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2015年11月02日09:27

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今週の科学ニュース−11月1日

 皆様、こんばんは。
 プロ野球の日本シリーズはソフトバンクホークスの優勝で幕を閉じ、これを持って、今年度の日本のプロ野球の日程はすべて終了しました。来年はどんな試合が見られるのか、楽しみです。

惑星の破片をむさぼる「ゾンビ星」を観測(米ハーバード・スミソニアン天体物理学センター)
 まず、一言断っておかなければならないのは、ナショジオの日本版のHPには「ゾンビ星」となっていますが、ハーバード・スミソニアン天体物理学センターのHPには、ゾンビのゾの字も書いていなく、"Death Star"と表現されています。起きていることを考えると、"Death Star"の方が正しいように思います。ハーバード・スミソニアン天体物理学センターの研究チームは、ケプラー宇宙望遠鏡を用いて、恒星をよぎる影から、生物のいそうな惑星をしらみつぶしに探している過程で、主星の白色矮星のロシュ限界に入った岩石型惑星が潮汐力で破壊されている現場を押さえたと発表しました。白色矮星は、恒星の終局の状態の一つと考えられますが、(超)新星爆発を伴わなくても生成されるので、主星の恒星が白色矮星化してもなお惑星群はその周りに存在し、それなりの影響を受けるだろうとは予想されていました。今回の観測結果は、予想通りに主星の周りをまわる惑星群には、主星の白色矮星化によってその強烈な潮汐力で破壊されていることが確認されたもので、貴重な発見とも言えます。
Harvard-Smithsonian Center for Astrophysicsの該当HPはこちら
Nature誌の該当記事はこちら

加工肉摂取に「がんリスク」=毎日50グラムで18%増(世界保健機関WHO)
 WHOは、(正確に言うと、WHOの下部組織の国際ガン研究機関IARCは)、このほど、すでに発表されている学術論文800報をまとめた結果、赤身肉は「たぶん発がん性がある」(カテゴリー2A:紫外線並み)に、ベーコンやソーセージの加工肉は「発がん性有り」(カテゴリー1A:喫煙並み)に分類できるとし、加工肉を一日50g毎日食べるヒトは、そうでないヒトより18%ガンにかかるリスクが増加すると発表しました。この発表は、世界各国、特に、ソーセージやベーコンなどの加工肉を多く食する欧米諸国に大きな衝撃を持って迎えられ、その不十分な内容から苦情が殺到したWHOは、発表の翌日には、「肉を食べるなと言っていない。肉は健康に良いものだ。ただ、食べる量を控えろと言っているに過ぎない。」と言う声明を発表し、火消しに躍起になっています。なお、日本の国立がん研究センターも、素早く声明を発表し、赤身肉・加工肉の摂取量が通常の範囲内なら、日本人に影響はないとしています。何にしても、今回の発表は不十分な点が多く、主なものを列挙すると、1)800の論文を精査したと言っているが、論文のReferenceを見る限りは、20報に満たない数の論文がリストアップされているだけである。これでは、800の論文の中から都合の良い結果だけをピックアップしてまとめていると疑われても反論できません。2)50gで発ガン率が18%増加としていますが、ここまでの量なら安全という閾値が描かれていない。3)赤身肉・加工肉に含まれるどの化学物質が発がんに関連し、そのメカニズムはどのようなものかといった説明がなされていない、などです。個人的には、何ら気にするところではないと考えています。
IARCの該当HPはこちら
The Lancet Oncology誌の該当論文のAbstractはこちら

ライオン、大幅減の恐れ=アフリカ中西部など(オックスフォード大学など)
 アフリカのライオンについて、オックスフォード大学Recanati-Kaplanセンターなどの研究者達は、このままの状況が続けば、今後20年間でライオンの個体数が半減するだろうという予想を発表しました。その原因としてあげているのが、乱獲、人間の侵入によるライオンの食料の草食動物の個体数の減少、アフリカ各国が保護政策に予算をつけないと言ったところで、要するに、全世界に「ちゃんと保護政策をやれよゴラァ」と警告しているわけです。20年後には、ライオンは動物園でしか見られない動物になっているのかもしれません。
University of Oxford Recanati-Kaplan Centreの該当HPはこちら
米科学アカデミー紀要の該当論文のAbstractはこちら

【大阪】「メタボ猿」が激やせ 糖尿病の可能性(大阪生物教材センター他)
 大阪府堺市にある大浜公園の猿山の猿の一部は、見物客の無分別なえさやりにより、こちらにあるような信じられないほどの太り方をした猿が2008年にいたのですが、現在、このような猿は大浜公園の猿山には存在せず、どうやら、メタボ猿が糖尿病で激やせしたと考えられるとのことです。インスリンを打つにも、猿をいちいち捕まえるのは困難なため、飼育する側はただ見ていることしか出来ないそうです。皆様も、「明日は我が身」になる前に、食生活を見直しましょう。

11月13日、「正体不明の宇宙ゴミ」が地球に落下する(欧州宇宙機関ESA)
 2013年に発見された小天体WT1190Fは、ESAの観測・計算の結果、11月13日にスリランカの南100kmほどのインド洋に(大気中で燃え尽きなければ)落下すると考えられると発表されました。この小天体、軌道・スピードから、小惑星にしてはあまりにも軽く、アポロ宇宙船のブースターなどの人工物である可能性が高いとのことです。まあ、そういうことも有るでしょうね。
Nature誌の該当記事はこちら

土星の衛星、微生物住める?=「食料」得やすい条件(東京大学他)
 東京大学などの研究グループは、このほど、ナノシリカを含む水を表面から吹き上げている土星の衛星エンケラドスについて、ナノシリカを産する地質的条件を推定した結果、過去に高熱で溶けたことがある地球の岩石と異なり、隕石や小惑星のような組成でないと、ナノシリカが生成されないことを突き止めたそうです。こうした岩石は鉄を多く含み、水との反応で水素が大量に発生するのだそうですが、水素は原始的な微生物がエネルギー源に利用しており、これにより、エンケラドスに微生物が生息する環境が存在しうることが証明されたとしています。
 東京大学のプレスリリースはこちら
 Nature Communicationsの該当論文はこちら

食べ物を洗う、グルメなイノシシが見つかる(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン他)
 ある日、スイスのバーゼル動物園の飼育員が、飼育しているイノシシがえさのリンゴを水辺に持っていって、鼻でつつきながら汚れを落としてからリンゴを食べているように見える行動をとることに気がついたそうです。イノシシの、これまで知られていなかったこの行動をユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究者達と調べたところ、イノシシが急いでいないときは、砂で汚れたリンゴを必ず水辺に持っていってリンゴを洗う行動をとることがわかったとのことです。イノシシのこの行動は、汚い水でもとりあえず水の中でえさをもてあそんでみるアライグマや、食べやすいように湿らすのが目的の鳥類と異なり、本当に砂を洗っているように見えるため、研究者達に驚きを持って迎えられています。なお、この動物園のイノシシがどこからこの行動を知ったのか、他の動物園や野生のイノシシではどうか、などと言うところはわかっていないようです。私の知る限り、少なくとも日本ではこの行動は報告されていないはずです。イノシシも、人間と同じように、ある程度食料に余裕が出来ると、グルメな方向に走るものなのでしょうか。非常に不思議な行動です。
Animal Cognition誌の該当論文のAbstractはこちら

植物を丸ごと透明化 解剖不要で内部の観察可能に(名古屋大学他)
 名古屋大学などの研究チームは、このほど、植物全体からクロロフィル(わかりやすく言うと、葉緑素)をきれいに洗い流すことが出来る薬剤の開発に成功し、これを用いることによって、植物体を透明にすることに成功したと発表しました。この技術を用いれば、植物体中の特定のタンパク質を染色することにより、そのタンパク質の三次元的な分布の様子を普及型光学顕微鏡で見ることが出来るようになります。これにより、植物の研究が進むことが期待されます。今後、植物の生態の研究論文に添付される写真が、より幻想的な物になる可能性があります。
名古屋大学のプレスリリースはこちら
Development誌の該当論文のAbstractはこちら

彗星に大量の酸素を発見、「大きな驚き」 太陽系形成の通説覆す?(ESA)
 欧州宇宙機関(ESA)の研究チームは、先日彗星探査機ロゼッタが探査した彗星、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星を取り巻くガス中に、大量の酸素分子(O2)が含まれていることがわかったと発表しました。酸素分子のように、化学的に比較的活性な分子が、出来てから40億年もたつような古い彗星の周辺に張り付くように存在していたことがわかった点では、研究者達が驚いています。なぜなら、普通、酸素分子は、太陽からの紫外線や太陽風の影響で、周りにあるメタンやアンモニアと反応して、二酸化炭素や二酸化窒素などに変化するはずと思われてきたからです。また、プレスリリースによると、地球大気中の酸素が紫外線や太陽風と反応することによって生じるオゾンも検出できなかったとしています。このことは、チュリモフ・ゲラシメンコ彗星が今まで比較的穏やかな環境下にあったことを示していますが、バン・アレン帯という、大気に太陽光以外のエネルギーを与える存在があるとは言え、地球ですら生成するオゾンが、太陽光に対して裸同然の彗星の周りで見つからず、酸素分子ばかりが見つかるという点に矛盾を感じます。今後のさらなる研究を待ちたいと思います。
ESAの該当HPはこちら
Nature誌の該当論文のAbstractはこちら

南極オゾンホール、過去最大級に(世界気象機関(WMO))
 WMOは、本年10月の時点で、南極上空のオゾンホールが過去最大級に大きくなっていると発表しました。オゾンホールは、昔からある自然現象の一つですが、一時、オゾンを破壊するフロンガスの影響で環境への影響が心配されるほどに大きくなったことがありました。近年は、フロンガスの排出規制が進んでいるために、オゾンホールの大きさは小さくなりつつあるという認識だったのですが、ここに来て、また大きくなったと言うことなようです。WMOは、今回のオゾンホールの拡大は、自然現象の一つと考えられるとしていますが、一部発展途上国のフロンの排出量がきちんと把握できているわけではないので、少々心配されるところです。
世界気象機関(WMO)の該当HPはこちら

「死んだ彗星」の核か=地球最接近、無事通過へ−直径600メートル(NASA)
 先週のこの欄で、月の軌道の内側まで入ってこないけど、11月1日に小惑星が地球に接近する旨取り上げましたが、くだんの小惑星2015 TB145は無事に通過していったようです。ところで、NASAは、2015 TB145の写真を公開し、巨大なカボチャと言うよりも、少々形の崩れた人間の頭蓋骨のような形をしていると発表しました。その後の観測で、2015 TB145は、どうやら、揮発成分を無くして尾を引かなくなった彗星の核(「死んだ彗星」)というのがその正体と考えられるとしています。ただ一部で、最接近のわずか3週間前にこの小天体が見つかったことに危機感を持つ人もいるそうです。せめて1年前くらいに発見しておかないと、万が一地球衝突コースに入っていたら対策が間に合わないと考えられるからです。まぁ、今回はラッキーでした、まだ人類にはツキが残っていますと言うことで良いのかもしれませんが。
NASAの該当HPはこちら

 では、今週はこの辺で。また来週。
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