亀と安倍退陣

亀はエサをほんの少ししか食べない。成長すれば１日おきに一回だけ、食べさせればよいらしい。それでいて自分がじゃまだと思うものを移動させるときは、ものすごい力を発揮する。普段は余計なエネルギーを使わないのだろう。ただし何かに怯えて逃げるときは、手足を不揃いにバタバタさせて走ってゆく。臆病なのだ。だから自分から争いを起こすよりは、逃げて甲羅の中に閉じこもる。声を出すことができないから、犬のようにほえて威嚇することもない。好奇心が強いようで、何か気になるものを見つけると、長い首を思いっきり伸ばして、しばらくの間はそちらを注目して動かない。
安倍総理が辞任を決めたというニュースを聞いて、安倍総理の政治は亀のようなあり方を許さないような政治だったと思った。国内では金持ちをもっと金持ちにすれば、貧乏人のところにもやがておこぼれがあるという経済をやった。外交では、巧みな外交ではなく、「ドス」をちらつかせて周囲を威嚇するようなやり方だった。結果は、貧乏人と金持ちの差が考えられないほど開き、中国・北朝鮮は難しいとしても、盟友の韓国とさえいざこざを表面化させた。私は亀のように緩く生きたいし、日本は臆病で弱いものが生きやすい国であってほしかった。