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2009年04月16日18:08

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描く 百月繚乱 月岡芳年展

専修大学図書館本館 研修室で開催中の『描く 百月繚乱 月岡芳年展』を見てきました。専修大学の図書館近くにある小部屋みたいな部屋でやっているんです。

月岡芳年コミュで情報を知り、しかも親切な方に『専修大学までは坂なので、坂がイヤだったらバスを使ってね』と言われたのですが、歩いて15分くらいなら歩けるかな・・・と思い、向ヶ丘遊園駅から、専修大学生田キャンパスまで歩いてみました・・・。
本当に坂でした(^_^;)。途中後悔しました・・・。で、ヘタって、坂の途中で休んでいたら、北野神社(専修大学そばにある神社)から、ホーホケキョと鶯の鳴く声が・・・。「歩いて来て良かった。」と思いました。専修大学生田キャンパスの人は、ほぼ毎日この坂を歩くのですね。足腰丈夫になると思います。

因みに、迷うことはなかったです。何故なら、学生らしき人が、わんさか歩いていたから。「この人達に付いて行ったら絶対着くは。」と思ったので。案の定迷わず到着したのですが、『図書館本館』が何処にあるのか皆目分からず迷いました。インフォメーションがあったので、訊こうとしたら、見事に目前でけ躓き、受付のお姉さんに「大丈夫ですか〜」と心配されました。・・・凄く恥ずかしかったです・・・。

あと、学生に間違えられました。・・・いいんだ。別に。38歳の大学生だっているもん!最近、生涯学習で、大人も大学生になるんだもんっ!それに間違えられたんだもんっ!『新入生歓迎』って書いてあったケド、それはきっと私の読み間違いだもんっ!もんっ!!童顔のせいじゃないやいっ!!

折りしも大学は新学期。サークルの勧誘や、教科書販売や、学生の会話も「履修受付が終わっちゃっててさぁ〜、どうしよう。」とか、そんな会話をしていました。

私は大学というところに行ったコトがないのですが、大学も楽しそうですね。レポとか大変だって言うけれど。私は美学が学びたいなぁ〜。

さて、何とか、図書館本館 研修室に辿り着きました。
入る時「学生証見せて下さい」って言われたらどうしようと思ったのですが、名前を書くだけで入れてくれました。
外部の人にも、無料で見せてくれるのですね。太っ腹だね、専修大学!

しかも、「ご自由にお持ちください」というコーナーがあって、手作りの月岡芳年の『月百姿』の栞があった!!スゲエ!まぁ、紙に芳年の浮世絵をプリントアウトして、パンチで穴開けて紐通しただけ・・みたいな栞なのですが(穴の開いてないのもある)。紐もバラバラだし。でも、この手作り感覚が逆に良いのです。しかも、芳年だよ!?芳年のグッズなんて、私、国際版画美術館でしか見たコトねえよ!
40種類くらいあって、全種類欲しかったのですが、流石にそれは欲張りすぎだろう・・・と思い、厳選に厳選を重ねて・・・・9枚頂きました。・・・9枚も頂きすぎじゃねえか?今、ちょっと反省しています(-_-;)。スミマセン・・・。でも、宝物にします。
私の好きな『吼えつ(えつの字が出なかった・・・)』はなかったけれど・・・。この絵、白蔵主(はくぞうず)よね?お坊さんに化けた狐さん。でも、月百姿の2代美少年『五條橋の月』(牛若丸ね)と『菅原道真』はしっかりゲットしてきた私。もう、萌え!!

80点ほど展示してありました。

まず面白かったのは、『通俗西遊記』の『孫悟空 混世魔王』。混世魔王と孫悟空が戦ってる絵だが、悟空思いっきりサルなのね。で、隣に『孫悟空 なた(“なたく”も出ねえよ!)太子 独角大王』 なた太子はちゃんと美少年に描かれてるのに、やっぱり、悟空はサルなんだ。あと三蔵一行。八戒は思いっきりブタだし、悟浄に至っては、ただのハゲたオッサンである。
まだ、芳年が若い頃描いた絵らしい。

で、次にあったのは、私の大大大好きな『英名二十八衆句』。同門の芳幾と描いた残酷絵。血みどろ絵ね。
本当に、恰好良い。あと、芳年は血の表現が本当に上手いと思う。展示してあったのは、妊婦を逆さづりにして斬りつける、所謂『あんこう切り』の『稲田九蔵新助』と、顔の生皮を剥ぐ、所謂『皮はぎ』の『直助権兵衛』。
芳年は、血にリアルさを出すため、擦った上に、膠を擦り足していたそうな。そう擦り師に指示を出したってコトでしょうね(芳年が擦るワケじゃないから)。そして血の粘っこさを表現していたらしい。幕末〜明治の人だから、もう感覚は現代人と近いんだよね。西洋文明もガンガン入って来てたし。

『あんこう切り』のポージングの恰好良さが痺れます。妊婦の苦悶の表情とか。本当に恰好良い。

私は、芳年の美人画はあまり好みではありません。芳年の美人画、あんまり色っぽいと思わないんだ。
でも、今回は美人画の展示も多数ありました。『風俗三十二相』や『見立多以尽』など。
『本朝名婦鑑』もあって、コレは好きなんだよな。常盤御前とか、春日局とか、中将姫とか、歴史上の有名な女性が描かれてる絵。空刷り(色を付けずに、凸凹を紙に写す技法)が凄いんだ。白地にキチンと美しい文様が空刷りされている。コレは、画集では再現出来ないモンね。本物見なくちゃ分からない。

『見立〜』は、『もうひとつのみたい』と『よいのがだしたい』が好きだったな。『もうひとつ〜』は粋な姐さんが、お猪口を出している。もう1杯お酒が飲みたいのね。『よいのが〜』は、どうやら、今でいう『野球チップスのオマケのカード』みたいなモノで、自分の好きな役者さんの絵姿を出したくて、何枚もおみくじのような紙を破ってる若い娘さんの絵だった。
あと、この時代ならではなのが『洋行がしたい』。英語の本を読む女性の絵。文章に『千金乃』って書いてあったから、当時、洋行するには、それくらいのお金が必要だったのでしょうね。HISもJALの早割りもないんだもん。洋行は、夢の又夢だったんだろうなぁ。

おおう!『芳涼閣両雄動』があるぞ!曲亭馬琴の『南総里見八犬伝』がテーマだね。
犬塚信乃と犬飼現八の決闘の場面だ。朱塗りの屋根が鮮やかで恰好良い!因みに、師匠の歌川国芳の構図が元になってるのよ。コレ、上にいる美少年が犬飼よね?

『奥州安達ヶ原ひとつ家』。鬼婆が刃物を研ぐ。そして横には逆さづりの妊婦の姿がある。怖いが、やっぱり構図は恰好良いなぁ〜と思ってしまう。安達ヶ原の鬼婆伝説の絵ね。昔話でも有名。

私の好きな妖怪絵シリーズ『新形三十六怪撰』からは『二十四孝狐火之図』があった。うわぁぁぁぁぁ〜い。狐さんだぁぁぁぁぁ〜。美人の狐さんだよぉぉぉぉぉ〜ん。おお〜ん。萌え目がハート。萌え〜〜〜〜!!!!!!!
美人画は色っぽくない芳年なのに、何故か、妖怪変化の美女を描くと抜群に色気が出るってのは、この人の質を表していて、本当に面白いと思う。
狐火に囲まれ、菊の着物を着ている狐の美女。も〜う。萌え〜ハート達(複数ハート)

柳亭種彦の『偽紫田舎源氏』もありました。元ネタは紫式部の源氏物語ね。それを、柳亭種彦が室町時代に設定を置き換えて書いた小説。女性を渡り歩きながら、紛失したお宝を探す・・というストーリー。当時の女性に凄い人気があった小説。
その一場面、源氏を殺しに来た東雲を娘が身を挺して助けようとしている場面。東雲の顔は般若です(般若の面なのかな?)。恰好は、能楽の『葵上』の六条御息所の恰好と言えば想像つくか知らん?

『和漢百物語』もありました。『藤原仲成霊 伊賀局』の絵の仲成の霊が、河童みたいなんだ(^_^;)。怖いと言うより笑ってしまった。
そして、待ってました!の『清姫』。清姫ちゃ〜ん。勿論、安珍清姫伝説の清姫ちゃんね。男を追って、最終的には蛇になる。この清姫ちゃんは、蛇にはなっていないんだ。ただ水から上がったばかりなのだろう。髪はしとどに濡れ、顔はキッと睨んでいる。手は濡れ髪を掴んでいる。情念漂う絵である。

殺人の場面は芳年お手のモノの一つ。『新撰東錦絵』の『鬼神於松四郎三朗を害す図』もそんな殺しの場面だ。
笠松峠の女盗賊お松が、旅の武士夏目四郎三朗を騙して殺害する場面。川を渡る夏目と背負われたお松。夏目に背負われたお松が、匕首を持った手を上げている。一瞬後には、匕首は夏目を刺し、川面は真っ赤な血の色に染まるのだろう。なんて恐ろしい。そして、あぁ・・・なんて耽美な・・・。血の色の川は、さそがし美しいのだろう。

『一休地獄太夫之話』は、前述のお松の話とうって変わった面白い絵。一休禅師が、室町時代のアイドル花魁、地獄太夫と会っている。一休は、手に竹に刺した生首を持っている。この逸話有名だよね。
お正月に「正月だからって、浮かれてんじゃねえ!」って言って、生首竹に刺して、往来を練り歩いたっていう一休禅師の逸話。それが元だと思う。それ見てにこやかに笑ってる、地獄太夫の方がスゲエと思う(笑)。

月百姿。パネル展示だケド、全部飾ってあったよ。
本物は4枚あった。『月のものくるい 文ひろけ』が美しい。彼氏からの別れの手紙なのでしょうね。それをビリビリに破って、月を見る女性。多分、彼女は、もう正気ではないのだ。狂気に堕ちた彼女は月に何を見るのだろう?

小さい部屋での展示でしたが、大変充実していました。
学生さんが沢山来るのかな?と思ったケド、たま〜〜〜に来るくらいで、あとは貸切状態だった。新学期だから学生さん忙しいのかな?

受付の女性に訊いたら、コレは専修大学にあるモノではなく、借りて来たモノらしいです。それを外部の人にも無料で見せてくれるのねん。有難う〜。栞も貰えたし、嬉しかったので、受付の人に「芳年が見られて嬉しかったです。有難うございます。」とお礼を言ったら「宜しければアンケートに答えて下さい。」と言われたので、答えてきた。

展示してある絵でアナタが好きな絵2枚と、月百姿から好きな絵を2枚選んでね。10月にやる特別展の時に配るカレンダーにするから。という内容だったのだが・・・。
私、『英名〜』の『あんこう切り』を選んでしまう(^_^;)。どう考えても、カレンダーに血みどろ絵は不向きだろう!でも「好きな絵」って言われたら・・・嘘はつけないもの・・・。
もう1枚は、清姫ちゃんにした。
月百姿は、牛若丸と、白蔵主にしたよ。美少年と狐。・・・私の趣味、丸出しじゃん!!
私のアンケート・・・。役に立ったのだろうか・・・。不安。

帰りに購買部に寄って、専修大学あぶら取り紙を記念に買ってみた。100円だった。

この展示は、24日までやっています。日曜が休館です。HPもあって、そこから、芳年壁紙がダウンロード出来るらしい。大学院生がこの展示会に関わっていて、色々アイディアを出したそうだよ。
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