Misumi/未知数　無理数　潜在能力

薄暗いバーの隅っこでアンティーク調の木箱が差し出された
興味を示すのは子どもの仕事　嘘つきな私は関心を隠してあなたの行動を見守る
薄暗い照明がスポットライトのように的を絞っていく
木箱が開いた　一列に綺麗に並んだ葉巻が入っているだけだった
安堵した私はメニュー表を手に取る
私は薄暗いバーの中で初めてのお客
だから慎重に行動するように心がける
視線は感じない　でも私の周りだけ何かが変だ
何かが私に取り憑こうとしているみたい
シックスセンスが先走ろうとしている
私は暴走しないように気をつけながら丁寧に呼吸をする
幻覚と幻聴と妄想に踊らされる私に未来はない　そんな気がする
さっきの木箱は二重構造になっていた
私の予感は的中していた
やっぱりだった
どこかの歯車が横へとずれて内側から壊れていく　そんな気がする
あなたのミステリアスな思考回路は実は単純だった
見えてくるようになってきたあなたは私の心を鷲掴みにして診察を始める
私は微笑む
あなたがヤブ医者だってことは知っているけど
一度は身を委ねてみるわ
罠にかかった私はまた若くなって生き返る
だってそうでしょ？
私はまた大人になれなかった
だから私の負けよ
だからエゴイストはあなたの方よ
私は愛を踏みにじって生きている　そんな気がする