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2022年05月20日10:45

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2022年5月3日 賃金格差解消へ「男女分業」変えよう 年金額にも影響

賃金格差解消へ「男女分業」変えよう 年金額にも影響
論説委員 辻本 浩子

働き方改革
2022年5月3日 10:30 [有料会員限定]

月34万円と、月25万円。
賃金構造基本統計調査による、男性と女性の所定内給与の平均だ。いずれもフルタイムで働いている場合の値だが、それでもこれだけの違いがある。
国際的にみても、性別による金額の差は大きい。経済協力開発機構(OECD)のデータでは、男性を100とした場合、女性はOECD平均で90弱だ。80弱の日本は、韓国、イスラエルに次いで、ワースト3になっている。
なぜ女性は収入を得にくいのか。男女の役職や勤続年数の違いなどを補正しても、差は生じるという。なにより、この背後にある固定的な男女の役割分担を見逃すことはできない。
家事や育児などの「無償労働」は、世界的にも女性が多くを担っている。OECDの平均では、女性は男性の1.9倍だ。
では日本は? 5.5倍だ。4倍台の韓国やトルコとともに、ここでも日本は最下位グループの常連だ。
収入の少なさと無償労働の多さは、コインの両面だ。「男性は仕事、女性は家庭」。この分業意識が強ければ、女性が外で働くハードルは高くなる。出産を機に多くの人が退職し、正社員として再就職できても勤続年数は短くなる。実際には多くが非正規だ。
一方、こうした分業のもとでは男性は長時間、働くことができる。それが職場の標準であればあるほど、女性が力を発揮する道はますます狭まってしまう。
流れを変えるチャンスは、あった。原点は、1975年。国連の「国際婦人年」を機に始まった世界的な大きなうねりだ。
この年の10月24日、アイスランドでは女性が一斉にストをした。父親は子どもを抱えて右往左往し、さまざまなサービスがストップした。賃金格差や家事・育児分担を見直してほしい。「女性の休日」の5年後、女性の大統領が誕生。いまでは国際的な指標であるジェンダー・ギャップ指数で世界1位を占める。
日本の変化はゆっくりだった。オイルショックで高度経済成長こそ終わったが、成長期に定着した分業システムは健在だった。終身雇用と年功序列を基本にした日本型の経営は、79年出版の「ジャパン・アズ・ナンバーワン」でも評価され、変える必要を感じにくかったかもしれない。
80年代、男女雇用機会均等法ができた。しかし第3号被保険者制度や配偶者特別控除といった、男女分業を前提にした税・社会保障制度も、この時期にできた。アクセルとブレーキを同時に踏むような状況だ。
仕事の量をセーブする女性はいまも多い。女性の力を十分に生かせないのは社会にとっても損失だ。
女性の収入の少なさは、「いま」に影響するだけではない。年金というかたちで老後の暮らしにも直結する。
男性は月15.9万円、女性は月9.6万円。
4月に内閣府の会議で示された高齢者の公的年金の平均額だ。データは2017年と少し古いが、差の大きさはうかがえる。
女性をさらに細かくみていくと、配偶者のいない「未婚」の女性は11.9万円。夫の遺族年金を受け取れることが多い「死別」の女性は、12.1万円だ。男女の賃金格差などの影響で、未婚の人より高くなっている。「離婚」の女性は働いていた期間が短くなりやすく、8.3万円だ。
いまや離婚は珍しくない。一生をひとりで暮らす人も多い。50歳時点で未婚の女性は6人に1人だ。男性=大黒柱ではなく、2人で家計を支えたい家庭もあるだろう。
岸田文雄首相は3月、「女性の経済的自立」を新しい資本主義の柱に掲げると強調した。賃金格差是正に向け、情報開示ルールの見直しなどを進めるという。
ただし、それだけでは動かない。今年4月に男性の育児をうながす改正育児・介護休業法が施行されたが、こうした取り組みで固定的な分業意識をさらに変えていくことが必要だ。分業を前提にした働き方の改革や、税・社会保障制度の見直しにどこまで踏み込めるかに、かかっている。
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