都立中高一貫校や中堅以上の私立中学を目指すためには、相応の読解力が必要になり、うちの塾にもそういう内容に特化して授業をしている生徒さんもおります。
読解力の先には作文力があるわけですが、まずは読解ということになり、塾では生徒さんそれぞれのレベルに合わせた読解演習が中心になります。
親御さんによく聞かれるのは、「読解力を付けるために、家では何をやらせれば良いのですか?」ということで、例えば漢字やことわざなどの慣用表現が弱い場合はそこからということになり、これは分からない漢字や言葉が多くなればなるほど、読解することが難しくなるばかりでなく、読む気持ちも難しくなってくるからです。
その段階を超えた子については、次のステップとして自分の好きな内容の本をよく読むということで、とにかく文章に馴れていくことが大切です(慣れるというよりも、馴れるの方が適切と思われます)。
それも大体クリアしてくると、今度はあまり好きではない、得意ではないジャンルの内容の本に挑戦するべきで、国語の点数は出来不出来が安定しないものですが、特に乱高下が激しい子は、不得意な文章が際立ってしまっている可能性が高く、そういうものを少しずつ払拭していくことが課題になるはずです。
かなり前の話なので書いてしまいますが、ある親御さんからそのような読解力を身に付けさせたいという質問や相談をよく受けていました。
その子のレベルについてはここでは触れませんが、夏期か冬期かの講習のご案内をお子さんを通じてお渡ししたところ、すぐにご連絡がありました。
うちの塾では春期講習、夏期講習、冬期講習は期間だけ設け、基本的にはその期間中にある通常授業の回数を、その期間に関しては好きな時間帯に入れられることになっており、受験生などで追加する場合は、必要に応じて追加するというシステムになっています。
講習のご案内にはそのようなことが書いているわけですが、結論を言ってしまえば、この親御さんはその案内をほぼ読んでいらっしゃいませんでした。
特に難しいことが書かれているわけでもないと思われ、そのご案内について沢山の方から質問やクレームがあったりということもないのですが、その親御さんは色々と聞いてこられたわけで、見出し程度しか読んでいらっしゃらないのは明らかでした。
はっきり言ってしまえば、これではお子さんの読解力はなかなか身に付きません。
子供というのは親など周りの所作をよく見ているもので、親御さんが読むのをめんどくさがっていれば、その感覚がほぼコピーのように伝わっていきます。
山本五十六の有名な言葉「してみせて、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ」でも最初に「してみせて」と言っている通り、何といっても「してみせて」が大事なのです。
最初の「してみせて」がないから「言って聞かせ」ることができず、「させ」られないわけで、子供も人も動くわけがないのであり、そのことを意識している親御さんは実際それほど多くないようにも思います。
ある種の自戒も込めて、自分で「してみせて」から指導をすることの重要性を、今一度考える必要があるものと感じている次第です。
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