■アスカはもうニンゲンではない
Qでアスカが登場した時、強化ガラス殴ってヒビ入れてましたよね？ おいおい、あの細腕でできるわけないじゃん、あれじゃ拳は複雑骨折だよ、過剰演出だよ……とメタなことを思いました。間違いでした。人間わざではない、ということはアスカはもうニンゲンではなかったということです。同席していた誰もびっくりしてなかったのだから、そう素直に捉えるべきだったのです。
アスカが水しか飲まない、というのは肉体が使途に浸食されてしまったためです。食事も睡眠も不要ということは、体内にはS2機関が存在していて無限にエネルギー生成可能、エヴァの呪いと無関係に不老の肉体に変貌しているのでしょう。肉体的に休息が不要でも、脳みそは眠る必要があるんじゃないのかな……と思いますが使徒ですからね。
使徒は単体で存在する完全生物です。環境に合わせて肉体が変化することはあっても、成長も老化もしません。しないはず、そういう設定だったはず……違うかな？ 子孫を作る必要が無い（機能が無い）ので生殖活動をしません。浸食や分離をしても、個は一つのみ。あれ、でも第9の使徒が初号機に倒された時（3号機のエントリープラグが噛み砕かれた時）、虹が出てましたよね……？ じゃあアスカて何なんだ？ 使徒化した時、モニタに9th Angelって写ってましたっけ？ 憶えてないなあ……。4DX版もあるしもう一回観ようかなあ。
まあそういうわけで、見た目は人間ですし、いちおう多細胞生物です。旧作では、使徒のDNAを解析してヒトとほぼ同じという結果が出てました。筋肉と骨はあるし、目や耳や鼻などの各種センサーも残っています。知的生命体なので脳みそも。ただし、酸素を取り込む必要がないので（カヲルは生身で月面にいたよね）たぶん呼吸はしてません。声帯を振動させるために肺は動いているようですが。あと循環器系ですね、使徒も血液はあるようなので、S2機関で生成したエネルギーを体中の細胞に届けるために心臓は必要なのでしょう。血が赤いのはヘモグロビンのためとは限らないですが。あとは血液を製造する骨髄も残る（血液成分は変わったでしょうが）。消化器と生殖器はまるきり失われて、S2機関相当の内臓に置換されているはず。水分補給は必要なので、胃はあるのかな……？ でも食べ物を食べることはできないでしょう、食べようとしても飲み込めなくて吐くのかな。水以外の液体も異物として吐き出しちゃう可能性もある。排泄器官は、どうなんでしょうね……完全生物に老廃物というものがあるんだろうか。
ということで、使徒に浸食されて水しか飲めなくなった、とはこういう状態です。アスカはもはやニンゲンではなく、セックスなどできる肉体ではなく（こんな体で抱きしめてなんて言えない）、恋人など求めても得ることはできないのです。第三村で相原家に潜んでいるのも、食事も睡眠も必要とせずなにより呼吸もしてないという異常を見とがめられないためです（ゾンビ発生と疑われてパニックになるのは目に見えている）。ケンスケはたまたま同級生で、ヴィレとの関わりもあってアスカの状態を理解しており、同情も恐怖も表に現すこと無く適度な距離で接してくれる、というアスカにとって非常にありがたい存在なのです。なので感謝も尊敬もしているが、恋人などでは断じてない、と思います。ファザコンをこじらせている可能性はありますが……。使徒化の進行がゆっくりだったのか、目覚めたら既にそうだったのかわかりませんが、アスカは己の肉体の変化に絶望したはず。ヴィレではミサトが許さないでしょうが、もしネルフの手に落ちていたらどんな非人道的な検査や実験が行われていたのか……。
そこでアスカを支えたのは、おそらくただ一人の同僚であるマリです。ひょっとして自殺を試みたけど使徒の肉体は簡単には死なず、マリに『お願い殺して』と懇願したことさえあったかもしれません。マリは当然そんなことできず、『そんなの嫌だよ、何もできないけど私が一緒にいるよ』と答えたはず……。我ながらエモい妄想だ……。マリはQでもシンでもひたすらアスカに甘く優しく献身的ですが、自分の計画に利用しようとしているわけではなく、単にアスカのことが好きなんだと思います。漫画版の嗜好を考えると、百合的な意味もあるかもしれん。
というわけでアスカは既に自分の生に絶望しきっていて、たぶん義務感と怒りのためにだけ生きている状態だと思います。裸なのも、プラグスーツが窮屈で嫌なのでしょうが、それを別にしても自分の肉体をもはやどうでもいいと思っている、んだろうなあ。暑さも寒さも感じないのでしょう（カヲルは生身で月面にいたよね）。わずかな布をまとうのは、家主に対する最低限の礼儀のため。
と、こんな状態がQ〜シンのアスカです。ケンスケが相手だなんて〜とか、小さいことで腹立ててる場合じゃないぞ。ネオンジェネシスで普通の少女として生きられるなら、こんなハッピーエンドは無いってものです。彼女の幸せを祈りましょう！ 別にアスカ信者じゃ無いのに結構な量を語ってしまったなあ。
……映画観て5日間で考えたのはこんなとこです。映画のストーリー上で起こったイベントというか設定というか謎は、考察を検索してだいたい納得したのですが、マリだけは良く分からないんですよね〜。新劇場版でも冬月研と繋がりがあって、おそらく碇ユイの願いを叶えるために動いていた。それは良いとして、エヴァパイロットとして動いていたマリは何者なのか？ 名字に波が付いてるのはクローン？ オリジナルだとしたら肉体年齢と精神年齢はどないなっとんねん……。それでシンジとくっついたら歳の差ありすぎじゃろ！ どうだったら嬉しいか、という話なんですかね？
締まらないけど、とりあえず終わり。
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