トレンチタウンへの手紙ー１ あの頃は皆が輝いていた
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原宿トレンチタウンがなくなってから九年の月日が流れた。トレンチがあった時代は時間の闇に消えようとしている。しかし、我が家の物置に眠っていた無数の当時の手紙を今読み返してみると、当時の出来事が心の中に鮮烈に蘇えってくる。僕たちに関わった全ての人達がレゲエやラスタやボブ・マーリイを愛することで、よりよく生きようと頑張っていた。旅に出る人も多かった。ある人は今でも交流が続いているが、中には沢山の楽しそうな旅先からの手紙を残して消えていった人もいる。普通の生活に復帰した人もいれば、ジャンキーになった人もいる。一生続く障害を背負った人もいる。誰もが幸せに健康的に豊かに生きて欲しいと願っても、店を訪れた無数の人達の中には残酷な運命に出会った人もいた。それでも、あの頃は皆楽しそうだったし、皆が輝いていた・・・・・。彼等の手紙を読むと、楽しく、切なく、嬉しく、優しく、辛い気持ちになる・・・・・ ２００３年初夏/鹿野山 ジャー・ヒロ
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（共産圏時代のポーランドからの手紙） Bydgoszcz １１−０５−８７
ピョートル・ケンパ POLAND
こんにちは日本
ポーランドから挨拶を送ります。私はビヅゴチェスに住む者です。英語が下手なのをお許し下さい。私は昔からルーツレゲエ、ダブ、トースティング(DJ）、ソカ、カリプソ、メントなどの音楽や、ラスタファリ・ムーブメントに興味を抱いてきました。
ポーランドでは、レゲエの情報やレコードを入手するには多大な困難があります。しかし、そんなポーランドでも、レゲエを演奏するバンドが活動しています。例えば、KULTURA、IZRAEL、GEDEON JERUBBAAL、NIEPODLEG・・・、RAP、ROKOSZ、DAAB等々です。どれかを、あなたは知ってましたか？
ポーランドでは、毎年レゲエ・フェスティバルが開催されています：GRAND FESTIVAL ROBREGE/WARSZAWA/REGGAE is KING/POZNAN/REGGAE NAD
WARTAなどです。
私も一度友人と共に「RASTAMAN」というレゲエ雑誌を発行したことがあります。あなたの活動内容やそちらのレゲエ出版物について教えて下さい。日本でも、レゲエ・バンドの活動があるのでしょうか？
お願いがあります。もし出来るならば、あなたの出版物やバッジやレコードやTシャツを送って頂きたいのです。もし願いがかなえば、こんなに幸せなことはありません。それと交換条件として、あなたが欲しい物を是非教えて下さい。ポーランドのレゲエ・レコードなどはどうでしょうか？
ONE LOVE KEMPA
（ヒロの返事）’８７/５/２２
ジャー・ラスタファリの名において挨拶します。私は鉄のカーテンの向こうから新しい風がそよいできたのを、とても喜んでいます。私は全ての人類が地球の子供たちであると信じております。そしてレゲエやラスタファリズムのメッセージはより自然に沿った生き方を示しています。そしてどうすれば人類が共存できるかをも示唆しています。今日（こんにち）、レゲエのムーブメント（潮流）は世界中に広まっています。私はこれらの小さな活動が集積していき、地球上に平和と幸福と愛をもたらす正義の力として大きく育つことを願っています。
とにかく、私は幾つかのテープや情報等を送り、今後とも交流を続けたいです。私達は共産圏の国家内でのルーツ・ムーブメントに非常に興味を抱いています。もし可能であれば、あなたの地元のレゲエ・バンドのレコード等を是非送ってみて下さい。
ONE LOVE JAH HIRO TRENCHTOWN
（ケンパさんの返事） １４・０２・１９８８
こんにちは！（Greetings！）
三本のテープを有難う。親切を感謝します。ジャー・ケイスケは素敵なバイブレーションを持った、素朴なルーツ・シンガーですね。ホノルルのレゲエ・ラジオは最高だし、アメリカのWNWK（レゲエ・ラジオ）は特に最高だったです！
10月か11月に、私は二枚のLP（IZRAELとISSIAEL）を送りましたが、着いたでしょうか？返事を待っています。１９８８年の１月には、DADAとDAABの二枚のLPを送りました。確認の連絡をよろしくお願いします。あなたが送られたテープに、もう一度感謝します。グッドラック！（幸運を！）
KEMPA PIOTR（サイン）
PS：ポーランドは逆境にあり、バビロン・システムは際限なく弾圧を続けています。
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