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2020年04月29日18:17

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小説『幽遊白書2』書いてみた!第3話(^^)/

第3話 『暗雲』


―魔界の奥地、とある洞窟―


根があたり一帯に広がる大木、天まで届いているようにも見える「それ」の下にぽっかりと空いた洞窟。
3人の妖怪たちがさらってきた雪菜を見下ろして不敵な笑みを浮かべていた。

そのうちのリーダー格であると思われる妖怪が口を開く。
「2人ともご苦労だったね。これで僕たちが魔界を掌握するのも夢じゃなくなった」
「くっくくく、この娘が俺たちが大幅にパワーアップするためのアイテムを手に入れる『鍵』というわけだ。ちょろいもんだぜ、なぁ?」

もう1人は大柄な男。そしてもう1人の女の妖怪もそれに答える
「ふふふ、こんな小娘1人捕まえるだけでね。簡単なお仕事。うふふふふ」

3人が発する禍々しい妖気に雪菜の体の震えは止まらずにいた。
失禁で濡れた地面に涙がこぼれ落ちる。そしてそれは氷泪石となって転がった。



一方人間界では・・・桑原の葬儀を終え悲しみに沈む幽助、蔵馬、ぼたん、そして蛍子、姉の静流。

「みんなすまないね、こんなあんぽんたんのために集まってくれて」
悲しみをこらえて弟を見送ってくれた皆にあいさつする静流。
「うぅ・・・桑原君は最後まで雪菜ちゃん守って、、、それで・・・」
ぼたんはもう涙をこらえ切れないでいた。

幽助と蔵馬も「いつかプロポーズして雪菜さんと結婚してみせるぜ!」と意気込んでいた生前の姿を思い出していた。

「ほんとに仲のいいカップルで桑原君がプロポーズするだけになってたのにねぇ、ほんとひどいよこんなの」
ぼたんがこちら側での2人の様子を皆に伝えさらに悲しみが深まったのだった。

「そういやぼたん・・・」
「何さね?」
幽助が何かを思い出したような顔をしてぼたんに問いかける。

「俺の時みたいに桑原もその辺に浮かんでんじゃねーのかよ?」
その問いかけに暗い顔をするぼたん。

「その質問にはワシが答えてやろう。」
「うおっ、コエンマか。どっから湧いて出たんだおめーは」
後ろから急に声を掛けられ驚く幽助にコエンマが続ける。

「普通なら成仏した後霊界に魂がいくんじゃが、こやつの場合はなぜか成仏できずにいる・・・おそらく入ってきたやつらの何かが作用しているのではないかと思われるが、それがなにかは今のところわからんのじゃ・・・」
「じゃあ、そいつらを倒せば桑原は成仏できるんだな?」
「おそらくは・・・」
「桑原…絶対敵討ってやるからな・・・もうちょい待ってろ」

強い決意を感じさせる幽助の横顔を見た蛍子は「今度はいつ戻れるの?」の言葉を心の奥深くにしまったのだった。

一同にもう一度挨拶を済ませ、その日の夜には現状を幹部会に報告するため蔵馬は一足先に魔界に戻った。

その後幽助も桑原の埋葬を済ませた後、怒りの火種がくすぶったまま魔界に戻り情報の収集を始めた。

「浦飯・・・大変なことになったな・・・」
出迎えてくれたのは暗黒武術会では敵チームとして1戦を交えた酎、凍矢、陣たちだった。
「大切なダチ失っちまったんだもんな・・・」
陣も神妙な面持ちで語りかけた。

そこに先に魔界へ戻り情報収集を終えた蔵馬が合流した。そしてもう1人・・・8年前の魔界統一トーナメント以前は幽助の父親である雷禅、そして躯らと覇を競った黄泉の姿がそこにあった。


第3話 −完―




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