TPPについての俗論とそれに対する反論その4。
その1は
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1787939957&owner_id=2129235
その2は
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1790825411&owner_id=2129235
その3は
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1793513046&owner_id=2129235
●『TPPに参加すると格差が広がるんだぁー』
→ 参加しようがしまいが、今後格差は広がる。
参加しなければ早晩財政破綻するので、社会補償(年金、国民健康保険、生活保護など)が崩壊する。自力で生きていける層以外が凋落する。
参加すれば競争が激しくなるので、競争に耐えられない層が国の補助に頼るようになる。
で、どちらがマシか?と考えれば。国の社会補償が多少なりとも残る可能性のある、TPP参加の方がマシ。
●『東北が地震で大変な時に、こんなコトをするなんて!』
→ TPPは、条件妥結(1〜3年後?)から10年後に発効するのが基本(関税などは徐々に?下がり、10年後にゼロにする、のが基本)。つまり、影響の大部分は10数年後に出る。
今すぐや数年内に影響が出るワケじゃないことを、分かってないのか、あるいは分かっていて故意にずるがしこく知らぬ顔しているのか知らないけれど、無視している。ナンセンス。
------- 以下、日々の報道に関する感想 -------
9日各紙。民主党PT理事会、TPPで案を取り纏め総会に諮る。朝日は「総理一任」読売は「一任は認められず」。産経の言う「方向性示せず」が正確か。
9日深夜、民主党PT、「政府には慎重に判断することを提言する」とした提言をまとめた。ただ、最終判断は野田佳彦首相に委ね、代わりに?第4次補正予算を組んで、農業対策をすることに。結局予算で話を付けたのね...
10日夕。総理、TPP交渉参加するか否かの発表記者会見を明日に延期。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20111110-OYT1T00898.htm
迷ってはるのか、それとも異論を封じる(無視する)ためAPEC出発直前に会見するのか、どちらでしょう...
11日夜。野田総理、当初の予定より1日ちょい遅れで、今日20時から記者会見し、TPP協議参加を表明。ヨシッ!「交渉参加に向けて関係国との協議に入る」と言う間接的な表現が気になるけど、まぁ1歩前進。「関係国との協議に入る」のは、実態として正確だし、まぁ良いや。やや優柔不断な印象を与えたのがマイナスだけど。
それにしても、これで山田前農水相らが納得してる風なのが不思議。形作り出来たから?
日本人も笑えない。『韓米FTAめぐるデマ、韓国人の20−40代の8割「信じる」』
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2011/11/10/2011111001122.html
11日のとくダネ!韓国人は、「良く分からないけど」韓米FTAには反対してる、という報道っぷり。まるで韓国の人をパー扱い。ちょっと失礼なのでは(^_^;)...
また「TPPは対中経済シフト」とも。その通りなんだけど、マスコミでそう明言するのは珍しい。政治家は、それを外交上の配慮から言えないのがツライとこ。日本の反TPP派や韓国の反韓米FTA派の中には、中国に操られている人が何割かいると思うなー。
2010年11月19日発表の2009年の農業総産出額(みんなの党の山内議員・調べ)。
農業総産出額: 8兆 491億円
内訳
米 : 1兆7950億円
野菜 : 2兆 221億円
果実 : 6751億円
畜産 : 2兆5096億円
(畜産の内訳)
肉用牛 :4406億円
乳用牛 :8041億円
豚 :5085億円
鶏(卵含む):7028億円
※ 米の戸別所得補償の予算額は約5600億円。
お米が額としては小さいのに、やたら優遇されていることがよく分かる。
12日読売など。APEC財務相会合。米国などは人民元レート改善は求めたが、日本の為替介入には言及無く、声明には「為替レートの過度な変動は、経済・金融の安定に悪影響を与える」との文言が入った。
これ、日本外交の成果であるとともに、アメリカが日本より中国市場を狙っていることを示していると思う。
実際、中国は「TPPに招待を受けてない」とおかんむり。米国は「参加したけりゃ来れば良いジャン、招待なんかしたりされたりするようなモノじゃないよ」とあしらった。
その後、カナダやメキシコも参加希望を表明。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20111114-OYT1T00487.htm?from=main1
TPPが対中経済ブロックである、ということがジワジワ明らかに。カナダ・メキシコ・日本が参加すると、世界のGDPの4割を占める経済圏になる。APECで中国が焦りを隠せなかった原因。
もっとも、AERAで野口悠紀雄曰く「中国はEPAであるTPPに入れないため、EUとFTAを組んで対抗するおそれがある。そうなると日本は中国市場を失う。アメリカは、サブプライムローン問題の影響で、日本車を買う余裕など無いのに」。同誌でぐっちー(アルファブロガーのエコノミスト)曰く「日本の内需市場を米に公開するデメリットの方が、農業面のデメリットよりも大きい」とも。
野口は中国派、ぐっちーは内需派ですね。中国の近所にある日本が、何の後ろ盾もなく中国とFTA交渉する危険性を野口は軽視しているし。ぐっちーは国内需要が長期的には収縮し続けていることを無視している。
14日webやテレビのニュース。野田総理が、オバマに対し『すべての物品およびサービスを貿易自由化交渉のテーブルに載せる』と発言したか?で日米で齟齬。米国は最初そう解釈し、日本は即座に否定。その後、米側が日本に同意。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20111113-OYT1T00394.htm?from=top
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20111114-OYT1T00497.htm?from=main2
ロイターによると、米当局は同意してない、という説もあるけど。
http://www.reuters.com/article/2011/11/13/apec-trade-japan-denial-idUSL3E7MD03L20111113
さっそく駆け引きが始まってる...
15日読売によると、日米事務方で調整した要領内には入っているそうな。16日東京によると、ホワイトハウスのリードアウトには今も載っている。ただこれは通常、解釈も含まれる。日本外務省のブリーフィングには含まれていなかった。実際、アメリカも野田の発言否定に抗議していない。
と言う訳で、やはり、非公式懇談ではそう受け取られるようなことを野田は言い、公式会見では一切言わず、故意に玉虫色にして双方の顔を立て、互いに自国に都合の良いように扱い本格的な抗議は互いにしない、という、外交で良くある合意がなされている気がする。
15日、各紙の支持率調査が出た。単位は%、()内は前回。支持/不支持。
内閣 TPP
読売 49 /38 51/35
朝日 40(48)/33(26) 51/34
産経 42.4(56)/37.1(31.8) 60.7/31.7
TPP支持派が多い。新聞各紙はTPP支持が多いことなどが原因か。
15日各紙。米産業界(通商代表部など)は、事前交渉で自動車(日本の関税は既に世界一低いので、非関税障壁を言いたい?)、牛(月齢制限を20ヶ月から30ヶ月にすることか)、簡保などを取り上げる意向だとか。
また、マイミクさんがツイートで教えて下さった記事。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20111114/223825/?rt=nocnt
日本の農産物関税などが載っている。主な高関税品は、
・コンニャクイモ 1706% ・コメ 778%
・落花生 737%
・でんぷん 583% ・雑豆 403%
・バター 360%
・大麦 256% ・小麦 252%
・生糸 245% ・脱脂粉乳 218%
野菜は関税が元々低く、
・サツマイモ 12.8% ・里芋 9 %
・たまねぎ 8.5% ・スイートコーン 6 %
・きのこ 4.3% ・トマト他多くの野菜 3 %
・ごぼう 2.5% ・果物類 〜10%〜
(果物:
http://www.customs.go.jp/tariff/2011_8/data/i201108j_08.htm)
生産額や産品の特性から、関税ゼロで一番危ういのはバター。輸入にも適しているし、品質も外国(オーストラリアやニュージーランド)の方が本場だし。コメもアブナイけれど、コメは輸出も出来るでしょうから、かえって強いかも。
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