コレクターの白石さん　その3

白石さん夫婦は期待マックスで、
箱を開けるのもどかしく、
絵を見た最初の瞬間は、、、

「なんだ、これは」
であったそうだ

よく人は、抽象画を見て
「ワケわからんな」と言うが
抽象ばかり見てる人は
具体的な絵を見ると
「なんだ、これは！」
となるらしい(´∀｀)

しかしそこから白石さんは
20分以上この絵を黙って
じっと見つめた、ところ、
「自然と自分の中に入って来た」
と言う。
それも受け入れた、のではない、
受け入れさせられた、のだと。

「満足しました」という結論だった。

う〜む。
これは白石さんの広いお心に
感謝すべき、か。。？？

ちなみに金額は
私の言い値だった。
その通りの金額と、
おうどんやおまんじゅうも
送ってくれた。

でも私は、感謝しつつも
期待を裏切った申し訳なさと、
何より
絵が不合格だったような
複雑な気持ちだった。

しかしそれから白石さんは
画廊夫婦にも絵を見せに行き
奥さんも含め4人で
この絵が
抽象なのか具象なのかという命題を
語り合ったという。

そして画廊の社長も
これは抽象だろう。
いや半抽象、半抽象？と
なった、そうである。

もしかして白石さんの
「なんだ、これは？」は
具象なのか抽象なのか、
カテゴライズ出来ない
不安だったのだろうか？

私は最近
抽象画とも具象画とも
くくれない絵を描こう、と
考えているので（不遜ですが）
ある意味その不安は正解だった

それよりも私の絵で
そんな議論してくれるなんて恐縮〜
と同時に白石さんは
本当に理解しようとしたのだと知って
私の心も落ち着きました。

注文で描くなんて
私にはまだムリだったなあ、、
と思ったけど、いい経験になりました。

そんなことで
注文の絵は決着した

ちなみに
私の絵は、白石邸の
玄関入ってすぐの壁に掛けられたそうです。