この度タイタニアがアニメ化されましたが、その作者である田中芳樹氏の「書物の森でつまづいて……」に収録されている赤城毅氏との対談で、
「おっ」
と思ったことが書いてあったので、その一部を引用します。
赤城
若年層の読者を意識したいうことではないのですね
田中
それは全然ないんですよ。そういうことで言えば『アルスラーン戦記』を書くときに、「『銀英伝』よりはすこし下の年齢層を主たる対象読者として書いてください」と言われたんです。だから第一巻はそういうつもりで書いたんですが、第二巻以降は知らんぷりでね。どんどん漢字や文語的表現を増やしていく
赤城
わかります。話が進んでしまえば、知ったことか、と(笑)
田中
おのずとそうなるようです。読者層を意識したのはその時だけですね。あとは言われても知らんぷり、わからない言葉があったら辞書をお引きなさい、という非常にえらそうな態度でやってるのですが。
ぼくは最初、この文を読んだ時、
〈本当にえらそうな態度だな。読者にわかりやすい文を書くのが作家だろ。難しい言葉が出てくるから、今の人は小説を敬遠しているんだ〉
と思っていたんですが、今は違います。今の人は、
「いつも使っている何気ない言葉でも、どうしてこの言葉を使っているんだろうと疑問に思い、それを自分で考えたり調べたりする」
ことをしない人が多いと思うのです。だから疑問に思い、それを自分で調べたり考えたりすることは、とても大事なことです。自分で調べてこそ、考える力がつくんですから。少なくとも、ぼくはこう思っています。
だからこの文章は、自分で調べることの大切さというのを書いているんじゃないかと、ぼくは解釈しています。
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