日本で選挙に行かない若者が多くても当たり前だと思う。

ニュースで選挙に行かない若者が多いから行ってほしいと言ってるけど、それは日本が、選挙に行かなくなるような教育をしてるからじゃないの？
自己効力感や、自分が社会に影響するという感覚を失わせ、自分が何を言っても無駄、自分の意見や思想など発してはいけない、黙っていなければならないという強迫観念を植え付けるようなことを日本の教育で標準的にやっているからなのではないの？

だって、普段から、個人の考えを発することを抑制され、学校などで疑問に思うことがあっても聞いてもらえずに、黙って従わなければならないということを強制され、自分が何を言っても社会に何も影響しないのだ、何も変わらないのだ、むしろ何も言ってはいけないのだ、自分の考えを持ってはいけないのだ、と思わされるような扱いを子供の頃からずっと受けてきた日本の学生が、選挙になったら突然、世の中から、「選挙に行って、自分の考えに合う候補者を選んで社会に反映させて」とか「あなたの一票が大切なんだ」とか言われても、そんなの矛盾してるよ。

散々、自分の考えを言っちゃいけないかのような圧力を与える教育とか、自分が何も効力を持てないような感覚を持たせる教育をしておいて、いきなり選挙のときだけ自分の考えを持ってそれを社会に表明するように言われたって行かない人がいるのは当たり前だよ。行ってほしいんだったら最初から、個人の考えを表明することを、きちんと認める教育、自分の言動が効力を持っていると感じられるような教育をすればいいじゃん。でも日本ではそれを抑え付けるような教育をしてきたのだもの。自分から社会に参加しようとしない人、選挙に行かない人が多くなっても当たり前じゃん。子供も若い学生も、みんな社会の一員で、社会に影響を及ぼす存在なのに、自分が社会に参加していないかのような感覚、参加したくても、自分は何を思っても何を言っても社会に何の影響も与えられない存在であるかのように思わせるような教育をしているからだよ。

生活のなかのあらゆることが社会と関係してるから、例えば学生が学校生活のなかで何かおかしいと思うことがあったときに、それを先生や周りの人に訴えるのだって、「教育」の問題に関係することで、社会に関係する一つの領域について意見を言っているということになる。もし、そういう意見を発信することが尊重され、何かきちんと聞いてもらえたという実感があった人なら、将来、選挙権を持ったときに、例えば教育の問題に力を入れている候補者に投票するとか、そういう考えにも至るだろうと思う。でも、個人の意見が尊重されない中で、むしろ自分の意見を言ってはいけないかのような圧力を感じさせられたり、自分が何を言っても全く一つの意見として数えられていないような状況を常日頃から経験させられてきたら、「どうせ自分が何を言っても無駄、従うしかないんでしょ」と思うようになるのが当たり前だと思う。そういう人を育てる教育をしてきたのだもの。

これは学校の教育だけじゃないよ。日本の社会全体が、個人の思想や個人の意見を発信することを抑えつける傾向を持っているでしょ。何か思っても言っちゃいけないとか、もしくは言っても聞いてはもらえないとか、一人一人の考えを尊重しないのが標準的であるかのよう。黙っているのが当たり前のような圧力がある。もちろん、そうでない場面もあるけれど、基本的に日本では、自分の考えや意見を求められることよりも遥かに、それを抑え込んで黙っていることを求められることのほうが多いというのが私の実感だよ。欧米と逆だよね。
普段からそんな世の中なのだったら、自分は何を言っても何も意味がないのだなあ、自分の考えを持っていても表に出してはいけないのだなあ、自分には効力が無いのだなあ、と思う人が多くなるよね。

これは選挙のことだけじゃなくて、今、子供や若者の自殺がとても増えていることが言われているけれど、その問題にも関係しているのではないかと思うよ。
「自分が何を言っても無駄」とか、「自分には何の効力も無い、何をやっても何も影響しない」というのは、つまり「自分は尊重されていないのだ」ということと同じであり、そうなれば「じゃあ自分はいても意味がない」「何のために自分はこの社会のなかで生きているのだろうか？」という考えに繋がる。

だから、小さい頃から、きちんと個人の意見を尊重すること、自分の意見を主張することを抑制しないことがとても大切だと私は思うのだけれど、日本のほとんどの人がそう思ってないっていうことなのかなあ。
幼い頃から自分の意見を発することを抑え付けられ、ただ周りに同調させられ、言っても尊重されず、自分の考えは社会に出してはいけないものと認識させられるような教育を与えておいて、選挙には行けと促すのは矛盾してる。行ってほしいならまず日本の教育と日本の社会の空気を変えればいいと思う。