長崎に原爆が投下されてから78年となる9日、
長崎市で平和祈念式典が行われました。
今年は、台風6号の接近によって、会場が平和公園から屋内の施設に変更され、
一般の被爆者や遺族のほか、岸田総理大臣や各国大使の参列が見送られるなど、
規模が大幅に縮小されましたが、これは止むを得ない事だと思います。
平和宣言で、自身も被爆2世である鈴木市長は、
背中に真っ赤な大やけどを負った姿で原爆の恐ろしさを世界に訴え続けた、
被爆者の谷口稜曄さんが残した
「忘却が新しい原爆肯定へと流れていくことをおそれます」との言葉を紹介し、
そして、
「核抑止に依存していては、核兵器のない世界を実現することはできません。
私たちの安全を本当に守るためには、
地球上から核兵器をなくすしかないのです」と述べ、
その上で、核保有国と核の傘のもとにいる国の指導者に対して、
「今こそ、核抑止への依存からの脱却を勇気を持って決断すべきです」と訴えました。
6日に行われた広島での記念式典では、
岸田総理は、
今年のサミットでまとめた「広島ビジョン」を成果として取り上げましたが、
広島ビジョンは防衛目的のための核兵器による抑止力を肯定しており、
松井一実広島市長は平和宣言で「核抑止論は破綻している」と指摘しています。
政府と被爆地との認識は、大きな隔たりがあるようです。
そうした中、長崎新聞社は9日付朝刊に、
見開き2ページに及ぶ巨大なきのこ雲のイラストの一番下に
「武力か、対話か。」と、外交による平和解決の必要性を訴える広告を掲載しました。
その広告は、下記で見られます。
https://nordot.app/1061907075331096613?c=110564226228225532
一見すると、多義図形のルビンの壺のようにも見えます。
背景に黒地を用いた白地の図形で、
向き合った2人の顔にもきのこ雲にも見えます。
きのこ雲の広告は計3ページとの事で、
原爆によるきのこ雲を長崎が知っている「戦争の行き着くさき」と表現し、
一瞬にして7万人以上の市民が命を奪われ、
生き延びた人たちも後遺症や差別に苦しんだことを改めて説明し、
「8月9日。声なき声が、わたしたちに問いかけてくる。
武力か、対話か。」と結んでいるとの事です。
長崎新聞のこの取り組み、素晴らしい事だと思いました。
【今日の一句】
ポンポンと 嘘が飛び出す 二枚舌
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