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2017年11月27日06:49

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11/25 遥かなる響き@リューベック

Musikalische Leitung Andreas Wolf
Inszenierung Jochen Biganzoli
Bühne Wolf Gutjahr
Kostüme Katharina Weissenborn
Video Thomas Lippick
Choreographische Mitarbeit Shiao Ing Oei
Chor Jan-Michael Krüger
Dramaturgie Francis Hüsers



Der alte Graumann Steffen Kubach
Seine Frau Andrea Stadel
Grete Cornelia Ptassek
Fritz Zoltán Nyári
Der Wirt des Gasthauses zum »Schwan« Taras Konoshchenko
Ein Schmierenschauspieler, Schauspieler Johan Hyunbong Choi
Dr. Vigelius, ein Winkeladvokat Gerard Quinn
Ein altes Weib Wioletta Hebrowska
Mizi Evmorfia Metaxaki
/ Andrea Stadel
Milli Caroline Nkwe
Mary Emma McNairy
Eine Spanierin Wioletta Hebrowska
Stimme eines Bariton Gerard Quinn
Der Graf Johan Hyunbong Choi
Der Baron Taras Konoshchenko
Der Chevalier Juraj Hollý
Rudolf Tim Stolte
Erster Chorist Hyungseok Lee
Zweiter Chorist Steffen Kubach
Kellnerin Wioletta Hebrowska
Ein zweifelhaftes Individuum Juraj Hollý
Ein Polizeimann Taras Konoshchenko
Ein Mädchen Wioletta Hebrowska

Chor und Extrachor des Theater Lübeck
Statisterie

Philharmonisches Orchester der Hansestadt Lübeck

呟きのとおり、片道3時間かけて雨の中を疾走。都落ち、しかもわざわざリューベックなんて地方都市劇場へ。(感覚的には、グローバルなリーグ(バイエルンとかリンデンとか)→準グローバルなリーグ(フランクフルトとかエッセンとか)→地方主要劇場(ハノーファーとか)→その次、のレベル。このオペラハウスの格付けも、それ自体議論したら止まらなさそうだが(笑))。
けど、これが大満足を呼び起こすから、独語圏オペラハウス巡りは止められない。

劇場は20世紀初頭に建てた800席ほどのもの。昨年まではお馴染み沼尻がGMDを務め、今シーズンは空席、代行としてこの日の指揮のヴォルフが務めている。
沼尻は(これまでの日本での各公演の印象を総合して)てっきりクビになったのかと思っていたら、今シーズンも新演出1再演1(セヴィリア、オランダ人)を振り、コンサートでは柄にもなくブル8を振らさせて頂いているようなので、見限られたというわけではなさそうだ。

いざ公演。このプロがリューベック初演、この日が2公演目とのこと。(シュレーカーブームがあった20年代には既に開館していたのに不思議。)でもこの劇場の良い面を総ぞろいで見せてくれた印象。

まずは指揮のGMD代行。初めて聞く名前だし、Operabaseによると他の劇場では振ってないし、きっと現段階では本当の劇場関係者(普段は歌手の稽古につきあったり等)なんだろうが、これは見事。シュレーカーのオケピットでのキモはフレージングの伸縮と各パートの適切なバランス。これが及第点。また、陶酔から興奮・法悦に至るグラデーションの変化が、実にシームレス。もちろんさすがに第三幕の場面転換の音楽等になるとこれまで実演で聞いたギーレン、メッツマッハーに一歩劣るが、これは相手が悪い。ここまでできれば十分。この名前は数年くらい経ったらいろんなところで見かけるようになるだろう。
(…と、自分が見い出した若手でその後頭角を現した指揮者があまりいないのもまた事実だが。ペトレンコ(コーミシェ)はすぐに飛び級出世することは誰の耳にも明らかだったし、ヨルダン(リンデン)も同様。フォレムニーはシュヴェリンのGMDなんて踏み台にいつまでも留まった挙句、ライプチヒの2番手?ブルニエルはジュネーブでは聞いたが、ダルムシュタット→ボンと15年間も横滑り?)

閑話休題。演出のビガンツォリも見事。現代の普通の貧困の問題に置き換えるのは違和感がなく、かつ、あまりディテールに拘らずにシンプルにまとめるのが秀逸。冒頭に出てくる家は透明なプレハブ、売春街は3面を光を反射するモールを垂れ下げるだけで表現(そして2幕幕切れでフリッツに罵倒されたグレーテが踊り狂うところではこのモールを引き上げて舞台裏をそのまま。精神的な荒涼の表現として完璧!)、第3幕に至ってはピットを舞台にして(床面を舞台の高さまで上げきる)、オケは舞台の後ろに。第一場はプレハブの後ろで伴奏、場面転換の音楽で前にせり出すというのは演劇的にも音楽的にも大正解。本当に秀でた舞台は大道具無しでも表現力・説得力満点、という好例。

そしてフリッツのニャーリ。はっきりいって声楽的にはあまり恵まれていないこの作品にはもったいない(笑)ほど立派な声。ワーグナーで聞きたい…と思ってたら、来年3月のケムニッツではジークムントを歌う由。彼も自分の公演選択時には優先的に考慮。

ここまで揃えば、後は自然と。グレーテのプタセークは、演技は及第点だが、歌手としては現在の実力も今後のあり得る伸びしろも…という感じ。(かと思うと、第二幕最後の「私と結婚だって?フフ」等はばしっと決める。この人の所属のマンハイムでの評判はどんなんなんだろう)第2幕で繰り返し言い寄る男どもは、まあ、3流。これらの傷も、そもそも公演全体の印象・雰囲気が既に極めてポジティブなので、公演全体の感興を削ぐことにはならず。

というわけで、本当に久しぶりのシュレーカー体験は素晴らしかった。帰りの車中も3時間延々と室内交響曲、あるドラマへの前奏曲、インテルメッツォ等々をエンドレス再生。来年はコーミシェでショルテス/ビエイトなる重量級の烙印あり。シュレーカーの独語圏内外での公演頻度の格差はワーグナーやシュトラウスの比ではない(というか圏外はほぼゼロ)だけに、これを堪能できるのはまさに独語圏生活の醍醐味。
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