最初はさ。電子書籍の広告リンクで見た『毒姫』に惹かれたんだ。
何種類かまとめて叩き売られてたから、叩き買って読破した結果……
一番のお気に入りがコイツですよ。
人間の生活をサポートするためのアンドロイド。人間の命令には絶対服従。
一般的には『ドール』と呼ばれていて……デフォルトの名前はあるけれど、好みの名前を
プログラミングしてくれるサービスもある。
メイドとして。子供の代わりとして。友人代わりとして。ボディガードとして。労働力として。
性の相手として。
どんな要求にも応えてくれるよう、オーダーできる。
恐ろしく高級なのでおいそれと買えるシロモノではないのだが、それもあってドールを連れていることが結構なステータスになるのだ。
ただし、『正規品』には二つの制限がある。
『誰かに似せて作らないこと』
『誰かの記憶を植え付けないこと』
けれど、そのドールたちを違法に改造する輩もいる。
厳重なプロテクトを破り、データを書き換え、オイルに着色し、『感情』をプログラミングする。
改造されたドールは正規品の品位を落とす等の理由で厳しく取り締まられる。無論、改造屋も追われ続ける立場である。
……と書いてはみたものの。
そんなことひとっつも知らなくてもいいのである。
一つ一つの話は基本的に独立しており、どの巻のどの話から読んでも全く問題ない。
けれど最初からずっと読み進めていくと……ばらばらに存在していた小さなパーツが徐々に集積され、最後にドンと決着するのである。
最後、ちょっとうるっと来た。
感情の無いドールが、美しいドールたちが、優しく話し、動き、慕ってくれたら。
そんな憧れも満足させてくれる。
人間って、強欲だなあ……。と、改めて思う。
でもきっと自分もこんなふうに汚く見えているんだろう。ドールの澄んだ瞳には、人間はどんな風に見えるんだろう。
どんな風に見えていたとしても、ドールは尽くしてくれるんだろう。
心が無いはずのドールが、心があるはずの人間よりもずっと、愛情深く見える不思議な漫画。
と。
ファンの人がいたらごめん。ぶっちゃけ言う。
この人、複数の人物の絡みとかアクションシーンとか、あまり上手くない。
だから、アクションシーンの多い『毒姫』はちょっと読みづらかったのかもしれない。
淡々と展開する『DOLL』は、そういう意味でも見やすかった。
……好みの顔が居たから……ってのも、もちろんあるが。
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