森達也「オカルト 現れるモノ、隠れるモノ、見たいモノ」読了。
講談社ノンフィクション賞受賞作家による受賞後第1作となる作品。
エスパー、心霊研究者、超心理学者、UFO観測家、陰陽師、スピリチュアルワーカーなど、科学とインチキの境界線上いる人たちに取材したものをまとめたノンフィクション。
否定しつつもついつい惹かれてしまう「オカルト」の謎に迫っており、非常に興味深く読むことができました。
今晩は、梅田にあるアサヒビールの情報発信施設「アサヒラボ・ガーデン」にて、「バー読(どく)ナイト」というイベントに参加。
これはお酒(ビール)を飲みながら自分のお勧めの本を紹介しあうというイベントで、今回のテーマは、「はじまりの話」。
参加者は、気持ちを新たにしたい時に読み返すご自身の”原点本”や春を感じる本などを持ち合って紹介しあいました。
私が選んだ本は、海老沢泰久の「美味礼賛」。
F1やプロ野球などスポーツ関係のノンフィクション・ドキュメンタリーで知られていた筆者が1992年に発表した、料理研究家(「辻調」校長)の辻静雄の生涯を描いた伝記小説です。
辻さんは実は料理に関しては全くの素人で(大阪読売の新聞記者でした)、偶然仕事で知り合った料理学校の校長の一人娘に一目ぼれしてしまい、知り合ってから半年後に結婚してしまいます。
はじめは料理学校を継ぐつもりなど全く無かった辻さんですが、義父母の願いを受け入れて学校を継ぐことに。
「日本一の調理師学校にしてみせる」という信念のもと、それまでには日本に紹介されていなかった本物のフランス料理を日本に持ち込むなどして、あの「辻調」を築きあげました。
この本は本当に面白い本で(フランス料理の描写などが秀逸)、私がこれまでに読んできた全ての本の中でベスト3に入るものです
海老沢さんは94年に直木賞を受賞しますが、本当に残念なことに3年ほど前に他界してしまいました
この人の作品にはほかにも、ホンダF1の60年代の初挑戦から86年に初のコンストラクターチャンピオンになるまでを描いた傑作ドキュメンタリー「F1 地上の夢」、巨人V9時代のエース・堀内恒夫の半生を描いた「ただ栄光のためだけに」などすばらしい作品がたくさんあります。
ノンフィクション、伝記小説などがお好きの方にはお勧めです
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