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2018年01月23日23:59

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枢軸脳

今朝、通勤の車窓から見た多摩川は河原が雪化粧をして綺麗でしたが、一昨日、もう少し下流の所で、右派の著名な論客である西部邁氏が入水自殺されました。

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率直に言ってこの方については、ゴー宣で扱われていたのとかなり前に対談を少し読んだだけで詳しくはないのですが…mixiニュースで、AERAのソースですが、「日本人はJAP.COMの社員」と述べられていたそうです。
保守の論客が一般的に日本人への差別用語とされる「JAP」を自ら用いるのは、日本人の不特定多数の大衆を煽る意図があるのが明白でしょう。それであれば自分も、よく存じ上げない方ではありますが、この際いわゆる「反米保守」について感じつつあった違和感についてまとめつつ煽り返す事ではなむけの言葉としたいですね。

西部邁さんは、「枢軸脳」であると思います。

■西部邁さん死去 自殺か ウーマン・村本さんとの対談で「日本人はJAP.COMの社員」
(AERA dot. - 01月21日 22:02)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=173&from=diary&id=4952772

(以下引用)

 評論家の西部邁(すすむ)さん(78)が21日、死去した。東京都大田区田園調布5丁目の多摩川に自ら入り、警視庁と消防が西部さんを救出したが、約2時間後に搬送先の病院で死亡が確認された。

【ウーマンの村本さんとの対談はこちら】
 
 警視庁によると、同日未明に家族が「父親がいない」と110番通報。行方を捜しているなかで、多摩川で発見された。河川敷に遺書が残されており、自殺とみられている。最近は体調が優れなかったという。

 1939年、北海道生まれで東大経済学部卒。元東大教授。保守派の論客として活躍した。著書に「大衆への反逆」などがある。最近まで雑誌「表現者」顧問をしていた。

 2017年12月18日号のAERAでは40歳以上、年の離れた芸人のウーマンラッシュアワー・村本大輔さんと対談し、話題を呼んだ。

 西部さんは村本さんとの対談で一度も投票に行ったことがないことを笑顔でこう明かしていた。

「最初の投票用紙が送られてきた20か21歳のとき、東京拘置所にいた。当時は東京大学の学生で、暴力革命を唱え、政治犯の被告として収監されていた。暴力といっても首相官邸や国会の門扉を壊した程度だったけど、確信犯だったからそんなやつが投票をするのは間尺に合わないと考えた。その後も転居の連続で10年ぐらい投票用紙が届かなかったし、あえて投票のことも考えませんでした」

 また、「投票が権利ではなく義務だというなら、放棄した場合には罰金を設ければいい。世界にはそういう国もある」と持論を村本さんに披露していた。

 西部さんは対談の中で、安倍首相にレクチャーしたエピソードも語っていた。

「安倍さんとは彼が最初に総理を辞めた後、1年間研究会を開いて正しい保守についてレクチャーをしていました。そのうえで気に入らないことを言わせてもらえば、日米同盟の下で安保法制をつくったことです。僕は安保法制自体には何の問題もないとの立場で、自衛隊が行く必要のある特殊事情があるなら、地球の裏側でも行け、鉄砲も撃てと思う。だけど、それを米国のような国とやるな。米国は北朝鮮の核武装はけしからんと言っておいて、自分たちの友好国のイスラエルなどには、どんどんやれと言っているような国です」

 現在の日米関係については辛辣に語っていた。
「米国もめちゃくちゃになっているから日本を守る気なんてない。それに、北朝鮮のような侵略性むき出しの国が核武装すると世界の迷惑だからつぶせと言うけど、最も侵略的なのは米国に決まっている。僕は日本人だけど、その圧倒的大多数はアメリカンデモクラシーの名の下にアメリカの属国民、つまりJAP.COMの社員になっている」

 村本さんはツイッタ―で≪堀潤さんから「とんでもない人がいたよ!」って教えてくれたのがこの人。そのあとTwitterで西部邁さんと話したいって書いたらAERAから対談のオファー。何というか目のキラキラした少年と話してるような、そんな人。また話したかった。≫と記していた。(AERAdot編集部)

(以上引用終わり)

今日枢軸国といえば、その言葉が指すのは日独伊三国協定の日本、ドイツ、イタリア。それらの国々と連携した国も含まれますが、大まかに言って代表はこの三国となります。
この枢軸国をどう形容するかというと、とかく悪の権化のように言われる場合が多いですが、自分がこれまでに見てきた情報から総合すると、枢軸国とはつまるところ「アンチ連合国」です。連合国と上手くやれなかった、冷たい扱いをされた。だけど一国では連合国と渡りあえない、そんな国が同志を探し野合した集まりこそが枢軸国であると思うのです。
なおソ連を筆頭とする共産圏はどうなるかというと、これは連合国側であると認識します。ソ連がアメリカと仲違いしたのは終戦後の1950年代であり、第二次大戦中にはレンドリース法で英米から兵器の融通を受けていたのですから陣営としては間違いなく連合国側です。

で、その枢軸国が連合国と渡り合うに当たりどんな手法を用いたかというと、これはつまるところ短期決戦です。奇襲や電撃作戦で相手の拠点を叩き、戦闘不能な状態に追い込んだり厭戦気分を引き起こさせたりして、相手を無力化し自分の主張を通させる。
しかしその戦術は自国の軍事力に対する無謬の信頼無くしては成り立たず、結果から見れば緒戦こそいい結果を出したとはいえ、中盤以降は物量の差に圧倒されたり逆に軍事拠点を巡る攻防で圧倒されたりして尻すぼみになり、それどころか戦争に完敗してからの敗戦後は緒戦の快勝ゆえに連合国側に巨悪の権化のように扱われるのになすすべもなかったりします。
これはアメリカに限らず、戦勝国連合であるところの国連でも元枢軸国に対しては通常の手続きを経ずに攻撃することを認める敵国条項が今なお温存されています。

では、アメリカや国連から差別的な待遇を受ける現状をどうすればいいのか。戦争が終わって70年も経ったのにいつまで日本は頭を垂れて謝罪や反省をしなければならないのか、ですが、これについては自分は、明治日本が欧米列強に課せられた不平等条約を改正したときと同じやり方で行くしかないと思います。
つまり国際社会に認められる手柄を上げ、それと引き換えに権利を獲得していくしかないと思うのです。西部さんは対米追従をJAP.comの社員と表現されたようですが、これは視野の狭い発想であり、社員に例えるなら日本はむしろUN.comの中途採用の社員と言えます。
社内の評価を得ることでステップアップして出世し、裁量の範囲が増えると同時に責務も重くなる。そういうサイクルこそが今の日本に求められている道だと考えます。また恐らくそれをやれるだけの実力もあります。そして、現状で日本のお目付け役の上司に当たるのはアメリカですから、アメリカと上手く折り合っていくことが必要になる。これを一言で表すと「親米」ということになります。

…この認識を前提に見ると、反米保守というのは実に頼りない存在です。上司=アメリカに押さえつけられることに反発しあら探しはするが、会社=連合国主導の国際社会の中で、上司と部下の関係にあるからこそ居場所が確保されていることには想像が及ばない。権利と自立は欲しがるが、それを確保するためにどのように働けばいいか突き詰めて考えようとしない。
この狭い視野は、極論すると枢軸国に見られた傾向とも言えます。連合国は名前の通り国の連合であり、先述のレンドリースのように連合国同士で便宜を図り恩恵を与えるような仕組みも機能させていました。
では枢軸国同士では果たしてどのような互恵関係を築けたでしょうか?大日本帝国はドイツ第三帝国に対して、またドイツ第三帝国は大日本帝国に対して、果たして曲がりなりに後世に誇れるような助け合いを実現できたでしょうか。
正直、現時点から俯瞰すると、日独の同盟は同盟のための同盟でしかなく、利益不利益で言えばむしろお互いの足を引っ張りあったようにしか見えません。何故そうなったかの理由は明白で、日本もドイツも結局自分のことで頭が一杯で他者への思慮が浅く、視野が狭かったのです。
枢軸国が巨悪だとは思いませんが、従って、連合国との間に格の違いは存在したし、敗北は必然であったと自分は思います。これを認識せず、「アメリカが嫌いだ、もう一度自立させろ、自立した後の具体的なプランは無いが今度は上手くやる」などと言うのは敗北に学んだとは到底言えませんし、学習がないとなれば仮に自立しても同じ事を繰り返さない保証はないのです。

日本の自主独立が制限されているのは、自分はアメリカだけでなく連合国=国連の一定数の総意でもあると思います。自由にさせても何をやるか分からないからまだ首輪をつけておこう、ぐらいなもので、つまり連合国の基準において信頼をされていない訳です。
これを日本とアメリカだけの関係に単純化してアメリカを責めるのは、感情面でのカタルシスにはなるかもしれませんが、いくら続けても信頼感の獲得という点では何らプラスにならず、逆に日本が戦前の軍国主義に立ち戻ろうとしているとの不信感を煽るだけでしょう。
実際、自主独立を実現した上で初めからアメリカと対峙する気満々ならそれは開戦前の姿勢と変わりませんから、誰が好き好んでそんな状況の実現をお膳立てするかという話なのです。

あるいは、日本がそういう姿勢を取るのを支持する国というのも現れないことはないかもしれません。ただその場合、その国はアメリカと対立していたりアメリカに互する勢力を作りたがっている可能性が高いでしょう。で、これに乗ったら何の事はない、枢軸国の再来で、欠点も敗北もそのまま再現されたなんてオチになることを自分は危惧します。

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