１８日は「シーヴァス 王子さまになりたかった少年と負け犬だった闘犬の物語」
「の・ようなもの のようなもの」
「春子超常現象研究所」、
１９日は「傷物語�機‥慣貶咫�
「モンスターズ 新種襲来」、
２０日は「消えた声が、その名を呼ぶ」を観に行きました。
「シーヴァス 王子さまになりたかった少年と負け犬だった闘犬の物語」’14 (ﾄﾙｺ･独)
監督･脚本：カアン･ミュジデジ
撮影：アルミン･ディエロフ，マルティン･ホグスネス･ソルヴァング
照明：エルシン･アルデミル 音楽：サメット･ユルマズ
ｍ：ドアン･イズジ
ｼｰｳﾞｧｽ：チャキル
’14 ヴェネツィア国際映画祭 審査員特別賞，金のビサト賞
タイトルが犬の名前で
サブタイトルで内容を語ってしまっているけれども、
“男の子と犬”の設えられた感動話ではなくて
自然も村社会の組成も決して安穏ではないトルコ東部アナトリア地方で
男子を生きるとは11歳にとってどういうことなのか？を
静かに観察する映画なのだ。
映画には女性がほとんど登場しない。
主人公アスランが思いを寄せるクラスメート アイシェと
彼の体を洗おうとする母親くらいだ。
乾いて荒涼とした大地は闘犬という残酷な娯楽も含め
男社会の猛々しさに満ち、男子は
望むと望まざるとに関わらずそこに適応した男らしさを獲得して行くのだ。
闘犬シーヴァスが闘う犬を受容するのと同様に
ライオンの名を持つアスランは“男”を受け入れるのだけれども、
その時の違和感が掬われているところがすごくて
死んだものとして放置されたシーヴァスを闘犬として再起させる過程で
犬と少年の間に醸成される思いが
勝利したシーヴァスをこれっきり戦わせたくない…と言わせたとしても、
大人の男たちはそれを鼻で笑い
アスランはそれに抗することができるわけではないのだ。
この田舎の村で男を生きるというのはそういうことだ(・・・・・・・)と
アスランは解かっているのだ。
11歳とはそういう歳で
彼の意志する眼差しは大人の男が棄ててしまった純性を宿して
世界を見つめているのだった。
『ホワイト･ゴッド 少女と犬の狂詩曲』は優れた寓話だったが
本作は大人への階梯を上る少年の心を摑まえるリアリズムが秀逸。
シーヴァスがデカくてカッコいいけれど
迫力ある闘犬シーンは目を覆いたくなる…。傷つくのが怖くて。
「の・ようなもの のようなもの」 ’15
監督：松山泰一 脚本：堀口正樹 音楽：大島ミチル
ｍ：松山ケンイチ，伊藤克信，尾藤イサオ，でんでん，野村宏伸
ｆ ：北川景子，三田佳子
森田芳光の劇場デビュー作『の・ようなもの』(’81)の続編だそうな。
というのは 思惟太は『の・ようなもの』を観ていないからなんだけど、
前作の35年後の設定で当時と同じ役者が同じキャラを演じているらしい。
前作の主人公「志ん魚(とと)」に創作落語「出目金」を演じさせようと
一向に二つ目から上がれない弟弟子の「志ん田」が奮闘する…というお話で、
いや これがとてもよくできた脚本で面白い。
面白い！というほど何が起こるわけでもないのだが、
入り組んだ谷中の街路や墓地や商店街をウロウロする
志ん魚，志ん田の日常が非常に優しい目線で摑まえられていて
森田作品に出演した名のある俳優たちが大挙して登場する設えもものかわ
あんまり上手くない落語家の青春譚―は
色々あるけど やっぱり人間は面白いねぇ…と厚かましく同意を求めて来る(笑)。
そこが“いい映画だねぇ…！”ってところ。
役者が落語家を演じるというのはリスキーだよなぁ…といつも思うけれども、
本作の伊藤克信も松山ケンイチも“あんまり上手くない”という縛りが利いたのか
落語及びそのシーンがとても魅力的で
なんかちょっと感動しちゃったよ…。
何よりカメオ出演する有名俳優たちが皆超楽しそう！！
森田芳光って敬愛を受けてたんだなぁ…。
俄然『の・ようなもの』が観たくなる楽しい作品。
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