『ほかげ』 ☆☆☆★ 2024年15作目 フォーラム仙台
https://hokage-movie.com/
塚本晋也監督作。
塚本信也監督が戦争を描いた作品は何作かありますが、塚本作品だけでなく邦画の戦争を描いた作品は「思想の臭さ」に耐えられないので1作も観た事がありませんし、今後も観ません。
なので『ほかげ』も観る予定ではなかったのですが、主演の趣里さんの演技が予告で観ただけでも素晴らしかったので、守備範囲からは全く外れているのですが観ました。
大変に良かったです。
思った以上に観やすく、思想臭ささも、説教もありませんでした。
ざっくり三つのパートに分かれていて、趣里さん演じる「焼け残った居酒屋の女将」と、森山未來さん演じる「片腕が不自由な復員兵」と、「居酒屋に転がり込む戦災孤児」の話でした。
「焼け残った居酒屋の女将」
趣里さん演じる女将は焼け残った居酒屋を細々と続けつつ、実態は売春で…と云う話し。
カストリ焼酎(多分)を持ってくる親父にも代金とは別に…で、終戦直後の混乱の最中で生きる事の辛さ…
そこに若い復員兵と戦災孤児が転がり込んで来て、三人で暮らすんだけど、この復員兵が見た目は悪くないんだけど、稼ぎもしないで居座るだけで、孤児とのほのぼのさに騙されるとこだった。
「片腕が不自由な復員兵」
やっぱ森山未來さん演技上手いは。
ネタバレになっちゃうんだけど、「元上官への復讐」の話で、森山未來さんの演技が凄かった。
道中でたまたまよった家に精神を病んだ若い復員兵が居て、森山未來さんが耳元で呟くと静かになるんだけど、一体何を話したんだろ?
「居酒屋に転がり込む戦災孤児」
居酒屋のパートも復員兵のパートも通しで出てるんだけど、「戦災孤児の逞しさ」を感じた。
通路の奥に居た復員兵達には明日が無いかもしれないけど、この子にはきっと明日がある。そう感じた。
章立てではないんだけど、パートに分かれていたせいか観やすかったし、何より趣里さんの演技が素晴らしかった。
森山未來さんが演技上手いのは「やっぱり」なんだけど、趣里さんの体当たりの演技が素晴らしい。
戦後すぐの焼け野原を舞台にした作品なので、もっと「思想臭い」のかと思ったけど、全然そんな事なくて、「戦後の焼け野原で生きる人々」を描いたある種の群像劇だった。
塚本信也監督が戦争を描いた作品を始めて観たけど、観やすくて良い作品です。
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