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2019年07月06日17:41

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『さよなら、退屈なレオニー』感想

〜やりたいことも自分の居場所もみつからず、いら立ちを抱える17歳の少女のひと夏の成長をつづった青春ドラマ。ケベックの海辺の街で暮らすレオニーは、高校卒業を1カ月後に控えながら、どこかイライラした毎日を送っていた。退屈な街を飛び出したいけど自分が何をしたいのかわからい。口うるさい母親も気に入らず、母親の再婚相手のことは大嫌い。そんなレオニーが頼りにできるのは離れて暮らす実の父親だけだった。そんなある日、レオニーは街のダイナーで年上のミュージシャン、スティーヴと出会う。どこか街になじまない雰囲気をまとうスティーブに興味を持ったレオニーは、なんとなく彼にギターを習うことになり……。2018年・第31回東京国際映画祭「ユース」部門で「蛍はいなくなった」のタイトルで上映され、主演のカレル・トレンブレイがジェムストーン賞を受賞した〜 <映画.comさんより>

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ポスターの印象&タイトルで興味を持ち観賞。
内容も原題も製作国すら知らず。最初、英語圏かと思ってたしあせあせ(飛び散る汗)
観終わって、原題が『蛍はいなくなった』と知り、それ知らなくてよかったわぁああと。
だって知ってたら、やっぱり、タイトルに関係ありそうな台詞とか事柄が出てくると、絶対何かの伏線だって思って、そこをずっと頭の片隅に置いちゃって、勝手に先回りとかしちゃうから(^-^;

フランス語で会話が始まるけど、フランスっぽくない。じゃあ、ベルギー?いや、ヨーロッパぽくもない。
じゃあケベックだなと決めつけて観賞に集中。

確かに、レオニー、退屈そうだ。
退屈とキャンディって、相性いいよね。

レオニーの家族は母親と母親の再婚相手。実の父親は離れて暮らしている。
再婚相手はラジオのDJをやってるんだけど、番組での保守的発言がレオニーは大嫌い。
ヒーローは実の父親。でも、実の父親は、かつて勤務する工場でストライキが起こったとき、労働組合のリーダーとなり、その活動せいで・・・左遷された?今は出稼ぎ。

退屈のさなか、レオニーはダイナーで、ギター講師のスティーヴと知り合う。
スティーヴは足の悪い母親と2人暮らし。
今までやってきたいくつかの習い事はまるで続かなかったけど、スティーヴに何か感じるものがあったのか、彼にギターを習うことにするレオニー。

退屈な時間はギターと野球場でのアルバイトの日々に。
(仕事の特権を利用してマル秘、広い野球場でスティーヴに生ギター弾かせたり)
スティーヴとはライヴやビリヤードにも行ったりするようになっていく。
2人の距離はどんどん狭まるように見えたが。。。

ある時、大好きな父親が過去に母親に暴力を振るっていた事を再婚相手から聞かされ・・・レオニーはショックを受け、スティーヴにも「loser!」と八つ当たりしてしまう。

これ、すごく理解できました。
スティーヴって、絶対、違う道を行けた人なんです。
ギターがめちゃ上手いから、バンド組んで、音楽で成功して、華やかな人生も築けたのでは?
でも、実際は、誰とも組まず、この街も好きだし、母親と犬の世話をしながら家の地下で暮らしていて、そんな今の生活に十分満足している。
自分の将来が見えないレオニーが、こういう大人たちの実像を目の当たりにして、尚更、何を目指すべきか、何をやってもダメなんじゃないのか、とにかく、もう、頭がごちゃごちゃになってしまう終盤。

スティーヴの母親が亡くなり・・・ラストシーンへ。
あのダイナーでスティーヴと再会。
そして、冒頭と同じように、キャンディを片手にバスに飛び乗るレオニー。
そして、原題の伏線が回収されて終了。

見えていたものが見えなくなることで、今まで見えなかったものが見えてくる。

〜印象的だった演出の数々〜
・冒頭、レオニーがレストランを抜け出した直後、外から見えるオープンキッチンの炎
・いつもは家の地下でギターを習うのだが、ある時、2階で2人(どちらか1人だけ?あせあせ(飛び散る汗))がギターを弾いているその背後に電線。
その電線が五線譜のように見えて、奏でられている曲の音符がそこで飛び跳ねていた。
・野球場にラインパウダーで白線を引くレオニー。最初はぐちゃぐちゃ。でも、次は見事な直線。
・野球場の照明は、スイッチを入れてから完全にすべて点灯するまで15分かかる。ある日、レオニーがバイトに来なくて(遅刻?)、真っ暗なまま練習をスタートする人々。なのに、誰も不満を言わず黙々と練習を始める。

いやあ、これほど「退屈」を興味深く描いてくれた作品は、観たことなかった気がします。
不思議な魅力で、ずっと引き込まれていきました。
この作品は観ないと絶対その独特の味わいが伝わりません。
セバスチャン・ピロット監督とカレル・トレンブレイさんにはこれからも注目だわ。
素敵な掘り出し物でした!4つ☆

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