4月の初めに、大手塾に通っているのに成績が伸びないという公立中学2年生が無料体験授業に来ました。
無料体験はお子さんの方に塾の感じを分かってもらうのが一番の目的ではありますが、こちらサイドからすれば体験を一度すると、その子が大体どのようなレベルかということや、性格や特徴などが理解でき、入塾の際はそれを参考に進めていきます。
その子は、私の見るところ、定期テストの5科で350点(70点平均)は十分に取れるレベルだったのですが、いつも300点前後しか取れていないと言います。
性格も真面目で、学校の授業ももちろん、通っている大手の塾でも宿題を含めてしっかりとやっているようでしたが、私にはこの子が伸び悩んでいる理由がよく分かりました。
この子は、ある運動部に所属しほぼ毎日練習があり、土日も試合やら何やらで忙しくしている中で、塾にも行って学校や塾の宿題もやらなければなりません。
もちろんそういうことがきちんとできる子もいますが、それはむしろ少数派であり、この子に関しては完全なオーバーワークになっていたのです。
10の力がある子が10のことをやる分には問題がありませんが、5しか力のない子が10のことをやろうとするので、実際3〜4程の効果しか出せず、かえって状態を悪くしているということです。
やはり5の力の子には5のことをやらせるべきで、そうしているうちに徐々に6になったり7になったりするわけで、いきなり10を求めても逆効果になってしまいます。
最近は大手塾の宿題もびっくりする程多かったりするようですが、これも私は相当疑問に感じており、このことについてはまた改めて書きたいと思います。
その子は結局うちの塾に移ってくれて、初めての定期テストが終わったところですか、結果は私の予想通り370点台、親御さんも大変驚いておられました。
うちの塾でやったのはどうということもなく、彼のレベルや生活に合わせて、できることを効果的にやらせただけで、大きく負荷をかけたのはテスト前1週間からです。
これだけで、いきなり結果出ましたが、要するに何でもやみくもにやらせれば良いということではないということです。
最近は、「根性」という言葉が、それこそスポーツの世界でもあまり聞かれなくなって来ていますが、何やら勉強の方では、時代に逆行するようなことをやらせているようにも感じられるのです。
ある程度余裕を持ち、スポーツしたり、遊んだり、本屋マンガを読んだり、音楽を聴いたり、そういう様々な活動の中に学習を取り入れ、自分のできることできそうなことを続けていくのが得策です。
無理ができるのはテスト一週間前とか、大きな括りでは受験前くらいで、日々の勉強を過度に厳しくするのは良いことではないばかりか、その子にとって逆効果にすらなります。
そういうことを一緒に考えるのが本当の塾の役割だと思うのですが、勉強が多ければ多いほど良いと考えている塾や、それに引きずられている親御さんも非常に多いなと感じることも多いものです。
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