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2016年10月07日22:55

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゚Д゚) < チャーリー (Charlie)

妄想しただけでニヤけちゃう! 一度は経験してみたい大人の贅沢
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=60&from=diary&id=4229682

 時間もお金も気にしないで旅行するって、たしかに憧れですわ〜。
 でも実際そんな事になっても、すぐ「あそこ行くには交通費と所要時間がこうで…」「滞在中の生活費がこうだし、滞在期間はこの辺だろうからその間に回れるとこって…」とか普通に考えてる自分が見える。子供の頃から、旅行好きな親にあちこち連れ回されたから、なんとなく先のスケジュールを想定しないと落ち着かないクセみたいなのがあってさあ…(スケジュールを守るかどうかは別問題でわーい(嬉しい顔))。

 一番の贅沢はあれじゃね?
 普段絶対行けないような海外とかの遠隔地にヒーコラ出向いていきながら、なにするでもなく時間をダラダラ過ごす。本かテレビか映画館があったら、基本がインドアな自分はそう言うことやるのが一番身体にあってそう〜(でも、そんなもったいない! って頑張っちゃう庶民な自分も見えるようだゼ…)。


 と言う、話がつながるんだかつながんないんだかな前フリと共に、今日は、そんなゆるやか旅に出たくなる絶賛日本公開中のインド映画をご紹介だゼ!


チャーリー (Charlie) 2015年 129分
主演 パールワティ & ドゥルカル・サルマーン
監督/製作/脚本 マーティン・プラーカット
"深呼吸すると、人生はこんなにも美しい"

https://www.youtube.com/watch?v=WYZsKuM3RbU

 大都市バンガロールに暮らしていたテッサは、姉(親戚?)の結婚式に出席するため実家に帰省していた。
 しかし、自分の知らない所で見合い結婚の準備が進められていたと知って母親と口論になり、翌早朝にさっさと家出。ヒッチハイクの末、ジャーナリストの友人シャヒーナの紹介で、音楽の勉強がてら港町コーチンで、適当な部屋を借りるのだった。
 だが、その部屋は前の住人の残した数々のがらくたの山が残ったまま。テッサは大家に怒り心頭ながら部屋の大掃除にとりかかることになる。

 その大掃除中、テッサは前の住人自作と思われる絵本「最初の夜」を発見。
 絵本はこの部屋自体を舞台に、大晦日の晩にそこに忍び込んで来たこそ泥Dソウザと、前の住人チャーリーとの出会い、チャーリーの無理矢理なDソウザとの意気投合と"仕事"への参加を描いていく。真夜中、とある家の屋根に辿り着いた二人は、そこから中の様子をうかがうも、慌てて逃げ出そうとするDソウザが目撃したものは……!!

 …絵本はそこで唐突に終わっていた。
 続きが気になるテッサは、絵本の作者と言う前の住人チャーリーを探し出そうとするのだが…。

挿入歌 Pularikalo (夜明けか黄昏か [それともこれは刈り取られた金の粒?])

https://www.youtube.com/watch?v=SmNJYC1Awug

OP Akale (遠くから [遠く離れた所から、誰かの歌が聞こえる?])

https://www.youtube.com/watch?v=ugFjBGmEdxM


わーい(嬉しい顔) 自由を愛しながらも悩める主人公が、"自由"そのものの体現者であるまだ見ぬ幻影"チャーリー"を追いかけていく、すれ違いロマンス・ロードムービーな、マラヤーラム語(南インド ケーララ州の公用語。その娯楽映画界を、マラヤーラム+ハリウッドで俗にモリウッドと言う)映画の傑作。
 日本では、現地公開すぐの2016年1月に埼玉県川口市のスキップシティにて英語字幕版が上映。その後、東京のキネカ大森での日本語字幕版が満員御礼で上映されて評判を呼び、同年10月に一般公開された。

 家や世間のしがらみから逃げ出したテッサの視点で、映画は気だるい観光地のケーララ各地の人々のゆるやかな暮らし映しながら、そののんびりした解放感、南国的幻想性、その裏の人生の不条理や不可思議さを表現していく。
 奇妙な物体に彩られるアパートの部屋、途中で途切れた絵本、そこから紡ぎ出される不可思議な人々の様々な人生、浮世離れなほど自由を謳歌し人々を翻弄する謎の人物チャーリー…。
 テッサの実家から始まる物語は、コーチン各所、茶畑広がるムンナール、プーラム祭でごったがえすトリチュールへと移っていき、南国ケーララの魅力を映し出す観光ムービーのよう。そこで暮らす人々の清も濁も飲み込んだゆるやかさが、ケーララの生活文化の重層的な面を見せてくれて、美しく飽きることのない多様性、マラヤーラム語映画でしか出せない世界を魅せつける。

 映画は、そうした背景の中を"チャーリー"を求めて彷徨うテッサのロードムービーで構成され、その画面構成、音楽、回想シーンのつなぎ、シークエンスの緩急も自由奔放に、あっけらかんと、感覚的に作り上げていく。それは、あたかも世間から乖離した自由の中で生きるチャーリーのように…?
 そのチャーリーに出会って価値観を変えられていく人々の翻弄具合がいろんな手法で表現されつつ、深刻すぎることもなく、かといって野放図すぎることもない。物語的どんでん返しもちゃんと機能させて、脚本、演出、その他映画技法をきっちり組み合わせていくプロフェッショナルな仕事の軽妙なこと。その小粋な映画力、素晴らしいの一言。

 主人公テッサを演じるのは、ケーララ州コーリコード(旧カリカット)の弁護士の家に生まれたパールワティ(・ティルワート・コットゥワタ。ティルワート以下は母親の名字)。
 学生時代に英文学を専攻する傍ら、バラタナティアム(タミル地方発祥の古典舞踊)を身につけ、大学卒業後は州都ティルヴァナンタプラムを拠点にTVの音楽番組司会として活躍する。
 06年のマラヤーラム語映画「Out of Syllabus」で映画デビューし、翌07年にはカンナダ語映画「Milana(ランデブー)」でカンナダ語映画&主役デビュー。08年には「Poo(花)」でタミル語映画にもデビューし、フィルムフェア・サウスのタミル語映画主演女優賞を始め数々の映画賞を獲得。その後も、この3言語映画界で活躍している。

 謎の男チャーリーを演じるのは、1986年ケーララ州コーチン生まれのドゥルカル・サルマーン。通称DQ。父親は、マラヤーラム語映画界の大スターとして知らぬ者のいない有名人マンムーティ。
 米国留学してインディアナ州のパデュー大学でビジネスマネジメントの学位を所得し、卒業後はアメリカやドバイでビジネスマネージャーとして働いていた。その後、役者になる決意をしてムンバイのバリー・ジョン演技スタジオにて3ヶ月間修行。12年のマラヤーラム語映画「Second Show」で映画&主演デビューし、フィルムフェア・サウスと南インド国際映画賞の男優デビュー賞を受賞する。翌13年には、本作の監督でもあるマーティン・プラーカットの「ABCD: American-Born Confused Desi」に主演しつつ1曲だけプレイバックシンガーデビュー。14年には、タミル語映画「Vaayai Moodi Pesavum(口を閉じてしゃべって)」にも主演デビューする。その後も、マラヤーラム語映画界を中心に活躍中。
 本作では、チャーリー役の他、エンディングテーマ「Chundari Penne(美しき人よ)」の歌も担当している。


 冒頭のヒッピー風テッサの登場シーン、祖母に甘え母親とケンカするテッサのコロコロ変わる表情などで、テッサの魅力を存分に表現して彼女の存在感を見せつけつつ、アパートに残されたがらくたまがいのアートの残骸、ミステリアスな絵本、そこに描かれる奇抜でとらえどころのないチャーリー像が、突拍子もなければないほどテッサ以上に魅力的人物として伝わってくる演出の妙。どちらも美人な役者顔以上の魅力的エピソードや魅力的シーンの切り取り方の積み重ねが、そんな登場人物全員を不思議に身近に魅力的に、美しくこちらに伝えてくる映画的手法の巧妙さがスンバラし(こそ泥Dソウザの方が、探してる人でなくて良かったねって感じではあるけどもw)。
 リゾート的のんびりとした舞台で繰り広げられる、それぞれの"さりげない魅力の積み重ね"、"さりげない物語展開の妙"、"さりげないミステリーとその解答"の数々。物語の作り方と言う意味では、その力の抜け方やこだわる所はこだわる力の入れ方、嫌みにならないギリギリの絶妙なバランス感覚は映画を学ぶ人には必見ポイント。

 登場人物が、それぞれにすれ違いを起こしていく偶然の妙、近づいたと思うと遠ざかる人と人の関係性、偶然の出会いによって人生そのものが組み替えられていく人生の不思議。それがウソであろうと、不条理の支配する世の中にあってこんな出会いがあってもいいんじゃないか? とつい思えて来てしまう、人生の美しさを再確認する映画であると共に、映画そのものの美しさを再確認させてくれる映画でもある。

挿入歌 Oru Kari Mukilinu(黒雲に、翼を与えるかの雷光)

https://www.youtube.com/watch?v=ArYW9uI-_LI

プロモ映像 Chundari Penne (美しき人よ)

https://www.youtube.com/watch?v=P8b6eoMu_Vo


受賞歴
2015 Kerala State Film Awards 監督賞・主演男優賞(ドゥルカル)・主演女優賞(パールワティ /【Ennu Ninte Moideen】に対しても)・脚本賞(ウンニ・R & マーティン・プラーカット)・撮影賞(ジョモン・T・ジョン / 【Nee-Na】に対しても)・美術監督賞(ジャヤシュリー・ラクシュミー・ナラーヤナン)・音響ミキシング賞(MR・ラージャクリシュナン)・映像加工賞(J.D. & キラン [プラサード・カラー・ラボ ムンバイ])
2015 Asiavision Awards 女優賞(パールワティ /【Ennu Ninte Moideen】に対しても)・撮影賞(ジョモン・T・ジョン /【Ennu Ninte Moideen】に対しても)
2015 Asianet Film Awards 女優賞(パールワティ /【Ennu Ninte Moideen】に対しても)・助演女優賞(カルパナ 没後受賞)・撮影賞(ジョモン・T・ジョン)
2015 Vanitha Film Awards 女優賞(パールワティ /【Ennu Ninte Moideen】に対しても)・助演男優賞(チェンバン・ヴォノード・ジョシュ / 【Oru Second Class Yathra】に対しても)・撮影賞(ジョモン・T・ジョン /【Ennu Ninte Moideen】に対しても)


・Charlieを一言で斬る!
「それにしても、インド映画で描かれる手品は、毎度タネのない魔法そのものですな(イイゾモットヤレ!)」
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