『声もなく』 2022年19作目 ☆☆☆★ フォーラム仙台
https://koemonaku.com/
韓国映画。それも韓流ドラマの流れではない正統派の韓国映画。
声を出せない青年。鶏卵業を営んでいる兄分の下で働いているも、経済的に苦しいので、兄貴分と二人でヤクザの下請けで死体の処理をしている。
ある日、ヤクザの頼みを断り切れず誘拐した少女を預かる事になるが、親が身代金の支払いを渋った上に、犯行主のヤクザがヘマをやらかしたらしく死体の処理で回されてきて、自分達で少女をどうにかしなければならなくなる。
と云う話。
この時点で既に「韓国映画だなあ」な作品。
「ヤクザの下請けで死体の処理をしている」時点で犯罪者。
ヤクザが居るから「相対的に軽く感じてしまう」だけで、十分に犯罪。
話が進んでいくと「人買い/人攫い」に「誘拐屋」まで出てくる。
ヤクザマフィアの類はどの国でもあるけど、「犯罪を生業とする」のが当たり前に存在するのは異常。
「死体処理」も「人買い/人攫い」も「誘拐屋」が存在してる時点で異常。
「死体処理」が商売として成り立ってると云う事は「知られていない殺人」が大量に横行しているって事だし、「人買い/人攫い」が居るって事は「児童売買」が未だに行われているって事。
『ブリング・ミー・ホーム 尋ね人』みたいに「労働力として働かせる」や、売春目的や嫁。最悪は殺して臓器を抜き取る。「児童売買」が成立してる自体間違い。
「誘拐屋」だって存在してる事自体間違い。
それもこれも「法令を守る」と云う「順法意識」が皆無なせいと、「警察が無能」なせい。
今作では警察官が2名出て来るけど、おっさんの方は只の無能だった。
こう云った「韓国ならでは」な事情がある上での韓国映画。
本題に戻りまして、『声もなく』。
話自体は酷いもので、少女を誘拐したヤクザがやらかしたらしくて殺されちゃって、預かった少女をどうにかしなきゃいけなくなる。
素直に家に帰せばいいものを、何故か帰さない。
これは作中で説明されていなかったけど、何で帰さないんだろ?
「誘拐の協力者」として自分達も逮捕されちゃうからなのかな?
素直に帰してれば良かったのにね。
誘拐自体、「息子を誘拐しようとして間違えた」とか間抜けな話だし、「娘だから身代金を値切る」とかって親も親。
少女の味方が誰も居ない。
「誘拐屋」に返そうとしたら、「手数料払え」とか訳の分からない事いだして、結局は「やり方教えるからお前らが身代金取って来い」てなって、兄貴分がうっかり死んじゃう。
何で?
そんなこんなで、喋れない主人公が少女を引き取って、粗末な家で妹と三人で暫しの間暮らす事に。
散らかっていた部屋を片付けたり、質素だけど食べ方をちゃんとして食事したりと、少女とつかの間の交流。
このシーンが良かった。
素朴で純粋なやり取りが良かった。
田園風景のピンクがかった空の色の景色が綺麗でした。
結局、手に余る。となって「人買い/人攫い」に売っちゃうんだけど、情が移ったのか助ける。
でも、「人買いに売った」のは間違いなく、少女と仲良くなりかけていたのに少女が逃げて…
人買いに買われたらどっかに売り飛ばされるか、殺されて内臓とられちゃうから逃げるのは当然。
逃げてる最中に変態のおっさんに出逢うんだけど、この変態がまさかの警察官。
やっぱり警察は無能だ。
「人買い」の車には攫われた子供が複数人居たのに、騒動になってないし、警察が警戒もしていない。
只の無能だ。
と思ったら、二人目の警察官として女性警察官が登場。
「人買い」に連絡貰ったのか、出張って来た「誘拐屋」と出くわすんだけど…
これがあったから妹さんが助かった訳で、他の監督だったら妹さんが攫われてたね。
終盤は「でしょうね」な結末で終わるんだけど、喋れない主人公を表情だけで演じきったのは凄い。
喋れない分「観る側」に判断が委ねられてしまうんだけど、逆に分かりやすかった気がする。
状況が状況だから、「やるか、やらないか」しかなし、悩む、苦悩するのは表情で分かる。
喋れない分余計に表情に出てた。
少女とのやり取りもぎこちなさがありつつも、素朴さ、純粋さがあった。
これが監督デビュー作だそうで、今年も韓国映画は楽しみです。
映画日記一覧
https://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=23096056&id=1381108346
映画blogはこちら。
http://blog.livedoor.jp/ken_taro/
ログインしてコメントを確認・投稿する