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2017年04月03日21:51

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ドゥーチュィムニー「沖縄・翁長知事の宣戦布告に漂うしらけムード。普天間基地の辺野古移設工事が再度法廷闘争か!?」

 「明日大きな動きがあります。詳しくは知事が会見で発表します」

 3月15日に就任の挨拶まわりで東京に出ていた沖縄県の富川盛武副知事は、首相官邸での菅義偉官房長官との会談後、記者らのぶら下がり取材に応じて、そう予告してみせた。

 翌日の記者会見で翁長雄志知事が明らかにしたのは、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設工事で、新たに工事の差し止めを求める訴訟を検討しているとのこと。「またか」という気もしないでもないが、詳しく説明するとこうだ。

 辺野古沖を埋め立てて建設されるこの基地は、防衛省が県から岩礁破砕許可を得て工事が進められている。

 岩礁破砕許可とは、漁業権が設定されている漁場で、岩や珊瑚礁を破砕するために必要な許可のことで、現在は、仲井真県政時代に出された許可に基づいて工事が進められてきた。ところが、この許可は今年3月末で切れてしまう。かねてから翁長知事は、防衛省が再び許可の申請を出してきた場合には、これを認めない意向を示していたが、防衛省は今年1月に辺野古沖に漁業権を持っていた名護漁協との間で、漁業権を放棄する手続きを終えていた。漁業補償額は6億円に上るという。

 漁業権がなくなったのだから、岩礁破砕許可の更新の手続きは不要だというのが、防衛省の見解。3月末に更新のタイミングがやってくるのを見越して、知事権限そのものをなくしてしまおうと、早くから防衛省が手を打っていたというわけだ。さらに、3月14日付で、水産庁が沖縄防衛局に、漁業権が漁業法31条に基づき組合員の同意があり、かつ水産業協同組合法に基づく漁協の総会決議を経て放棄された場合は、漁業権は知事の変更免許を受けずとも消滅し、岩礁破砕の許可も不要になるとする文章を送付している。防衛省は水産庁からもお墨付きを得たかたちだ。

 これに対し、沖縄県は漁協が総会で決議したとしても、漁業権は設定されたままであり、岩礁破砕には県知事の許可がいるとの見解だ。そのため、現在の許可が切れる4月以降に防衛省が工事を続行した場合は、その差し止めを求める訴訟を起こす、というのが16日の記者会見の内容だった。

 以前にも書いた(※記事「肩入れから一変…沖縄メディアが翁長知事に辛辣な批判を浴びせる理由」)が、翁長知事はこのところ、地元紙や基地反対派の市民団体から仲井真県政時代の埋め立て承認を「撤回」するようたびたび迫られていた。そのたびに検討しているとするだけで、実際には二の足を踏んできた。3月16日の記者会見でも「常に視野に入っているが、その時々で判断していく」と答えるのにとどまっている。

 翁長知事の慎重姿勢の背景には、昨年12月に翁長知事が埋め立ての承認を「取り消し」したことを最高裁がに違法だとする判決が大きく影響しているのだろう。ヘタに「撤回」に打って出ても法廷で勝ち目がないという判断もある。

 かつて私の取材に菅官房長官は、「あの最高裁判決を得たことが決定的に大きい」と言っていた。県の主張を事実上、門前払いし、防衛省の主張をほぼなぞったかたちの最高裁判決は、翁長県政へのダメージは深刻なものだったはずだ。政府との駆け引きの司令塔役だった安慶田光男氏が副知事の辞任に追い込まれたこともあり、沖縄県内では、翁長知事はこのまま何もできずに一期で知事を辞めるのではないか、という観測も流れていた。

 それだけに、今回の差し止め訴訟を検討していると明らかにしたことは意外な印象も受けた。冒頭のとおり、富川副知事が「明日大きな動きがある」と予告してみせた後、官邸番の記者らからアテられた菅官房長官は「県の対応を発表すると言っても、もう終わっていることじゃないか」と漏らしたそうだ。最高裁判決を得たことに加えて、岩礁破砕許可もすでに手を打ってある、ということだろう。

 地元紙は記者会見での翁長知事の発言を大きく報じ、このところ批判にさらされていた翁長知事も息を吹き返したかのようだ。だが、政府が自信満々ななかで、それでも敢えて法廷闘争に売って出ようとするところに、かえって翁長県政の苦しさが滲み出ているように見える。

取材・文/竹中明洋
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