『梟-フクロウ』 ☆☆☆★ 2024年16作目 チネ・ラヴィータ
https://fukurou-movie.com/index.html
朝鮮王朝物の韓国映画。
仁祖王の記録《仁祖実録》にある、仁祖王の実子、世子王子の死を扱った作品。
朝鮮王朝は中国の歴代王朝の強い影響下にあったように、仁祖王の時代も中国の影響を受けていた。
中国王朝が明から清へ変わり、世子王子は清で人質生活を送り8年ぶりに挑戦へ帰国。
仁祖王は未だに明を信奉し、傍らには側室が。
世子王子は目、耳、鼻、口から血を流し、顔は青く変色し…
どうみても「毒殺」なのに「感染症」(字幕やパンフレット等では「感染症」てなってるけど、時代的に「疫病」や「流行り病」でしょ)で死んだとされる実話をベースにした、「事実創作/ファクトフィクション」。
初めて聞きました。ファクトフィクション。
只単に「実話ベース」で駄目なんですかね?
何でもかんでも新しい言葉を作ればいいってもんじゃないでしょ。
これだけならよくある愛憎物の話なんだけど、主人公は盲目の鍼医(鍼医師)で、「見てはならないものを見た」んだけど、「目が見えない」。
で話が進むのかな? と思ったら、鍼医の描写を見ていると「本当に目が見えないのか疑わしい」シーンが多々あって、「こいつ実は見えてんじゃないの?」と思ったら、主人公の鍼医は全盲ではなく、「昼盲症」。
「昼盲症」とは、「明るい場所では見えず、逆に暗い場所では見える」症状の事で、要は「昼は見えないけど、夜なら見える」と云う事。
なのでタイトルの「フクロウ」はそのまんまの意味。
「夜見える」って事。
だから「本当は見えてんじゃない?」な描写も「夜ならば見えてる」だからな訳で、そうなると「お前見えてんじゃん。見えてないって嘘かよ」となってしまうので、鍼医本人としては「私が目が見えませんので」で通して得るし、周りは「かまわん。そいつは目が見えんのでな」と扱っている。
「目が見えない」のは不便だけれど、「見てはならないもの」ばかりの王宮では重宝される。
そんな訳で、「夜ならば微かに見える」という秘密を抱える鍼医が、「王子の死の真相」を知ってしまい「彼奴を探せ! 殺しても構わん!」となる話。
詳細はネタバレになるので書けないんだけど、世子王子の怪死は記録に残っているし、仁祖王は歴代の王の中でも特筆すべき暴君だったらしく、史実を上手く使った作品でした。
「盲目の鍼医」と云うのは「良くある話」なんだけど、そこに「昼盲症」を持ってきたのが斬新でした。
王子の息子と、鍼医の弟の歳が近く、宮廷で稼いだ金で弟の病を治したい鍼医にとっては、王子の息子が弟にダブって見えるのも良かったです。
王子が死に、暴君と化す王。
家臣は王による謀殺を疑うも証拠が無く、王子の子にも危険が…
朝鮮王朝物はほぼ初めてでしたが、ひねりが効いてました。
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