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2020年12月13日22:38

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死生観

大学を卒業して国内ゴルフ場チェーンの会社に就職した昭和59年、
上司から命じられて担当した顧客は中小工場経営者で末期ガン患者だった。
ご本人には胃潰瘍と告げられていたようだが、ご家族には周知されていた。

アポイントをとって初めて訪問した際、社長はやせ細った身体で椅子に座り、
ゴルフ場のエンブレムを象ったループタイを着けて、元気だった頃の
コースでの思い出を一生懸命語ってくれた。
話すと咳込んでしまいよく聞き取れない。
それでも上司に言われたとおり「早く元気になってまたゴルフ場に来てください」
と言って席を立った。

工場を後にし、自然と溢れ出る涙を抑えられずにいると、
後から追いかけてきた奥様とご長男が
「お忙しいとは思いますが、また来ていただけますか?」と言いながら
私に小遣いを渡そうとしてこられた。
「これを頂戴したら二度とここには来られません。」と言って断ったが、
以降訪問するたび、菓子折などを渡されてしまった。

最後に訪問したときはベッドで横になったままだった。
いつもとおりの会話をしたが、ご本人は自分の状況がわかっているようだった。
今思えば、あの頃鼻をついていた臭いが所謂癌臭だったのだろう。

初めて会った半年後に旅立たれてしまった。

生まれて初めて死生観というものに思いを巡らせる半年間だった。
そんな経験をさせてくれた上司とご家族、そして“お客様”に深く感謝…

織田無道氏のご冥福をお祈りします

■霊能ブーム時代の怪僧・織田無道さんの知られざる最後「『倉木麻衣のパパ』とも交友があった」
(AERA dot. - 12月13日 20:40)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=173&from=diary&id=6341545
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