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2016年12月19日22:49

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浜本隆史『魔女とカルトのドイツ史』

子ども十字軍、異端審問、鞭打ち苦行、舞踏病、ユダヤ人大量虐殺、魔女狩り、そしてヒトラーへ。中世ヨーロッパから現代に至る集団ヒステリー現象が、何故に特にドイツにおいて猖獗を極めたのか。著者は先ず、ドイツにおける北欧型文化と南欧型文化との二極的な矛盾と葛藤に注目する。そして自然的・宗教的・政治的危機に直面すると両文化の均衡状態が崩れ、集団妄想やカルトなどのパニック現象が発生するという。

しかし、両文化がドイツ精神史における対立軸(唯物論と観念論、合理主義と非合理主義等)とどのように対応しているのか、均衡状態が崩れた場合に両文化がどのように作用してパニック現象として顕現するのかは明瞭ではない。結局一連のパニック現象を検証して著者が得た結論は、「キリスト教」がドイツの基層文化(主としてゲルマン的な北欧型文化)を悪魔と看做して抑圧・支配したが、キリスト教文化の底流でフラストレーションがたまると抑圧されていた基層文化がマグマのように噴出しパニック現象が発生するという構図である。

ここで提示されている図式はキリスト教対基層文化であって、冒頭の北欧型文化対南欧型文化ではない。そもそもこの錯綜した状況を紐解いていかないと、将来のパニック現象を予防するという著者の希望は叶えられないのではないか。

http://booklog.jp/item/1/4061497057
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