に】この版を造るように命じられるとは知らなかった。従って、父の記録や先祖の系図、それに荒野での行動の大部分は、私が先に述べたその最初の版に刻んである。そう言う訳で、私がこの版を造る前に起こったことは、一つの事実として一層詳しくその最初の版で述べてある。
3. 主の命令によってこの版を造った後で、私ニーファイは、教導の務めと預言の中で、より分かり易くて貴重な部分をこの版に書き記すように命じられた。また、これからこの土地を所有する私の民を教えるため、それにまた主が御存知の賢明な目的のために、この版に書き記すことを保存するようにとの指示を受けた。
4. それで私ニーファイは、他の版に載せる記事は、言い換えれば、民の戦争と争いと破滅の原因をいっそう詳しく述べるための記録としたのである。私はこれを行ってから、私の死んだ後に為すべきことを民に命じ、また主が後に命じられるまでは、これらの版を代々譲り伝え、また預言者から預言者へ譲り伝えるように命じた。
5. 私はまた、後でこの版を造ったいきさつについて述べるので、見よ、今は私がこれまで話したことに従って書き進める。私がこうするのは、より神聖な事柄が保存されて、それが民にとって知識となるようにしたいと思うからである。
6. それで私は、神聖であると思うことでなければ、何事も版に書き記さない。ところで、【このことで】もしも私が誤りを犯すなら、昔の人でも誤りを犯したとは言え、他人の例を引いて申し開きをするのではなく、ただ、肉に於ける自分の弱さのためであると釈明したい。
7. だから、ある人々の評価が肉体にも霊にも大いに価値があると思うことを、他の人々が何とも思わないで足の下に踏みつけることが多々あるが、全く、イスラエルの本当の神ですら人々は足の下に踏みつける。私は足の下に踏みつけると言ったが、言い換えれば彼らは神を取るに足りない者と見做して、その勧めの声に聞き従わないと言う意味である。
8. だから見よ、天使の言葉によれば、イスラエルの神は、父がエルサレムを去ってから六百年後においでになるが、
9. 然し、世の人々は自分達の罪悪のために、このお方を取るに足りない者と判断する。それで彼らはこのお方を鞭打つが、このお方はそれに耐えられる。また彼らはこのお方を打つが、このお方はそれにも耐えられる。全く以って、彼らはこのお方に唾を吐きかけるが、このお方はそれにも耐えられる。それは、このお方が人の子らに対して愛に溢れた優しさと寛容に富んでおられるからである。
10. 私達の先祖の神、即ち私達を奴隷の状態から救ってエジプトから導き出し、荒野の中で彼らを守られた神、正に、アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神は、あの天使の言葉のように、一人の人として悪人たちの手に身を委ねて、ゼノクの言葉のように上げられ、ニアムの言葉のように十字架につけられ、ゼノスの言葉のように墓に葬られるのである。このゼノスは海の島々に住む者達、特にイスラエルの家に属する者達に、このお方が亡くなられる時に与えられるしるしとして三日間の暗闇に就いて語った。
11. 預言者ゼノスは言った。「その日、神である主は必ずイスラエルの家に属する全ての者に臨み、ある者には彼らの義の故に御声を以って臨んで大きな喜びと救いを与え、また他の者には御力の起こす雷鳴と稲妻を以って、暴風雨、火、煙、暗黒の霧、地割れ、起伏する山々を以って臨まれる。」
12. 預言者ゼノスはさらに言う。「これらのことは、全て必ず起こる。そして地の岩は必ず裂け、また大地が唸りを起こすので、海の島々にある多くの王は神の霊に動かされて、『万物の神が苦しみに耐えておられる』と叫ぶ。」
13. またその預言者は言う。「エルサレムにいる者達について言えば、彼らはイスラエルの神を十字架につけ、自分達の心を背けて、しるしも不思議も、またイスラエルの神の力と栄光をも拒絶するために、全ての民から鞭打たれる。
14. その預言者はまた言う。「彼らは心を背けて、イスラエルの聖者を蔑むので、肉にあってさまよい、滅び失せ、全ての国民の中で追い払われ、笑い種となり、憎まれる。」
15. その預言者はさらに言う。「それでも、彼らがもはやイスラエルの聖者に心を背けなくなる日が来れば、イスラエルの聖者は彼らの先祖と交わした聖約を思い起こされる。」
16. 正にその時、イスラエルの聖者は海の島々を思い起こされる。そして主は、預言者ゼノスの言葉のように、「私はイスラエルの家に属する全ての民を地の四方から集めよう」と言われる。
17. その預言者は、「全地の人々は主の救いを見るようになり、全ての国民、部族、国語の民、民族が祝福される」と言う。
18. 私ニーファイは、彼らが自分達の身請け人である主を思い出すことにより、おそらくは彼らを説得できるだろうと思ってこれらのことを書き記す。
19. 従って私は、イスラエルの家に属する者がこれらの記録を手に入れた時のために、イスラエルの家の全ての者に向かって語る。
20. だから見よ、もし主が、昔の預言者達に示されたように、私を憐れんでエルサレムにいる人々のことを示して下さらなかったら、私もまた死んでしまっていただろうから、エルサレムにいる人々のために私の心は大いに立騒いでおり、全身の関節が緩むほど疲れ果てている。
21. 主は確かに、昔の預言者達に、エルサレムの人々に関わる全てのことを示され、また私達についても多くの預言者に示された。そういうわけで、真鍮の版にこれらのことが書き記されているので、当然のことながら、私達は彼らに就いて知っているのである。
22. そこで、私ニーファイは兄達も、主が昔、他の方々の地の人々の中で行われた数々のことを知ることが出来るように、真鍮の版に刻まれている多くのことを読み聞かせ教えた。
23. また、モシェの書に書き記してある多くのことを読んで聞かせたが、寧ろ私は、兄達が自分達の身請け人である主を信じて、さらに十分確信を得ることが出来るように、また全ての聖文を自分達に当てはめて、それが兄達の益となり、知識となるように預言者イザヤが記したことを読んで聞かせた。
24. それで私は兄達に言った。「イスラエルの家の残りの者であって、元木から折り取られた一本の枝である兄さん達、イスラエルの家の全ての者に向けて書き記した預言者の言葉を聞いてください。同胞から折り取られた兄さんたちが、その同胞と同様に望みを抱くことが出来るように、この預言者の言葉を自分自身に当てはめて下さい。この預言者はそのように書き記しているからです。」
(＊588-570 B.C.)
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