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2012年02月15日16:13

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歌川国芳展

森アーツギャラリーで開催していた『歌川国芳展』に行きました。2月12日までだったのでもう、終わっちゃったんですが・・・。

以前、『歌川国芳展』を大々的に府中美術館でやっていて、行こうと思ったら終わってた・・と言う、良くあるパターンを踏んだ私。今回は行って来ました。後期だけですが・・・(^_^.)。どうしてこう、中途半端な行き方をしてしまうのだろう?
分かってはいたのですが、会場内スゲエ混んでました。終了ギリギリに行ったし、その前に『ぶらぶら美術・博物館』で、国芳展取り上げたしで「おそらく混んでるだろうな〜・・・」と思って行ったら、予想以上に混んでいた(-"-)。
本当は、もう1度頭から見ようかと思ったのだが、もう、絵の周りが人だらけで見るのを諦め、図録を買って帰って来ました。
あ、そうです。図録を買ったのです。図録って良いですね。2500円で、国芳の絵が沢山載ってる。画集を買うと7000円くらいするんですもの。まぁ、それだけ売れる見込みを立てるから、安く売れるんでしょうけれど。読み物としても面白い。

森アーツギャラリーは、何で、ロッカーないんでしょうね?言えば預かってくれるのかも知れないのですが、ロッカーくらい作ってよう〜と言いたくなってしまう。あと、作品紹介の紙も作ってよう〜。お金かかって大変とは思うけど・・・。

私は浮世絵師は、ぶっちぎりで好きなのが、月岡芳年なのですが、歌川国芳は、芳年の師匠にあたる方でございます。
で、私は、国芳の武者絵が大好きなのですよ。構図から何から、ホント恰好良いと思う。あと、戯画ね。猫大好き、金魚大好きの国芳の戯画は、本当に楽しい♪あと、可愛い。

では、気にいった絵なんぞをザックリ紹介。

『平知盛亡霊の図』。義経が平知盛と、船の上で対峙している絵。構図も恰好良いが、生首の描写なんかも恰好良い。弁慶が、今まさに斬りかからんとしてるところとか。

『天竺徳兵衛』。川口版武者絵シリーズっ書いてあった。天竺徳兵衛は、蝦蟇の妖術が使えます。妖術師ですね。なので、蝦蟇の上に乗り、目を瞑り、印を結んでいる。背景の黒色も恰好良い。もう、恰好良い、恰好良い。

『宮本無三四』。武蔵が、ワニ(?)と戦ってる絵。ちょっと思ったのだが、国芳ってワニ好き?他にも、本来は、鮫のはずなのに、鰐になってる絵があったのだケド、鰐を描くのが好きだったんでしょうか?まぁ、動物は好きそうな人ではあるケドさ、国芳さん。

『犬山道節忠興』。これ、本朝水滸伝ね。男前の忠興さんが、刀を振り上げ、ポーズを取っている。着物の赤と紫の対比も綺麗なんだぁ〜。

『鬼若丸』。はい出た、美少年!(笑)これには、山本版武者絵シリーズって書いてあった。化け鯉を退治している鬼若丸。目元涼やかな凛々しい美少年なんだな、コレが。浮世絵には、美少年がいなくっちゃね。

『国芳もやう正札附現金男 野晒悟助』。野晒悟助って、山東京伝が書いた小説の登場人物なんだケド。コレ、面白いです。悟助の着物がどくろ柄なのですが、良く見ると、このどくろ、猫で出来てるんだ。国芳お得意の手法。猫が組み合わさって、どくろを形作ってる。下駄を肩に下げているのだが、この下駄にも、どくろのような影が。面白いよね〜。

同シリーズの『唐犬権兵衛』。こちらも、着物がだまし絵風。閻魔の柄の着物なのだが、閻魔がこっちを見てるように見えます。権兵衛は、鏡を見ているので、鏡に顔が映っており、後姿。

『江州坂本入江の浪士白狐にたぶらかさるゝ図』。狐の大名行列です。おそらく、籠に乗ってるのが、浪士でしょうね。見物人が、それを見て笑ってます。狐さん達は、実に楽しそう〜。

『大江山酒呑童子』。私、この絵、好きなんだ〜。見られてよかった。ようは、源頼光の酒呑童子退治の話の絵なのですが、頼光の家来の、坂田金時(金太郎な)以下、トップ4が、酒呑童子を取り囲み、「いざ!」って感じで、斬りかかろうとしてる。でも、それを横目でチラ見して、ニヤリと不敵に笑う、酒呑童子!このニヤリが好き。
が、水町タカオ氏が、酒呑童子の話をライブでしてくれまして、あんな可哀想な話とは思わず・・・。もう、酒呑童子に同情せずにはいられなくなってしまいました。

『文覚上人那智の瀧荒行』。誤って人を殺しちゃって、その償いの為、瀧の荒行をする文覚の元に、不動明王が出てきて、瀧をお湯に変えてくれる・・・って言う話なのだが。コレ、ぶら美で、美術評論家の山田五郎氏が言っていたのだが、21日の荒行で、7日目で、不動明王出てくるから、あとの14日お湯なんだよ。それ、荒行になってないよね?お湯の瀧って、そりゃ、ちょっと大きな打たせ湯だよ!肩こり治るは!!(笑)
これ、縦3枚続きの絵なのだが、2枚目なんて、瀧しか描かれてないんだよ。スゲエ、斬新な続き絵(通常、続き絵って、とりあえず、どこか1枚買っても、意味が分かるようにはなってるモノなのよ)。版元は「3枚続きで売れる!」って言う自信があったんでしょうね。

『四条綱手の戦い』。沢山の矢羽飛び交う中の戦絵。血も出ていて、思わず「なるほど、この血みどろ辺りを、弟子の芳年が引き継ぐか。」と思う。元来、国芳の絵には、そんなに血みどろ絵はないけれどね。

『讃岐院眷属をして為朝をすくふ図』。大海に船。船上には為朝。後ろには、巨大な鮫。それを、カラス天狗が助けている。カラス天狗は、彩色していないのが面白い。描線のみ。海原の描き方は流石上手いよね、国芳。

『列猛伝 箱王丸』 「えいや!」と不動像を片手で上げる箱王丸。

『本朝武者絵 橋姫』 美女の橋姫ちゃん。勇壮にも、龍をたたき斬ろうとしています。白、紫、朱のコントラストの着物も綺麗だ。

『和漢準源氏 玉かつら 武内宿祢得干珠満珠』。干珠満珠のお話だろうケド、珠を差し出す、海の眷属(水神?)が可愛い。珠をお盆に乗せて「どうぞ」って言う感じで、武内に差し出してる。船の上の武内も「何さ?」って顔で見てる。
タイや、サザエの被り物・・では、ないのだろうケド・・・をしてる人(てか、眷属)も、ユーモラス。

で、次は、説話にGO!です。説話絵も好きだ。

『龍宮城 田原藤太秀郷の三種の土産を贈』 亀に乗った田原藤太秀郷。大きな釣鐘も乗せている。で、まわりのお付の魚達がスゲエ。タコやら鯛やらサザエやらフグやら・・・もう、魚一杯。

『木曽街道六十九次之内 三十 下諏訪 八重垣姫』。この絵も私、好きです。八重垣姫ちゃ〜ん目がハート。後ろには、狐のシルエット。赤い着物を、ひらりと靡かせ、八重垣姫は、ステップを踏んでいるよう。

で。お次は役者絵でござい。

『見立 二代目関三十郎ののざらし語助 五代目瀬川菊之丞のけいせい地ごく太夫 二代目中村芝翫の一休太郎』 中央で払子を持ってポーズを取る、地獄太夫。左の芝翫の一休太郎は、人をむんずと捕まえてポージング。右の野晒は、人をふんづけてポージング。荒れた感じの背景のススキも恰好良い。ホント、恰好良い。

『三代目尾上栄三郎のしづかごぜん・下り二代目尾上多見蔵の百姓きよろ作と源九郎狐』 多見蔵の源九郎狐が恰好良いのだが、コレ、お芝居の一場面なのか、まわりの狐さん達は、着ぐるみ。着ぐるみって分かる着ぐるみ(笑)。

『五代目市川海老蔵のゑんまの小兵衛・八代目市川団十郎のうきよ伊之助・三代目岩井粂三郎の若那屋若草』 後ろの閻魔の顔が切れてる風に描かれているのだが、手を「うわぁ〜」ってやってるみたいで面白いんだよな。役者の皆さんは、皆恰好良いですが。

で、ここから美人画になるのですが。私、やっぱり、国芳の美人画は、あんまりグッとはこないんだよなぁ〜。好きなのは、武者絵、説話絵、戯画なんだよ。
美人画だったら、私は、鈴木春信と、英泉が好きです。春画も同じで、春信と、英泉のが好きなんだケド。

でも、2枚続きの『女三宮』は好きでした。猫繋いで女三宮が遊んでる図。

『四季遊観 納涼のほたる』は、涼しげで良いな。ほたる狩りに来たのであろう、3人の美女。一人は、今まさに、蛍を捕まえたところ。中央の美女は、虫かごを持ち、左の美女は、うちわを持って色っぽくポージング。

団扇絵も沢山ありました。団扇には美女が合うんだなぁ〜。

『山海愛度図会 六十七 けむったい 丹波 赤かゐる』は、ニヤリと笑う女性の顔が、ちょっと小憎らしくて良い感じ。

で、ここから子供の絵。遊びの絵があります。

面白かったのは、『をさな遊び』と言うシリーズ。農・工・商って、全部ある。子供が、農は、お米をざるに入れる仕草、工は刀鍛冶、商は天秤量りを持っている。
武士がいないのは、武士は、遊びに使っちゃ失礼ってコトなのかな?それとも、庶民は、武士にはなれないからかな?

『子供あそびのうち 角のり』は、木場で見かける光景。海に浮かんだ角材の上に乗って、子供たちが、角材をくるくる回して遊ぶやつ。台を積み上げて、アクロバットをやってる子供もいるが、彼は、これで、金が取れると思う(笑)。

風景画もあったが、この時代、もう、西洋の銅版画なども入って来ており、それを見ていた国芳には、陰影がついた風景画などもあった。
『東都三ッ股の図』は、スカイツリーが描かれている!!ってコトでちょっと話題になった絵。実際、火の見やぐらの横に、骨組みっぽい謎の塔が描かれており、現在、同じ場所には、スカイツリーが立っているそうな。この骨組みの塔は、何を描いたのかはっきりしてないらしいのだが、櫓なんじゃないか?って説が一般的らしい。

『忠臣蔵十一段目夜討之図』は、銅版画の影響で、きちんと陰影がついた絵。コレと似た銅版画も、見つかってます。おそらく、それを参考に国芳が描いたのだと思う。

摺物の展示もありました。特別注文で摺ったモノを、摺物って言うらしい。

『禽獣図会 鳳凰・麒麟』の校合刷りがあったのも面白かったな。にらみ合う、鳳凰と麒麟の図なのだが、校合刷りも、モノクロ描線絵で綺麗なんだよね。

そして、国芳と言えば、忘れちゃいけない戯画!
『化物忠臣蔵』。一つ目、蝦蟇、ろくろ首、みこし入道などなど、化け物のオンパレード。その化け物たちが、忠臣蔵の場面を演じている。ユーモラスで可愛いんだな、コレが。

『道外狐へん化のけいこ』 この絵、初めて見たケド、大好き!!狐さんが、変化の稽古をしてるのだが、着物を着た狐師匠みたいな狐がいて、キセルで指示を出してるの。「そこ!もっとちゃんと化ける!」とか言ってるんでしょうね。化けても、尻尾出ちゃってる狐さんもいるし。何て、可愛い目がハート

『魚の心』。魚になった、役者さん達。この頃、改革で、贅沢禁止令が出ていて、華美な役者絵が禁止になった。それならと、国芳は、役者を猫や魚で描いたんだよ。「役者描くな!」と言われたら、「え?コレ、魚の絵ですよ?」って言えるって言うね。
権力を笑っちまえ!が江戸庶民。粋ですね。

『人かたまって人になる』 『みかけハこハゐがとんだいゝ人だ』 おそらく、皆さんも1度は見た事があるであろう、有名なだまし絵。顔の絵と思って見てみると、大勢の人が集まって、一つの顔を作っている。黒人さんが、曲げの部分を担当していたりで、大変楽しい。目が提灯だったりね。

『其まゝ地口猫飼好五十三次』 私、昔画集でこの絵を見て、いつか本物が見たいと思っていたのですが、今回見られました!猫大好き国芳〜が、五十三次を、全部、猫ダジャレでやっちゃった。
大タコくわえた猫さん「おもいぞ!」→「おおいそ(大磯)」 のどをかく猫さん「のどかい」→「ほどがや(程ヶ谷)」 顔を洗ってる猫さん「あらい」→「荒い」 ぶち猫さんがカゴに入って「ぶちかご」→「藤川」 正直苦しいダジャレもあるけれど、スゲエ可愛くて面白い!

国芳さんて、現代にいたら、ダジャレ好きの陽気な猫好きオッサンになっていたかも知れないね。

『金魚づくし ぼんぼん』。ぼんぼん遊びをする子供・・・ではなく、金魚!コレ、新発見されたものらしいです。蛙が、お姉さん金魚に手(ひれ?)を引かれてるのが可愛い。蛙さんの手にはおたまじゃくしも!

『荷宝蔵壁のむだ書 黒腰壁』 黒腰壁に、いたずら書きのような役者絵。わざと下手に書いてあるんだろうけど、線が生き生きしてて下手じゃないのは分かっちゃう(笑)。
これ、改革で、役者絵禁止だから・・ってのもあったらしいが、江戸庶民は、こういう絵を面白がった・・と言う側面も大きかったみたい。

ほか、情報絵には、『林家正蔵工夫の階段 百物語化物屋敷の図』もあった。怪談話の名手と言われた、林家正蔵だね。こちらのお化けたちは、結構おどろおどろしくて怖い〜。

『桜三筋末広の松』の幇間の踊り教本の絵も面白い。

最後に、弟子の芳幾が描いた国芳の死絵(死んでから描く肖像画みたいなモノ)があった。

そう言えば・・・。国芳は、自分を描く時、後姿でしか描かなかったんだ。何故だろう?江戸の職人らしく、照れ屋だったのかも知れないし、「職人が人様に顔なんか見せてどうするよ!」って言う感情だったのかも知れない。
芳幾が描いた国芳は、気が強そうで意志が強うそうな、いかにも江戸っ子と言った風情のオッサンだったよ。

お土産は、ポストカード4枚と(武者絵があんまりなかったの・・・)、クリアファイル1枚(うち1枚は、某方のお土産にしようと思った)。そして、図録。

改めて国芳一杯を見たけれど、私、やっぱり好きで見てるからか、見た事ある絵も結構ありました。芳年を見に行くと、一緒に飾られてるコトが多かったりするしね。
次回は、是非、国芳&芳年の妖怪画特集〜なんてのを見てみたいなぁ。
太田浮世絵美術館か、町田版画美術館あたりでどうだろう??

私、彫り物をいれる際は、絶対、歌川国芳の武者絵にするよ!
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