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2017年03月01日23:40

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外部性という視点で芸術を考えてみる

ちょっと専門的な話になりますが、漠然と考えていることを投稿します。長いですがご了承ください。

僕は、老人介護施設に笑いを届ける活動や、スマイリングホスピタルジャパンを通して小児病棟に笑顔をもたらす活動を行っています。

こういった活動はほとんどの場合ほぼボランティアの善意によって成り立っています。僕の場合は規模の大きな講演会でも同じ活動をできるので経済的な支障がなくてただただ幸運ですが、ほとんどの芸術家、芸能家の方はそうではありません。芸術家、芸能家がこのような活動を無理なく続けていけるような社会にするためには、公共政策として活動に対する補助が必要になると思っています。

公共政策の視点で考えたときに、補助が必要だという有力な根拠となりうるのは、経済学でいうところの外部性(外部経済効果)ではないかと考えています。

外部性というのは、ある人や企業が取引による対価を払うことなく便益を得られるような事例を言います。教科書に出てくる典型的な例は、景観の保全です。景観が保護されることによって、精神的な安らぎを得たり、観光客が来て店が潤ったりするといった便益を、直接の対価を支払うことなく得ることができます。

ここで、小児病棟に芸術を届ける活動を例に考えてみます。

医療行為とは違って、患者の子供たちが芸術活動そのものに対価を支払うことはありません。ですが、子供たちが楽しむことができます。それだけでなく、自分の子が楽しんでいれば親にとっても安らぎが得られますし、子供たちが少しでも治療に意欲的になれば、医療関係者の負担の軽減にもつながります。このような効果は、直接対価を支払うわけではないにもかかわらず芸術があることによって様々な主体にもたらされる便益であり、芸術の持つ外部性とみなすこともできます。

良い面での外部性がある場合、市場メカニズムに任せると供給が過少になるので、政府が補助を出して供給を増やすことが正当化されるというのは、経済学の教科書に書いてある常識です。ですから、芸術に外部性があると主張することは、非常に重要なことだと思うのです。

もはや10年位前からいずれは上に書いたようなことをきちんとした論文にまとめたり、政治行政に働きかけをしたりして世の中を変えたいと思っていますが、全然できてません。まだ実力が伴っていないのが正直なところです。あと何年かかるかわかりませんが、世の中を動かしたいと思っています。

ちなみに、外部性という概念、経済学の専門的な概念ですが、高校の政治・経済の教科書にも載っているようです。高校の勉強は実は相当高度だと感じずにはいられません。
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