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2020年06月27日01:49

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【天文】思い出の彗星たち

★こんばんわ。こないだの休みも日記を書きそこない、また平日深夜に日記を書く男、かま猫です。

★この間、休みといえばゲームに溺れていたワイですが、こないだの休みは家の掃除に明け暮れてました。真人間に更生つつあります(笑)。

★とりあえず6月から予約制で開館したウチの天文台ですが、梅雨入りして晴れなくなったこともあり、最初のうちは開店休業状態。それでも先週くらいから、馴染みのお客さんを中心にボチボチ予約が入ってくるようになりました。お得意さんってホントにありがたいなあ、と思う今日この頃であります。

★でもやっぱり、例年よりヒマはヒマ。春のうちは天体撮影に集中していましたが、梅雨入りしてからはサッパリ晴れないのでそれもできません。そこでこの間を使って、ウチのホームページの天体画像ギャラリーに「惑星・彗星コーナー」を増設しました。割と大仕事だった(笑)。

★彗星については過去にウチから見られた彗星のうちよく見えたり話題になったりしたものをいくつか選んで掲載。全部じゃないけど、こんな感じです。


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1997年にやってきたヘール・ボップ彗星。「世紀の大彗星」と呼ばれ、世界中で大ブームを巻き起こした名彗星。3月ごろには日本からも夕方の西空でこんな姿が肉眼で(!)見られました。オープンして間もない頃で、ウチの天文台にとってもいいキックオフイベントになりました。私自身も佐世保から佐久に引っ越したばかり。慣れない土地や環境の中、毎晩誰もいない天文台にたった一人で出撃しては、接近してくる様子を必死に撮ってたのを思い出します。


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2004年に明け方の空に見えたブラッドフィールド彗星。そんなには有名ではないのですが、双眼鏡で見るとすごく立派な尾が見えて、妙に忘れられない彗星です。この時の明け方の空にはもう一つ、ニート彗星も見えていて、毎日早起きしてはこの二つをセットで観望するのが当時の日課でした。


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ああ、こういうのもあったなあ、2007年1月のマックノート彗星! 肉眼で見えるどころか、大きな曲がった尾がオリオン座を丸々覆うくらいになった大彗星…ただし、そんな壮観が見られたのは南半球だけ。日本をはじめ北半球では位置関係が悪くてほぼ見られなかったという悔しすぎる彗星でした。しかしそうなるちょっと前、彗星が太陽をよぎっていくタイミングで、なんと午後2時、真昼間の青空の中にその頭部が見えたのです。強烈に明るいので、理論上は昼間でも見えるかも、とは言われていました。この日の午後、「いくらなんでもそこまではなあ。でもまあ一応…」と双眼鏡を大体の方向に向けて覗いてみたら、あっさりと見つかって、死ぬほど驚きました。あわてて望遠鏡に飛びついて撮影したのがこの写真であります。
 …さらにこの彗星にはステキな「クソ逸話」のオマケがついています。とにかく凄いことなので、撮った写真を新聞に流そうとすぐに役所の上司に連絡したら、当時のクソ課長(今は辞めてるからいいよね…笑)が、「明日の朝市長にお伺いを立ててから発表しろ」とか言い出してプレスリリースが遅れ、結局他所に先を越されてしまったという……。
ちなみにこのクソ課長の前任の課長は、同じようなことがあった時「分かった!上にはオレが話をつけとくからお前はすぐ新聞に連絡取れ!」と言ってくれてました。…かくの如く、役所というのはだいたい課長クラスが有能か否かで仕事の質や成果が大きく左右されるものなのであります。…とにかくそんなこんなで、格別に思い出深い彗星となりました(笑)。



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2007年に突然明るくなって話題になったホームズ彗星。1892年発見の古い彗星ですが、普段はとても暗いのに僅か2日で40万倍という大増光(アウトバースト)を引き起こして、肉眼でもしっかり見える明るさになりました。ニュースを聞いて慌てて外に出て、彗星がいるはずのペルセウス座の方を見ましたが、一見なんの異常もありません。最初は「なんだ、見えないじゃん」と思いましたが、よく見るとペルセウス座の星の並びが変。あまりにも明るくて普通の星のように見えていたのでした。写真はその後拡散して暗くなり、そのかわりに面白い構造が見え始めた頃にデジカメ(ニコンD50)で撮影したもの。実は発見時もアウトバーストを起こしていて、これとそっくりな姿がヤーキス天文台で撮られています。当時は世界トップクラスの天文台で撮られた写真と同じくらいのものが、私らのようなザコ(笑)でも民生品の機材で楽々と撮れる…115年の間のカメラの進歩も如実に感じさせられた彗星でした。


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そしてこれはまだ覚えている人も多いと思う、世紀の「ガッカリ彗星」、アイソン彗星。太陽にものすごく近づき、通り過ぎた後大彗星になると予想されて、ヘール・ボップ彗星並みに世界中が注目した彗星でしたが、近づきすぎて崩壊、消滅してしまいました。私は天文台でのイベントの際の資料用として接近前から連日早起きしてその様子を撮影していましたが、なんか予想通りには明るくなってこなくて、その頃から「これ、ハズレ彗星になるかもしれない…」という悪い予感が何となくしていました。世間のあまりの盛り上がりのため、早朝開催予定の観望会にはウチの天文台のキャパをはるかに超えるお客さんがやってきて大混乱になりそうな情勢。これでハズレ彗星にでもなろうものなら、ガチでクレームの嵐になる…と、イベント主催者としてはそっちの方が心配でした。結局崩壊・消滅したことで観望会は中止になり、天文ファンとしてはガッカリだけど、イベント責任者としては胸をなでおろしたという、なんとも複雑な気分の彗星となりました(笑)。

★ふええ……今日は大長編の日記になってしまった。毎年必ず見える星雲や星団、惑星と違い、基本的に一期一会となる彗星には、こんな風にいろんな思い出が付きまといます。天文ファンはみんな、一個一個の彗星に、こういう個人的な思い出がもれなくついてくるものなのであります。
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