僕のマイミクさんには映画好きの人が多い。
かつては洋画派で今は昭和の日本映画に熱中(新作はまず見ない)していて、東京都内のあちこちの名画座を探訪、そうやって見た映画のことを克明に日記にする人。
日本映画中心で新旧ジャンルを問わず(ただし昔の東宝、大映は苦手)、録画を中心に楽しんでいて、ほぼ日刊イトイ新聞並みのペースでスパッと感想を日記にする人。
見るのはほぼ洋画でこれまた新旧ジャンルは問わずにDVD中心に楽しんでいて、「最近見た映画」というタイトルで三本立てのスパッとした感想を日記にする人。
タイプは様々だけど、この辺はいわゆるシネマディクト(映画中毒者)の人たち。
それだけじゃなくて、たまの休日に自分が好みそうな映画が掛かると映画館に出向いていってそのときの感動を日記に綴る方が何人もいる。
で、僕も映画好きということでは人後に落ないつもりだし、mixiを始めた頃は映画のことをあれこれ日記にしてたんだけど、このところそういうのから遠ざかっていた。
で、シネマディクトの面目躍如たる日記を開陳することにした。豪華4本立て。
いや、最初にあげた昭和派のマイミクさんがね、GW中に池袋の新文芸坐で僕の好きな監督の特集をやるよと教えてくれてね。こりゃあと思ったんだよ。
監督の名は、ジャン・リュック・ゴダールとジャン・ピエール・メルヴィル。
フランスの誇るジャンたちだ。 ただし、作風は対照的。
ゴダールは名前だけなら誰でも知ってるスター監督、メルヴィルは知ってる人だけ知っている通好みの監督。
ゴダールは天才肌、メルヴィルは職人肌。
ゴダール作品は過剰なまでの言葉のラッシュ、黙ってるシーンほとんどなし、メルヴィル作品は必要最小限のセリフ、沈黙の支配する世界。
ゴダール作品は燦々と輝く陽光の世界、メルヴィル作品は薄暗い曇天と夜の帳の世界。
あげだすとキリがないくらい真逆なジャンなんだけど、僕は二人とも大好きなんだよ。
最初にゴダールの旦那を見た。
5月1日労働者の日。 といっても国民の祝日にはなってないので、まっとうな労働者は額に汗してたんだけど、傍若無人な勤め人の僕は年休バリバリだったんでね。
午前中から池袋に繰り出した。 新文芸坐は随分ぶり、5〜6年前にゴジラと太陽を盗んだ男という豪華二本立てを見たとき以来。 なので、道もロクに覚えてなかったけど、今の僕にはスマホという大きな味方がいる。 グーグルマップに導かれるままにあっというまに着いた。
ピンサロやゲーセンが並ぶ路地を入ってすぐのところ。 懐かしいP店のビルがあった。
やってるぜ、ゴダール特集。
エレベーターで3階に上がると、周りの猥雑な雰囲気とは異質な空気が僕を迎えてくれた。 壁には本日2本のポスターが飾られてる。
ただ、ちょっとした勘違いもあった。 新文芸坐は二本立てが原則なんだけど、今回に限っては一本ずつの入れ替え制。 それと僕はシルバー割引のためにパスポートを持参していったんだけど、本日は映画の日なので一律シルバー並みの千円なんだって。
で、僕はチケットを2枚買った。 スタッフさんが整理券を渡してくれる。 4番と2番だった。 特等席確定の順番だ。
開場の2時まで2時間以上ある。 で、僕は昼飯を食べに外に出た。
なにを食べるかは決めていた。 寿司食いてえ。 そういうスイッチが入ってたんだよ。あるでしょう、そういうときって。 周りはコテコテの飲食街。 回転寿司のひとつくらいあるだろう。 で、ぶらぶら散策したら、さっそくあった。 こういうお店。 大将はお相撲ファンに違いない。
僕はカウンターに腰を下ろすと、まず生ビールを頼んだ。 喉ごしのいっぱい、たまらんかった。 で、一等安い130円の皿を慎重に選んで注文した。 えんがわに真鯛。 美味し。 特価100円の生ゲソが回ってきたので取った。 美味し。 甘ダレ系を2品。あなごとしゃこ。 かぶり気味の味で失敗な注文。 最後にカンパチで締めた。
生ジョッキ一杯と寿司6皿で1296円也。 リーズナブル。
で、まだ時間が余ってるので、サンマルクで一服して珈琲を飲んだ。 216円也
そうして新文芸坐に戻ったら、ロビーはそこそこ人が集っていた。 それはいいんだけど。 おいおいではあった。 ジジばっかり。 ババが多少。
そりゃまあ、GW中とはいえ平日の昼下がりなんでさ。 働く現役には手が出ない時間帯なことは確かなんだけど。 学生さんはどうした。 おいらが学生をやってた時分は名画座といったら、青白き長髪の獣のたまり場だったぜ。 それがなんだい、ここは。
と思ったところで気がついた。 現代の若者は日頃おいらが出入りしてる新作アニメの封切り館に群がってるんだった。
で、僕は初老軍団の先頭を切って、館内に入場した。 で、そこから段差が始まるので前の席の人が邪魔にならないI列の通路側に腰を下ろした。
で、見たよ。
この映画、僕が生まれてまもなくの頃に作られた。 で、世の中に一大センセーションを巻き起こした。 僕はそれから大分経ってから仙台の名画座で見た。 それっきり。
どんな物語か簡単に言うと、チンピラが勝手やって勝手にくたばる話。
改めて見ると、たしかに斬新だったのだと思う。 僕は映画技術の具体的なことには疎いんだけど、それでもなんとなくわかる。 なんだか自主映画っぽい。 物語はシャンゼリゼ通り、凱旋門などパリの観光名所的なところを舞台にしてる。 小型カメラのゲリラ撮影。 やけに長回し。 やけに俳優の顔面クローズアップが多い。やけにセリフが多い。伏線になる会話あり、無意味な会話あり、独白あり。 もう、しゃべりまくり。 それで魅せる。 そんな映画だ。
で、僕はそういうこと以前にこれは煙草の映画だと思った。 主役のジャン・ポール・ベルモンドはどんなときでも煙草を吹かしている。 女といちゃつくとき、指名手配をくってグラサンの顔を新聞で隠すとき、電話するとき、運転しながら拳銃をいじるとき。
ジャン・P・ベルモンド、ジャンの兄貴、イカしてるぜ。
僕は映画がFINになったあと、ロビーの喫煙コーナーに飛び込んだ。 同じような人が大勢いたよ。 ジジが多かったけど、ちょっと雰囲気のある若いおねえさんもいたな。
で、ゴダール畢竟の大作の上映時間になった。 僕はさっきと同じIの通路側に陣取った。
初めて見たのはやっぱり学生時代の名画座だった。 で、次に社会人駆け出しになって、相棒のろまさんと一緒に大阪の名画座で見た。 それっきり。
一回、中野のブックオフでDVDを買ったんだけど、酔っ払ってスナックに置き忘れちまった。 で、マスターに返してくれと言ったら、若い客にやっちまっただと。おいおい。
で、見たよ、気狂いの。 えがったあ。
どういう物語かというと、時速100キロで破滅に向かって突っ走る男と助手席に座った謎の女の話。
モノクロの勝手にしやがれと違って、こっちはカラー。 極彩色というかサイケというかの世界。 太陽はあまねく照らし、海も空もあくまで青い。 で、しゃべり、しゃべり。ときには歌い、踊る。 で、魅せる。
ここでも主役はジャン・ポール・ベルモンド。 一見インテリのブルジョワ。 小難しかったり、絵本だったりの書籍を常に小脇に抱えていて、諳んじたり朗読したり。 でもやることはむちゃくちゃ。
さらにこの映画が凄いのは女優。
僕は「勝手にしやがれ」の知的なジーン・セバークにはさして魅力を感じなかった。 あれはあくまでジャン兄貴の独壇場だった。
でも、「気狂いピエロ」のアンナ・カリーナはねえ、イカしてた。 生活感ゼロ、生々しい本能と色気丸出しの原色の女。
さすが、ゴダールがベタ惚れしたヌーヴェルヴァーグのミューズだ。
「勝手にしやがれ」はジャン兄貴の独白「結局のところ、俺はバカだ」で始まり、「気狂いピエロ」は彼の独白「俺はバカだ。こんな死に方なんて。。」で終わる。
なんちゅう粋な組み合わせをやってくれたんだい、新文芸坐さん、だったよ。
なので、僕はこの映画館が用意してくれたパンフレットを購った。 映画のパンフを買うなんて、シン・ゴジラ以来だ。1000円也。 まあ、映画代2000円、寿司代1296円、珈琲代216円を全部足して3512円のチープな休日を過ごしたので、これくらいの贅沢は許されるだろう。
で、パンフの中身を紹介するなんて野暮はしたくないんだけどひとつだけ。
この2本のヌーヴェルヴァーグは寺尾次郎という人が字幕をつけた。新しい翻訳だ。
その寺尾さんがパンフに新訳をつけるに至った経緯を書いてるんだけど、それがね、みんなが無視して僕と盟友だけが評価している村上春樹のチャンドラー翻訳に触発されたというんでさ。 抜粋したくなっちゃったんだよ。 寺尾氏曰く。
今回の暴挙に踏み出したのは、村上春樹氏が新訳として発表したレイモンド・チャンドラーの「ロング・グッドバイ」の訳者あとがきを読んで、以前からその考えに共鳴していたからである。 「翻訳というものは家屋にたとえるなら、二十五年でそろそろ補修にかかり五十年で大きく改築する、あるいは新築する、というのがおおよその目安ではないかと常々考えている。」
その相棒のろまさんとは5月4日のみどりの日に中野で呑んだ。 おいおい、今回は映画の話で呑みの話じゃないだろうって? 大丈夫、話はちゃんとつながるので。
彼とはいつもの安い店で昼呑みした。
ぼく 「こないだ気狂いピエロを見た。字幕の人が村上春樹のロンググッドバイに背中を押されたとパンフに書いてた」
ろま 「清水俊二は今にして思うと直訳に過ぎるかたい感じもあるしな」
ぼく 「俺は今、さよなら愛しい人を読んでるとこだ。いい感じだね、ムース・マロイ。あれも君に何年も借りっぱなしだったので、ここの払いを千円持つよ」
ろま 「そんなのいらん。映画といえば俺はこのGWにアウトレイジの最終章を久々に見た。よかった」
ぼく 「あれはなあ、北野ファンの俺としても見ねばなんだけど、緒作を見逃したんで、2、3作も見ずじまいになってるんだよ」
ろま 「緒作は君にはきついかもだ」
ぼく 「グロイの?」
ろま 「ていうか、緒作のテーマは痛みなんだ」
ぼく 「痛いのはきらいではあるが。。」
ろま 「半端ないぞ。ドリルを口の中に突っ込んだり」
ぼく 「げえ」
てな話をして。 もう1軒だけ安居酒屋に寄って、僕らとしては軽い目で引き上げた。
ぼく 「明日は池袋で懐かしの仏映画を見るので早起きせねばなのだ」
で、僕は無事に家に帰り着いて。 カミさんと女子卓球を見た。
掟破りの南北合体コリアに三たて。 気持ちよかった。 ミマパンチ炸裂、カスミよくやった、ミウ超高速すぎ
そんなことで5月5日のこどもの日、僕はすっきり早起きして、池袋に向かった。
上映開始は9:45。 でも、整理券を確保するのに何時までに行けばいいのかわからなかったので、8時には映画館の前に着いた。 入口のシャッターは閉まってる。 まあ、そうだろうなということで、横の公園で煙草を吹かしたりスマホをいじったりして、8時半まで時間をつぶして再び趣いたんだけど、相変わらずシャッターは閉まったまま。
今日も二本立て、3時までの長丁場で昼飯を食う余裕もなさそうだ。 なにか腹に入れといた方がよかんべと思った。
サンマルクのパンじゃ物足りない。 一方で朝っぱらから吉牛というのもちょっと。 ということで、富士そばに入った。 かき揚げそば、410円也。
で、9時前に映画館に戻ったら、シャッターの前に佇む人らがいた。ジジ3人にババ2人。 僕は6番目の初老の男として列に並んだ。 僕の後ろにも人が並ぶ。 全員ジジババ。 9時にシャッターが空いて、僕らはエレベーターで3階に上がって、また同じ順番で行列を作って、チケットを買った。
今回はきっちりシルバー割引を使って、1000円のチケを2枚。 ゲットした整理券は6番と4番。 今回も好位置キープだ。
この日かかったジャン・ピエール・メルヴィルはなにしろ知る人ぞ知るの人なんでね。
ゴダールに比べるとポスターも地味め。
パンフレットもなし。 ゴダールのときは特製Tシャツやトーチバッグまで売ってたけど、当然そういうのもなし。
で、僕は壁にかかったほかの作品のポスターを眺めたりしてた。 芹明香特集かあ、「仁義の墓場」に「青春の蹉跌」ねえ。 ていうか、こんなピンクものもやるんだなあ、ということでポスターをスマホで撮ってたら。
「こらこら、そんなの撮ってどうしようというんだい」と後ろから声をかけられた。
なんだなんだと思って振り返ったら。 ろまさんがにこにこ笑って立っていた。
「面白そうな映画なので、俺も来た」
いやあ、これはこれは。 せっかくだから2本目も一緒に見て、久しぶりのブクロで呑もうぜと誘ったんだけど。 娘さんが旦那と一緒に来ることになってるので、午後には帰らないとならないということだった。
で、喫煙コーナーでダベッた。
「すごい客層だろう。中年すらいない」
「GWの真っ最中に古い映画を見に来る人らだからなあ」
「気狂いピエロのときはまだ若いのもチラホラはいたんだけど」
「ゴダールの前はアンジェイ・ワイダ特集だったのか」
「見たことある?」
「大理石の男を岩波ホールで見た」
「やけに渋いじゃないか」
「○○先輩に連れてかれた。あの人、ああいうのが大好きだろ」
「あの変人の人。わかる」
てな不謹慎な会話のあと、僕は列の先頭集団で入場して、Iの席に座った。 20何番目かだったろまさんもほどなくして入ってきたので隣の席に座った。
僕らが見たのはこれ。
僕はこれが大好きでねえ。 最初にその存在を知ったのは中学生のときだった。
日曜洋画劇場で初めて「荒野の用心棒」を見たとき。 ヨドチョーさんが解説でジャン・マリア・ヴォロンテの新作ということで、この作品のスチール写真を出してくれたんだよ。 また、ジャンだ。 フランスでなくイタリアの人だけどね。
その後、夕刊の広告を見た。 当時、僕は映画広告を切り抜いてコレクションにしてたんでね。 たしか、キャッチコピーは「悪党ドロンが日本任侠界に挑戦状を叩きつけた」だった。
その後、封切りを映画館で見る機会があった。 とある日曜に親父が相棒と一緒に「仁義」を見に行くからお前も来るかと誘ってくれてね。 すっげえ行きたかったんだけど。その日は当時入ってた吹部の練習があったのでダメだったんだよ。 チクショー
それから幾星霜して自分の相棒と映画館で見ることになったんだから、人生は赤い輪だよ。 赤い輪っていうのはこの映画の原題。 Le Cercle Rouge
結局、僕の初見は日曜洋画劇場だった。 その後何回かビデオで見た。
よく覚えてるのは。 結婚前のカミさんとビデオを見た。 彼女、見終わった感想ノーコメント。 今にして思うと、女子と二人で見るタイプの映画じゃぜんぜんないんだけどさ。 俺が面白いと思うものはこいつも面白いと思うに決まってるみたいな思い込みがねえ、若気の至りであったわけだ。
で、久々に見たよ、仁義。 えがったあ。
これまた簡単に紹介すると、運命の糸にたぐられた三人の犯罪者が仁義を通す物語。
完璧に男だけの話。 女性もワキで何人か登場するけど、売女(バイタ)ばっかり。
センターは言わずと知れたアラン・ドロン。
前半の相方がジャン・マリア・ヴォロンテ。 マカロニ・ウェスタンで見せた黒豹のような精悍かつぎらついたヒールぶり健在。
後半からイヴ・モンタンが絡んでくる。 渋いよ。 この人はどこぞの国のような歌謡スターの片手間な俳優業じゃない本格派だからね。
コスタ=ガヴラスの三部作なんかねえ、凄かった。
これの字幕も寺尾次郎さんが担当してた。 やっぱり新訳なんじゃないかと思う。
少なくとも、日曜洋画劇場の吹き替えとは違ってた。
イヴ・モンタンが警察同期のブールヴィルに向かって吐くいまわの際のセリフ。
「相変わらず不器用な刑事をやってるのか」
昔見た吹き替えはこうだった。
「警察なんてクソくらえだ」
映画がハネたあとの僕らの会話。
ぼく 「えがったろう」
ろま 「ノワールだなあ」
で、ろまさんと別れた僕は再びI席に腰を沈めた。GW最後の作品はこれだった。
最初に見たのはたしかゴールデン洋画劇場だったと思う。 そのあと、ビデオで一回見た。 それっきり。
なので、忘れてるシーンが多かった。 例えば冒頭のシーン。 凱旋門をバックにしたナチスの軍楽隊の行進。 こうきたかあ、だった。
ドイツに占領されたフランスのことをフランス人が映画にした。 といえば、レジスタンスの物語に決まっている。 簡単に紹介するとそういう話だ。
センターはリノ・ヴァンチュラ。 41才の電気技術者にしてレジスタンスの闘士。
ジャン・ピエール・カッセル(またジャンだ)にポール・ムーリス。
忘れちゃいけない。 ろまさん、「仁義」に出てた猛烈なイヌを放し飼いにしてる故買屋を覚えてるかい。 彼が大事な役でこっちにも出てたよ。 ポール・クローシュという仏フィルム・ノワールに欠かせない役者さんだ。
こういうレジスタンスの男たちの仁義の物語が「影の軍隊」だ。
シモーヌ・シニョレがレジスタンスの幹部として大事な役どころを演じるんだけど。彼女は紅一点じゃなくて、男の中の男というキャラクターだった。
太陽が顔を出さない無口なメルヴィルのノワール世界2本、久々に堪能したよ。
僕は深い満足感とともに新文芸坐をあとにすると、近場の公園で一服つけた。
メルヴィル作品にもモクが重要な役回りであちこちに出てたんでね。
ドロンがヴォロンテに煙草とマッチを放って害意がないことを示すシーン。 モンタンが煙草に火をつけてアル中の手に震えがないことを確かめるシーン。 ヴァンチュラがナチスの監獄にぶちこまれた連中に煙草とマッチを放って、皆が1本ずつ回していくシーンなどなど。
で、駅に向かおうとしたら、ニャンコが一匹いたのでスマホを向けた。
最初はいやがってたけど、だんだん慣れてきて僕の足元に来そうになったそのとき。
後ろで知らないジイさんがいきなりでかい声で独り言を喚きだした。
皇太子さまは立派な方である
とかなんとか。
びっくりしたニャンコはさっとあっちに逃げちまった。
なんだこりゃ、まるであれだ。 気狂いピエロのラスト近くに出てきた音楽が頭の中から離れないというわけのわからんことをしゃべり続けるおっさんだ。
やれやれ。。 ピエロ・ル・フー
だよ、まったく。
で、そんなジジィとはお近づきになりたくないので、僕もその場を離れて家路を急ぐことにした。
ということで、久々の長ーい映画日記はおしまい。
長いようで短かったゴールデンウィークも今日でおしまい。 明日からまた労働の日々が始まる。
締めに「勝手にしやがれ」にちなんだ一曲を。
というと、沢田研二と思った人が多いと思うけど、あにはからんやモーツァルトだ。
映画のラストの方、隠れ家でベルモンドとセバークがこれのレコードに針を落とすんだよ。 僕はこのコンチェルトが好きでねえ。 CDをしょっちゅう部屋で流してる。 僕の持ってるのはアマデウスを振らせたら天下一品のカール・ベームとウィーン・フィル。クラリネット奏者は誰か知らないままなんだけど、とにかくYouTubeにそれは見当たらなかったので。 日本人の演奏にしばし耳を傾けてよ。
モーツァルト クラリネット協奏曲 イ長調K.622 第1楽章 Allegro
https://www.youtube.com/watch?v=d_QczOZgw5U
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