愛と勇気と力とが静かに眠る海の底

※この記事はザンボット3のネタバレを書いています。未見の方で今後見る予定のある方は読まずにそっと閉じていただければと思います。さらに私の感想を書いていますが、あくまでも私見なので「そこは違うだろ〜！」というご意見も穏便に書いていただければと思います(^_^。

インターネットってすごいですよね。昔のこともすぐに分かっちゃうんですが、当時テレ朝系がなかった岩手県では、ザンボット3が放送されたのは1980年だったそうです。私はちょうど小学生になる年で、実写版のウルトラ、ライダー、戦隊が初めて揃う記念すべき年ですよね。

6歳当時の私はまだストーリーなんかどうでもよくて、ザンボット3がカッコよく戦う姿が見られれば大満足だったんですが、そんな私でも最終回は号泣したんです。なんで泣いてしまったのか、他にも感動的なアニメや特撮なんてたくさんあったのに悲しくて泣いたのはザンボット3だけでした（怖くて泣いたのはAのヒッポリト星人回とレオのMAC壊滅回）。

なんで泣いてしまったのか、私はずっと気になっていたんです。その後、ザンボット3は各媒体で再放送されました。CSのフジテレビで再放送された時は全話録画してDVDに焼いてあるんですが、実は見てないんですよね。気になっていた以上に、悲しいラストになるのが分かってて、見る勇気がなかったんですよね。大人になっても泣いちゃうんじゃないかと思って。

でもサンライズさんの公式YouTubeで配信が始まってから、欠かさず見るようにしました。さすがに覚悟ができました。

前半は神ファミリーに対する地球人の排他運動がひどかったですし、勝平も勝平で、変に煽るようなことをしてたんですよね。香月もやな奴として描かれてましたが、大人になって見ると彼の心の痛みも分かってくるんですよね。

中盤になるとようやく地球人にも神ファミリーが必死になってガイゾックと戦っていることが理解されて、香月とも和解されてくるんですが、最悪の兵器、人間爆弾が登場するんですよね。これは本当に酷い兵器ですよね。とてもひどいのにブッチャーはふざけながら人間を爆弾にして爆発させているからなお惨たらしいですよね。

アキの最期はとても悲しいですが、それ以上に香月の子分が人間爆弾にされて「最後くらいカッコつけさせてくれよ」と言って、他の人間爆弾にされた人達と街を離れるんですが、途中で「やっぱりやだよ！怖いよ〜〜！」って戻ってくるんですよね。そのシーンが全話の中で一番胸が痛くなりました。そうなんですよね。望んで死にたい人間なんていないんですよね。結局爆発して、それを見て勝平が「ごめんよぉ」と叫びながら号泣するんですよね。辛いです。

最終決戦は、最初におじいちゃんが特攻するんですが、これはきっと子どもたちを戦いに巻き込み、最前線で戦わせてしまったことへの贖罪の意味もあるんじゃないかなと思うんですよね。永井一郎さんは素晴らしい声優さんですが、最後までカッコよかったですね。

で、最終話。これはもう、宇宙太、恵子ちゃん、千代錦、お兄ちゃん達とどんどん死んでいくシーンにさすがの6歳の私もいたたまれなくなったんだと思いますね。勝平もわんわん泣いていて、気持ちが伝わってきたんだと思います。

ガイゾックの大元というか、あの脳みその化け物みたいなコンピュータが、地球人はそこまでして守るべき存在か、家族を亡くしてまで守り、誰がお前を称賛するんだ、と勝平に説いていましたが、正直私もよく分からないですね。

人間は同じ過ちを繰り返してばかりじゃないですか。大切にしているものを傷つける、奪う、人を傷つける、殺す、戦争を起こす…。そんな奴らを助けるために大切な家族を犠牲にするのか？地球にそれだけの価値があるんでしょうか。

序盤の展開を思い返せばなおさらですよね。

でも神ファミリーは地球のために戦い、勝平は勝ったんですよね。多くの犠牲の上で。地球人は悪い奴も多いけれど、守るべき素晴らしい人たちが大半なんですよね。何が正解なのか、何が正義なのかは分かりませんが、神ファミリーの行動を批判することは誰にも出来ないなと思いました。

勝平が地球に戻り、震えているところを優しく受け止める女性がいたんですが、最初はお母さんなんだろうと思ってたら、あのブスペアのサチだったんですよね。これがまたいいですよね。そう、サチは勝平のお母さんに似てるんですよね。香月も「俺も勝平に惚れてるんだ」って最高の名言を言うんですよね。そして地球人が勝平を讃えるためにやってくる…と言うラストでした。

でもこのラスト、本当は勝平を地球人が蹂躙しに集まるという予定だったという噂もあるんですよね。富野監督恐ろしい…。そんなラストならもう救いようがないですよね。

ザンボット3、とても深く考えさせられる傑作でした。惜しいのはアニメ素人の私が見てもひどい時がある作画ですよね。まぁあのガンダムでもひどい作画の時があったらしいので当時は仕方ないのかもしれませんが、それだけがもったいなかったなぁ。

あと恵子ちゃんが可愛いということを改めて見て気づきました(^_^。宇宙太もですが、イマイチこの2人にスポットが当たらないままでしたね。