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2024年04月15日23:03

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【拳闘】悪童退治の方法は?

日本ボクシング史上最高の完成度と言われる井上尚弥に、因縁の大一番が迫っている。メキシコの悪童ルイス・ネリとの対決だ。
今更言うまでもないが、ネリは特に我々日本人には決して忘れる事のできない憎き相手。『神の左』山中慎介との最初の対戦ではドーピング疑惑。改めて行われた再戦では体重超過。フェアじゃない状態で一方的に山中を叩きのめし、あまつさえ、勝ったリング上で胸を叩いて雄叫びをあげ、日本中のボクシングファンのハラワタを煮えくり返らせた。
初戦は、山中が勝てば具志堅用高の13回連続防衛の日本記録に並ぶ日本中が注目の一戦。俺は具志堅をリアルタイムで観ていたので、遂にこの記録に並ぶ者が現れたのかと驚くやら嬉しいやら。その一方で、37年もの月日が流れた感慨深さの入り混じる、複雑な心境で観戦していた。そして、その結末に茫然としたのは言うまでもない。トレーナーがタオルを投入し、それを受けたレフェリーが試合を止めてのTKO負け。セコンドの本田会長は『ダウンもしてなかったし、まだ戦えたはず。トレーナーが暴走して勝手にタオルを投げた』と憤慨。山中本人も
『効いたパンチは無い。自分のパンチの距離やタイミングが合ってたので行けると思った』と手応えを感じ、これからというところだった。
リターンマッチとなった2戦目では、あろう事かネリは大幅な体重超過でリングに上がる。試合は成立したものの一方的に打たれた山中は無惨な完敗。そのままキャリアを終えた。

その後もネリは『勝てて嬉しい』とか『山中戦はイージーだった』と、日本人の神経を逆撫でするかの様なコメントを吐いた。反側して勝ったクセに、一体どの口が言うのかと開いた口が塞がらない。完全に日本のボクシングファンや関係者から総スカンを喰らっていた。勿論日本ボクシングコミッションは追放処分を下す。でも世界レベルのボクサーにとっては屁のカッパ。強ければファンの声が後押しするし、客を呼べるボクサーは興業主も放っておかない。アメリカでもヨーロッパでも、舞台は幾らでもある。良い意味でも悪い意味でも結局は金次第の世界なのだ。
その後もネリは相変わらず体重超過をやらかしており、こういうヤツには関わらないのが一番だと俺は思う。『井上尚弥』なるボクサーは既に、『戦った事がある』だけでも勲章になるレベルであり、ネリにとっては『井上に相手にされなかった』、『対戦するレベルにすら届かなかった』という最大の屈辱となるからだ。
だが今回こうして対決が決まったのは、チャレンジャーに相応しいと周りを納得させた、ネリ自身の地力の証明でもある。

ネリはボクサーにあるまじき偏食家で、お菓子やピザを好き放題食べてしまうらしい。急激な減量による調整失敗が影響し、後日フィゲロアにKO負けしている。ボディ(レバー)ブロウで悶絶KO負けを喫したが、調整に失敗すると特に腹は打たれ弱くなると聞く。

ネリの特長はパンチ力があり、それを連打できる点だろう。ズバ抜けたスピードは感じられないが当て勘が良い。中間距離になるとブンブンとパンチを振り回すが、腕を振りながら相手の動きを予測し、未来位置に向けてパンチの軌道を修正する。これは井上とは正反対だ。井上は徹底した基本練習によって機械の様に正確に動けるので、最短距離を、最も効率良く、最も体重の乗ったパンチを打てる。
井上が、ズバ抜けたスピードで逃げる相手を追いかけ捕まえるタイプだとしたら、ネリは、相手の進む先を予測して、そこに網を広げて捕まえる、と言った感じだろうか。内藤大助タイプである。
前者はスピードが無ければ成立しない戦法だし、後者は『勘』が外れれば空振りとなる。が、勘が当たればスピードが無くてもパンチは当たる訳で、その勘がネリは優れているのだ。
つまり、井上がどれだけ素早く動いたとしても、勘で打ってるネリにはあまり関係無いという事。
無論スピードがある方が圧倒的有利なのは間違いないし、勘だけでそうそう当たる訳でもない。ただ俺が言いたいのは、井上の武器が比較的通用し難い相手と言う事だ。そして怖いのはパンチ力。1発が強いボクサーは幾らでもいるが、連打が全部強いのは厄介である。例えばコンビネーションのワンツー(左ジャブから右ストレート)等は、踏み込む下半身の力を利用する。逆に言えば最初の『一撃』以外は踏み込みの勢いを使えないので、3発目の左フックは手打ちとならざるを得ない。そのパンチが強いのだから、ネリは基本的に体幹や腕力が強い。
ボクシングは言うまでもなく対人競技であり、相性がある。能力だけを比べた場合、殆ど全ての分野で井上が上回っているが、相性としてはあまり良く無いと思う。

ディフェンスや打たれ強さに関しては正直判らない。ネリはプロのリングで1度しか負けておらず、劣勢の場面が少ないからだ。その1敗も体重超過による調整不足の為、あまり参考にならない。
ディフェンスはあまり良くないと指摘する人もいるし、(ニックネームの)豹の如きしなやかな身のこなしと評価する人もいる。
タフネスに関しては、フィゲロアの怒涛のラッシュに耐えてたのだから弱くはないだろう。

ここまでの総評として、スピードは平凡ながらパンチ力と回転力、当て勘に優れる攻撃力に加えディフェンスも悪くなく、打たれ強さもある。確かに最強の挑戦者と言えるだろう。では、ネリに弱点は無いのか?そんな事は無い。俺が思う最大の弱点はスタミナじゃなかろうか。
練習不足により心肺機能は井上より大きく劣ると思う。加えて、日頃の不摂生からの急激な減量もスタミナに影響する。つまり、試合が長引けば長引く程、井上が有利になるだろう。井上は、最初は様子見に徹し、相手のパンチの軌道やタイミングを掴むと倒しに行く。早ければ第1Rの後半、遅くても3R辺りから動き出す事が多い。しかしネリに関しては、見切ったからと言って前に出るのではなく、中盤までは慎重に戦いダメージを蓄積させ、後半に勝負をかけるのが得策だろう。
ただ、今回はネリも真剣に取り組むだろうから、練習も調整もしっかりこなして来るかもしれない。そうは言っても練習の成果はすぐには出ないし、それに山中戦だって『過去1の強敵』と認識してたし、しかも『勝てば世界チャンピオン』という夢の一戦だったはずだが…
人の性格なんて簡単に変わるモノでもなし。やはりメンタルの弱さと、それを起因とするスタミナ不足の弱点はあるんじゃなかろうか。どちらにせよ短期決戦はネリの土俵になる訳だし(そこでも井上が勝つとは思うのだが)、何が起きるか判らないのが勝負の世界。特にパンチのある選手は喰らったら終わり。最も勝率の高い戦略を選ぶべきである。
エマニュエル・ロドリゲス戦は技術とスピードの息詰まる攻防だったが、今回のルイス・ネリ戦は嵐の中を突っ走る様な激しい戦いとなるだろう。GWが待ち切れない。
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