『人間の時間』 2020年43作目 ☆☆☆☆ フォーラム仙台
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(不適切な表現が多々ありますので、同意される方のみご覧下さい)
「鬼才」と云う言葉は批評家や評論家のようなので使いたくないのですが、鬼才キム・ギトク監督の最新作。
非常に重く、暗く、陰湿で、暗澹たる作品です。
韓国映画では政治家、市長、大企業の幹部は不正を働き私腹を肥やしていますが、表向きは「市民の味方」「慈善家」を装っています。
そういった権力者には必ずヤクザ者が手下で就いていて、殺人をはじめあらゆる犯罪、違法行為を行っています。
また、社会や人々自身が金と色欲に塗れていて、直ぐに金の話、直ぐに性交を迫る、拒否されれば所構わず強姦する。
それが韓国映画です。
韓国ドラマやK-POPから入った層を狙っているような韓国映画は韓国映画ではありません。
物欲、肉欲に塗れているのが韓国映画で、韓国映画の牽引役がキム・ギトク監督です。
今作でもキム・ギトク監督らしさが全開でした。
軍艦でのクルーズでの話。
次期大統領候補の議員と息子。ヤクザ。娼婦。カップル。その他諸々の乗客を乗せて出港。
出航早々に、大統領親子だけが豪華な客室に豪華な食事なのが抗議を受ける。
夜になり、ヤクザの親玉が議員に「あの女用意します」とカップルの女性を強姦して差し出し、連れの男を殺害する。
夜が明けると、軍艦は空に浮いていた…。
「軍艦が空に浮いている」と云う極限状態になってから船内が地獄になるのではなく、その前に強姦と殺人が起きる。
流石、キム・ギトク監督。韓国映画の物欲、肉欲塗れを忠実に描いている。
極限状態が起きる前から強姦と殺人が起きるんだから、極限状態になってからどうなるかは書く必要もない。
ひたすらに欲、欲、欲。
欲まみれ。
終盤に二人だけ生き残る片方が藤井美菜。もう一人がチャン・グンソク。
二人ともキム・ギトク監督の過酷な演出を演じきってました。
早々に殺される役でオダギリジョーも出てましたが、「早々に殺される」のも何か「分かってる感」がします。
この内容では早々に死んだ方が良いですね。
「軍艦が空に浮いている」時点でこの世の話とは思えない訳ですから、細かな点で気になる事がいくつかありましたが、細かい話は置いといて、韓国映画の本来の特徴である物欲、肉欲を全開にしている様を延々と見せられました。
謎のおじいさんは何だったんだろう? とか、あの子とどうなっちゃうんだろう? とか考えさせられる点もありましたが、この一言に尽きます。
流石、キム・ギトク。
鬼才以外の何者でもない。
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