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2019年02月26日22:58

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ドゥーチュィムニー「ホワイトハウスへの基地建設中止署名を始めた沖縄系4世を直撃。「米軍基地は沖縄・日本・米国の人々を守らない」」

 沖縄県名護市辺野古の新基地建設中止を求める、米大統領への嘆願署名運動を呼び掛けたハワイ在住の沖縄系4世、ロバート・カジワラさん(32歳)に1月14日午後、東京都杉並区の「ライブ&イベントハウス 高円寺グレイン」で約1時間のネットインタビューを行った。


 これは増山麗奈さん(世界を楽園にする総合メディアアート研究所)が企画したもので、聞き手は増山さんと、地位協定改定に取り組む田中正道さん(日米地位協定改善を求める47プロジェクト)、筆者(浅野健一)の3人。

 カジワラさんが発起人になって2018年12月8日から始めたトランプ米大統領宛ての請願を募るインターネット署名(ホワイトハウスの請願サイト「We the People」)は30万人近くに達している。大統領から2月初めに返答が届く予定だ。

 請願は「県民投票まで辺野古、大浦湾の埋め立てを止めてほしい」と題し、新基地建設に反対する長年にわたる県民の抗議にもかかわらず、日本政府と米軍は沖縄の民意を無視していると指摘し、トランプ大統領宛てに「工事を中止させて米国が真の偉大な国であると示してほしい」と訴えている。

◆沖縄、アイヌをルーツに持つ米国市民が橋渡し役に

 カジワラさんはミュージシャン、シンガーソングライターで、ハワイと沖縄の文化交流大使を務める。地元では、ハワイ先住民族の権利を守る活動もしているという。まずは、自己紹介をしてもらった。

カジワラ:私の母方の祖母は沖縄県中城(なかぐすく)市の出身で、今も多くの親類が住んでいます。中城市の海外移住者子弟研修に参加した経験もあります。私は中城にアパートも借りており、毎年何度か滞在し、辺野古での抗議活動にも何度か参加しました。これからもウチナンチュー(沖縄の人)に連帯していきたいと思っています。

 父方の祖父は長野県出身ですが、先住民のアイヌ系だと聞いています。山梨県にも住んでいたらしい。残念ながら、私は北海道に行ったこともなく、アイヌの文化は継承していません。北海道にも行って、アイヌのことも知りたいと思っています。アイヌ、琉球など多文化の背景を持ってハワイに住む私は、沖縄と米国の間に橋を架けることができると思いました。

 ハワイには沖縄からの移民が多く、ウチナンチューの強いコミュニティができていて、沖縄人としてのアイデンティティ(自己同一性)を大切にしている市民が多数います。みな、沖縄で起きていることに関心を持っています。特に、辺野古で起きていることには強い関心を持っています。私たちは、何らかの行動を起こそうと思っていたので、嘆願書運動を始めました。

◆安倍政権は沖縄人民の民主主義を蹂躙している

 辺野古で強行されている埋め立て工事について、カジワラさんは強く批判した。

カジワラ:安倍晋三首相の中央政府は、沖縄政府(沖縄県庁)が埋め立て認可を取り消したのに、埋め立てを強行しました。これは沖縄人民の民主主義を無視しただけでなく、法に明確に違反しています。沖縄の民意を無視しているだけでなく違法なことをしています。沖縄人民の民主主義的な権利を侵害しているのです。

 またハワイから見ると、安倍首相はウチナンチューに対して偏見を持っていると感じています。私たちは安倍政権への信頼を失っています。「トランプ大統領に、沖縄政府と日本の中央政府との対立の間に入って調整をしてほしい」と願って、私は嘆願書名を始ました。

 その結果、30万人近い署名が集まって感激しています。米政府が動いてほしい。日本の中央政府は建設工事を、少なくとも県民投票がある2月24日まで止めるべきです。

田中:署名運動を始めた動機は、沖縄の環境を守るということか、基地反対という視点のどちらなのでしょうか?

カジワラ:嘆願書運動を始めたのにはたくさんの理由がありますが、日本の中央政府、とりわけ安倍首相が沖縄人民の民主主義を蹂躙していることへの憤りが最も大きいです。

◆ローラさんへのバッシングは不当

 タレントのローラさんら有名人がSNSで署名に参加し、辺野古新基地の工事強行に反対を表明したことで、一部の人たちから非難されている。そのことについてカジワラさんはこう語った。

カジワラ:若者に人気のあるローラさんらが署名に参加し、アピールをしてくれたことに感謝しています。政治的なコメンテーターがローラさんの意見表明を批判したのはとても不思議なことです。

 欧米社会ではセレブ、有名人が政治的な意見を表明することはごく普通のことで、非難されることはほとんどありません。もし、ローラさんが日本でバッシングを受けて、めげるようなことがあれば、いつでも、ハワイ、米国に逃げてきてゆっくり休んでほしい。

田中:私は以前からローラさんのファンクラブに入っています。「ローラさんを支持します」と、ファンクラブの事務局を通じてメッセージを送ったら「がんばる」という返事がきました。カジワラさんの励ましの言葉をローラさんに伝えます。

カジワラ:それはうれしいです。ぜひ、今後も連携したいと思います。

◆米国の人々は沖縄米軍基地問題を知らない

 カジワラさんは1月7日、首都ワシントンのホワイトハウス前で辺野古新基地反対の集会を開き、米国会議員、米政府高官に辺野古新基地に関する情報を提供し、政策変更を求めた。

カジワラ:ワシントンDCで、国会議員、政府高官に辺野古工事強行について情報を提供しました。ほとんどの議員・高官は、辺野古のことを初めて聞いたので、すぐには対応をとってくれていませんでした。しかし熱心に聞いてくれ、強い関心を持ってくれました。我々は引き続きコンタクトをとり、情報提供を続けていくので、何らかの動きが出てくると期待しています」

増山:沖縄に米軍基地があることを米国の人々は知っているのでしょうか。

カジワラ:国会議員、政府高官は沖縄に基地があることは知っていますが、詳しくは認識していません。一般の米国市民は、米軍基地が沖縄にあることをほとんど知りません。沖縄に膨大な規模の米軍基地があることで、多くの害を沖縄の人民に与えている事実を、米国の人民に知らせたい。我々は、米国の市民に辺野古問題など沖縄の状況を伝えていきたいと思っています。

◆米日は地域で平和的関係を結び、基地を撤廃すべき

浅野:米国経済は軍産複合体に支配され、戦争を定期的に起こさないと成り立たなくなっています。米国人民自身が、米国の軍隊が世界中に展開し、軍事力で威嚇していることに対して、変革を求めなければならないと思います。“世界の警察官”として、核で威嚇していることで、米国自身が壊れていくと思いますが、どうでしょうか」

カジワラ:100%同意します。米国が海外に置いている基地はすべて必要ない。米国はすべての国と、友好的で平和的な関係を結ぶべきです。日本も米軍基地をなくし、朝鮮民主主義人民共和国、中国などと友好関係を結び、平和な地域をつくるべきです。

 ハワイで、友人たちと「日本は今も米国の植民地だ」とよく冗談で言っています。米国は国外にある米軍基地をすべて廃止すべき。沖縄に米軍基地があっても、日本人は守られないし、米国人が守られることもありません。

 日米安保条約・日米地位協定は、米国の軍隊が好き勝手に日本で活動できるという、偏向・不公正(アンフェア)な差別的条約です。米兵が日本に入国する際は、入管を通らなくてもいい。軍人のIDカードさえあれば日本で生活できる。

 ドイツ、イタリアにも米国との地位協定はありますが、日本と比べると、かなり平等になっています。米国は日本を見下している。日米地位協定はあまりにアンフェアです。

◆沖縄以外の在日米軍基地にも同じ問題がある

田中:日本は戦争に負けたので、米国には隷従しなければならないところがあります。

カジワラ:ドイツ、イタリアも第二次世界大戦の敗戦国です。しかし、両国は欧州ですが、日本は違います。米国には、アジアの人々への差別・偏見があるのだと思います。

浅野:ドイツは敗戦後、連合国(国連)によって占領されました。ドイツは東西に分断されました。ところが日本は米軍が単独で占領し、日本を反共国家にして米軍基地を置いた。東京裁判でA級戦犯被疑者だった岸信介・元首相らを釈放して、米軍に隷属する自衛隊をつくり、軍事同盟を結びました。

カジワラ:そのとおりだと思います。米国は海外にある米軍基地をすべて撤廃すべき。沖縄にある米軍基地は、誰も守ってくれません。沖縄人民、日本人民、米国人民を助けてくれない。害しかありません。

増山:沖縄だけでなく、私の住む町の近くにも横田基地があり、オスプレイが低空飛行しています。小・中学校が20以上もある住宅地なのに、米軍のパラシュート降下訓練でパラシュートが落下するなどの事故が起きているんです。米軍は米国内では住宅地の上空で訓練ができないと聞いています。

カジワラ:沖縄以外でも、沖縄と同じような被害があることを私は知っています。米国政府は日本を尊敬していません。日本国内の米軍基地の状況を、ハワイそして米国本土の人々に伝えていきたい。

◆本土の人々は日本の民主化を支援してほしい

浅野:今回の活動で、嫌がらせや脅迫などの被害はありませんでしたか。

カジワラ:日本の右翼や米軍に近い人たちからは批判はされていますが、深刻な脅しなどは今のところありません。「今度、沖縄に行くときは気を付けた方がいい」というアドバイスは受けています。どんな妨害があっても、沖縄の民主主義のために進んでいくつもりです。

 本土の日本人たちは、辺野古新基地建設を阻止するために活動している、沖縄の人たちを助けてほしい。そして、日本を真の民主主義国家にしてほしいです。安倍政権は民主主義を大切にしていません。

 かつて沖縄は、平和を愛する独立国家でした。日本は1879年に「琉球処分」で琉球を併合し、沖縄県を設置して以降、沖縄の人民を犠牲にしてきた。それまでは非戦平和の独立国だったんです。日本が真の民主的な国になるために、沖縄の人民の民主主義を尊重してほしいと思います。

◆カジワラさんは、故・翁長沖縄県知事の遺志を受け継いでいる

 カジワラさんが日本と米国がアジア諸国との平和的な関係を構築すれば、アジアに米軍基地は不要だと強調したのは、翁長雄志・前沖縄県知事(故人)が亡くなる前の7月27日。前知事の埋め立て承認撤回を表明した臨時の記者会見での発言と重なる。

 翁長氏はこう強調していた。

「朝鮮半島の非核化と緊張緩和に向けた米朝の努力は続けられている。このような中、20年以上も前に決定された辺野古新基地建設を見直すこともなく強引に押し進めようとする政府の姿勢は、到底容認できるものではない。私としては平和を求める大きな流れからも取り残されているのではないかと危惧している」

「米韓合同軍事演習が中止されたこと、トランプさんが金正恩さんと会ったこと、アジアが大きく変わりつつあること、アジアは経済ということから世界の中で一番発展している。アジアで、中国、米国と安保条約を結んでいるところはベトナムでもタイでもどこにもない。日本だけが寄り添うようにして米国とやっている。そういう動きは必ず日本を揺り動かす。今の日本の動きではアジアから閉め出されるのではないかというものを感じている」

 翁長氏の「米朝の友好関係が生まれ、米中の経済的な絆も強まっている。沖縄に米軍はいらない」という遺言と、カジワラさんの「米国、日本アジアの国々と平和・友好関係を構築することで基地をなくすべきだ」という主張は重なっている。カジワラさんは、翁長氏の遺志を受け継いでいるともいえる。

 2回目の米朝首脳会談が2月末に開催されることが1月19日に決まった。北東アジアは非戦・平和の方向に進んでいる。

 カジワラさんは最後に「安倍政権、辺野古新基地に関することならどんなことでも、情報を送ってほしい。日本語でいい」と訴えた。カジワラさんは沖縄の県民投票に合わせて2月末に来日し、沖縄で講演などを行う予定だ。

<取材・文/浅野健一(アカデミックジャーナリスト、同志社大学大学院社会学研究科メディア学専攻博士後期課程教授※最高裁で地位確認訴訟中)>
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