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2013年07月24日19:28

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江戸の美男子 若衆・二枚目・伊達男 前期

浮世絵太田記念美術館で開催中の『江戸の美男子 若衆・二枚目・伊達男』の前期に行きました。

そういえば。美人画企画は結構あるのに、イケメン企画ってあまりないですよね。何でだろう?浮世絵=美人画ってイメージがあるのかも。
今回は、江戸のイケメンを若衆、伊達男、役者など、ジャンルごとに見られる。今で言う、アイドルのプライベート写真集のようなモノもあって、昔も今も変わってないんだなぁ〜って思えます。

若衆は女性らしい優美さ重視。色子や陰間を指すコトもある。因みに。歌舞伎の舞台に出て、俳優として活躍しながら売春行為をしてる男の子は舞台子と言います。色子や陰間(陰子)は、身体だけ売ってる男の子のコトね。色子って名称の説は色々あるのだが、ご指名表のようなモノに、色子は赤い字で名前が書かれていた・・・っていう説を、私は本で読んだコトがある。

では、暫し、イケメンの世界へレッツらGO!

宮川一笑 『清水堂娘飛降りの図』。傘を開いてメリーポピンズよろしく、ひらりと飛び降りる遊女。どうやら清玄・桜姫の話に出て来るシーンらしいのだが、傘を開いて飛び降りると恋が叶うという俗説も信じられていたらしい。桜の下に、飛び降りる遊女を見る若衆がいる。彼女の意中の人は、この人なんだろうか?

宮川一笑 『色子(大名と若衆)』。色子が寝そべって男の膝に手を置いている。男はキセルを吸っている。枕に寄りかかる色子。これから情事でしょうかね?色っぽい絵です。屏風が描かれていて、その絵の中にも色子が描かれている。笠を手で浮かせている少年がいるのだが、髪型が崩れるのを気にして、色子は笠を浮かせていたそうな。
江戸の当時は、男色行為が珍しくなく、何なら、男も女もどっちもイケて粋って言われるので、男性同士の情愛の絵(ぶっちゃけ絡みの絵だ。春画ね)も多いよね。

勝川春章 『桜下詠歌の図』。お花見の様子らしいのだが。幔幕の後ろに女の子がビッシリといる。桜の下に美少年がいる。どうやらこの美少年は、歌を詠みに来たようなのだが、女の子たちは、このイケメンを見に来たようだ。まるでアイドルの追っかけみたいだね。女の子たちのキャーキャー言う声まで聞こえてきそう。お花見は男女の出会いの大切な場だったらしい。今でいう合コンも、お花見でやってたみたいだよ。

奥村政信 『二人虚無僧』 美少年の虚無僧が2人が並んでいる。1人は虚無僧の笠を取り、もう1人を見ている。もう1人の方は、尺八を吹いている。柄物の派手な着物の美少年虚無僧2人で、とても虚無僧には見えないなぁ(笑)。虚無僧は二代目団十郎が、曽我物に取り入れ人気になった。画中文に『二人続(づれ) 鴛鴦(おし)の思ひ 羽だき牡丹』とあるので、この2人は恋人同士の設定なのかも?でも、曽我物だったら、兄弟設定かな?因みに。右の市松模様の着物の少年は、佐野川市松だそうな。(彼が好んで着た柄だから、市松模様って言うんだよ)

鈴木春信 『風流うたひ八景 ゑびらの晴嵐』。謡曲『えびら』が元ネタらしい。箙(えびら)とは、矢を入れる武具らしいんだが。梅の枝を手折る美少年と、それを受け取ろうとする小僧。これは元ネタの景季の霊と旅の僧侶の置き換えだそうな。春信の絵が結構あったのが嬉しかったな。春信の描く美少年は好きなんだ。

同じく春信の『蚊帳の内外』。蚊帳の中に女の子がいる。その女の子は外に出ている若衆ににじり寄っている。その女性を見る若衆。壁に『猿猴捉月』の絵が飾ってあるのだが、コレは故事が「分際をわきまえず身を滅ぼす」と言うコトなので、ひょっとすると、身分違いの恋をしてる男女なのかも知れない。

同じく春信の『桜』。キスする若衆と遊女。外には桜。着物の衿の空刷りや、御簾の空刷りも見事。若衆の手が、遊女の着物の下腹部に入ってるのが、かなりエロイですな。

鳥居清長 『風俗十二通意 蚊帳』。蚊帳の中から若衆を引き留めようとする女性。「待って〜ハート」ってところか。女性は着物から太ももが覗き、かなり色っぽい仕上げ。縦長の10頭身が清長。窓の外に七夕の短冊が見える。

喜多川歌麿 『音曲恋の操 小紫 権八』。人形を操る男女。因みにこのモティーフは良く出て来るんだケド。白井権八と遊女の小紫の悲恋の場面を演じている男女の人形遣い・・・なのだが。男の方は、人形操りそっちの気で、女の子をガン見している(笑)。男性は、横の美少女が気になって仕方ないんだろう。

歌川国芳 『大日本六十余州之内 美濃』。盗賊の熊坂張範は義経の伴である橘次季春の荷を狙い夜襲するも、義経はこれを返り討ちにする・・と言うお話があり、その場面。画面上部に手下を連れ、睨む熊坂。「へへん」って顔でビビリもしない義経。義経恰好良い。
国芳のイケメンも結構来ていて嬉しかったな。

イケメンといえば、役者の絵も多かったのだが。二枚目の色恋のもつれを演じるのを得意とする役者を和事師(わごとし)と言ったり、濡事師(ぬれごとし)と言ったりする。濡事師って、ちょっとエロイ響きがあるね(^_^;)。

この時代「通」って呼ばれる人もいたのだが。今でも「通」って言いますね。通は元々、吉原の遊郭での振る舞いや男女の機微に通じているコトを言ったらしい。何でも、外見重視で、オシャレな人が多かったみたい。

鈴木春信 『林屋お筆』。水茶屋の看板娘のお筆ちゃん。そのお筆ちゃんに声をかける黒頭巾の粋なイケメンの若い侍。何が可笑しいって、この様子を扉から覗いてる不細工2人が可笑しい。羨ましそうな顔をしている。ちゃんとブサイクに描いてあるのが可笑しいなぁ。だんごっ鼻だし。イケメンは、シュッとしたしょうゆ顔なの。お筆ちゃんもまんざらでもなさそう。

鳥居清長 『見南美十二候 三月』。品川の浜が見える水茶屋。海老茶の服の男が、看板娘に声をかけている。男は自分の美貌に自信があるのか、結構なドヤ顔をしている。

渓斎英泉 『男の髪をなでつける女』。エロイ!流石英泉、エロイぞ!寝そべる男の乱れ髪を恋人の芸者が直している絵。情事の後なのかなぁ〜。濃艶さが漂うのは流石、英泉。私、英泉の描く美女は、エロくて好きなんだ。今で言ったら、壇蜜さん?

美男役者ってのがいる。三代目尾上菊五郎、三代目市川団十郎、五代目松本幸四郎などなど。こんな人達が、江戸ではイケメンで人気役者。
で、役者も人気があったが、伊達男ってのが人気だったそうな。伊達男とは、洒落た身なりや侠気のある男のコトで、侠客とイコールになったりもするようだ。

ここから、国芳が描いたイケメンがズラ〜っとあったのだが。『玉川風雑俳競 達男豪傑双六』が面白かった。ようはイケメン双六。アイドル雑誌の付録か!(笑) 団七九郎兵衛や白井権八などが描かれた伊達男双六。女の子がコレで遊んだのかなぁ〜。

同じく国芳の『国芳もやう 正札附現金男 野晒悟助』。山東京伝の『本朝酔菩提全伝』に登場する侠客。着物の柄が、猫が集まってドクロの形になってるのが、猫好きの国芳らしいよね。刀を肩に持ってポーズ。刀に吊るした下駄は、影がしゃれこうべのようにも見える。

同じく国芳の『国芳模様 正札附現金男 寺西閑心』。寺西閑心は、江戸の剣客。腕まくりをして扇子を持ち、右方向を睨んでいる。何でも、歌舞伎では、旗本奴(はたもとやっこ)になるそうなのだが。奴って、ようは、折り紙で作る奴さんね。助六とかがそう。しかし、ホントに、侠客や、剣客は人気者だったんだなぁ。

国芳 『『国芳もやう 正札附現金男 唐犬権兵衛』 唐犬は、幡随院長兵衛の弟分の町奴。鏡を持ち、身だしなみを整えてるのだが、鏡に顔が映っている。コレ、美人画だったら珍しくない構図だケド、男性の絵で、この構図は珍しいよね。唐犬が着てる閻魔と獄卒が描かれた羽織も恰好良い。伊達男である。

私の好きな月岡芳年の絵もあった。1枚だけだったのがちょっと残念。『勇の寿 四代目市村家橘』 町火消に扮する役者の四代目市村家橘。コレって、市村さんがホントにこんな恰好してたワケじゃないよね。想像だよね?今の同人屋が、キャラに色んなコスプレさせるようなモノなのかな?って思うんだケド。

作者は不詳だが、『風俗画帖』もあった。戦国時代は、男色が好まれた風潮があるのだが、その流れで、江戸前期には、美少年が中心の風俗画もあったそうな。少年の日常を描きましたハート
って絵ですね。
この画帖も、舞を舞う美少年が描かれていたり、目隠し鬼をして遊ぶ少年が描かれていたり、鶏を見てる美少年やら、寝っころがって本を読んでる美少年やら。こういうモノを見て「萌え!」って言ってるお侍さんとかもいたはずである。

今回、私が1番面白かったのがコレ。
歌川豊国の『役者此手嘉志和』。当時の人気役者24名を取り上げ、見開きの右に舞台上の姿、左に日常の姿を描いた本。コレって、ようは、今でいう、K−POPアイドルや、ジャニーズアイドルの密着プライベート写真集じゃん!今も昔もやってるコトは変わらないんだなぁ〜。女の子たちは、キャーキャー言いながら、「団十郎のプライベートはこんなのねっ目がハート」っとかドキドキしながら見ていたに違いない。私が見た時は、初代沢村源之助が手紙を書いてるプライベートショット(笑)だったよ。コレ、中身、全部見たい。

歌川国貞(三代目豊国) 『御あつらへ三色弁慶』。縞模様のグラデーションの背景に立っている3人の役者。青、朱、黒のグラデーション。今見てもオシャレだ。三代目沢村田之助、初代河原権十郎、十三代目市村羽左衛門。役者には彫り物が入っているが、実際入っていたワケではなく、見立てで入っているだけらしい。水滸伝ブームがあって、それから彫り物ブームが江戸に来るんだよね。纏い持ちや大工さんとか、肌を露出する職人さんは入れていたみたいだよ。

前期は7月28日まで、後期は8月1日〜25日までやっているらしい。
ご自由にお持ちくださいポスターがあったので持って来た。動物の浮世絵企画のポスターだった。可愛い。

江戸のイケメンに会いたい方は、是非どうそ。
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