図書館本「かつての超大国アメリカ」を読了。原題は"That Used to Be US" 訳すると?「アメリカはかつてこうだった」かな?
アメリカはなぜこの十数年停滞してしまったのか?その解決にはナニをしたらよいのか?について考察した本。著者の一人・フリードマンは外交問題が専門のジャーナリスト(ピュリツァー賞を2度受賞、その後もう一度受賞?)。もう一人のマンデルバウムは、外交政策研究が専門の学者さん。
要約すると、米国経済の課題は4つ。
1)グローバリゼーションにどう適応するか?
2)IT革命にどう対処するか?
3)巨額の財政赤字にどう対処するか?
4)エネルギー消費増と気候変動の脅威にどう対応するか?
かつてのアメリカの繁栄を参考に、課題解決の秘訣を5つ挙げると
1)教育 :公教育の充実
2)インフラ :従来型+ネット回線容量増、
ワイヤレスネットなどの建設と絶え間ない現代化
3)移民 :移民に関する門戸解放
4)研究開発 :基礎研究・開発への政府の支援
5)適切な規制:民間経済活動への、必要な規制の実行。
つまりひと言で言えば、中道政策。共和党の言うとおり福祉の一部削減(メディケアの一部削減や公的年金の削減など)も必要だけれど、民主党の言うとおり増税も必要。さらに軍事費も少し削り、明日のアメリカに必要な分野、インフラや公教育、研究開発に回せ、という。
具体的にソレをアメリカにやらせるためには、第三党の大統領候補を出すことが重要。二極分化してしまった既存の二大政党だけでは期待出来ない。
第三党候補なんて最終的には負けるに決まっているけど、かつてのペローなどのように票をある程度取れれば、二大政党の候補にその政策を一部でも取り入れさせることが出来る。大統領選でしか政治を考えない米国国民は多いので、第三党の候補は落ちてもプラスの効果があるとか。
メモ:現在のアメリカ雇用市場は下記3つ
「非定型・高スキル」「定型・中スキル」「定型・低スキル」
に分かれるが、機械化・IT化が進んだことにより「定型・中スキル」の仕事が激減(中流層が激減)。今もまだ残っている2つの仕事を、さらに4つに分類すると、
「クリエイティブ・クリエイター」「ルーチン・クリエイター」
「クリエイティブ・サーバー」 「ルーチン・サーバー」
(クリエイターは、なるのが難しい、高スキル職種。医者弁護士芸術家などの職)
(クリエイティブは、仕事を自分で作ったり変革出来る人)
今後も残るのはクリエイティブなものだけ(サーバーであれ、クリエイターであれ)、と著者らはする。
→ 課題は6割くらい日本にも共通する。で、解決策も常識的。日本の第三極政治勢力も予言?(時期的に逆かも。日本の第三極を見て書いた?)。あるいは、現在のアメリカの政治状況の反映も見える。
それにしても、原文が英語だと、日本語訳も読みづらい。小林秀雄的な衒学的文章に感じる。
小林の文章は教養をひけらかし文章も回りくどいのに対し、原文が英語の本はキリスト教など欧米的常識を前提とし文章も訳語調で回りくどい。どちらも読みづらい。
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