私の名前は川口民雄。子どものころから、周囲から浮いていた。学校の成績は低空飛行で、お情けで卒業させてもらった。小学校低学年のころからごく普通に生きられないと堪忍した。なんでみんなと同じことができないのだろうか。学校時代の運動会、学芸会、展示会、修学旅行で、周囲のクラスメートと同じ行動をとるのに、非常に神経を使った。仕事をいくつか渡り歩き、発達障害を支援するNPOで働いている。大人になって、検査を受け、検査の結果で、読み書きはかなり厳しいことがわかった。発達障害当事者は別に努力して、普通に見せようとしても、無理である。例え給与は低くとも、暮らしていければ、文句はない。この仕事は自分に向いているようだ。発達障害トラブルシューティングが仕事になった。
さらに一カ月後、川口が伊藤のzoomで相談を受けている。
川口
「仕事、決まったそうで。良かったですね。心配していたんですよ。もし、うまく行かなかったら、詐欺行為なりそうです」
伊藤
「ありがとうございます。川口さんが前紹介してくれた仕事に近いかな。食品のサンプルが送られてくるんで、それを食べて、モニターをするんだ。これなら、母親の介護中でも、できるからね」
川口
「すごいですね。どのくらいの期間、働けるんですか」
伊藤
「契約社員で、モニター報告書の出来次第で、契約期間が決まるんです。初めは三カ月だけで、それから先、どうなるか、わからないけど。仕事はありそうだ」
川口
「いろんな仕事があるんですね。ところで、その仕事はネットで見つけたんですか」
伊藤
「そうです。できそうだから、応募したんだ。就職面接を受け、試用期間、三カ月あるけど、給料はもらえそうです」
川口
「御菓子販売に興味があるって言っていたから、見つかってよかったですね」
伊藤
「まだわからないけどさあ。三カ月はなんとかなりそうだ。いろいろと助けてもらってあ
りがとうございました」
川口
「いやいや、伊藤さんが介護を乗り越えて行く、手助けができれれば、幸いですよ」
伊藤
「川口さんに出会えて、良かった」
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